2023年度事業計画

 鉄鋼部会は、鋼構造物の溶接部の安全性などに関連して鉄鋼技術や評価技術の向上を図るために、必要と認められる諸種の事業活動を行う。
 2022年度に、最新の技術・研究を反映したWES2805:2011(溶接継手のぜい性破壊発生及び疲労亀裂進展に対する欠陥の評価方法)の改正検討、並びに建築高強度鋼(780N/mm2級鋼)のアンダマッチング継手における適切な特性評価法の検討を目的とした2つの研究委員会を立ち上げた。
 本年度はこれらの委員会を継続し、具体的には以下の活動を計画している。

1.本部会及び幹事会

(1) 部会運営と企画
(2) 各研究委員会の調整、運営検討
(3) 他専門部会・特別研究委員会との連携(規格委員会、溶接情報センター、JPVRCなど)
(4) 他学協会との連携(日本規格協会など)

2.研究委員会

2.1 WES2805改正委員会

 WES2805(溶接継手のぜい性破壊発生及び疲労亀裂進展に対する欠陥の評価方法)は、溶接継手の割れや欠陥からのぜい性破壊、及び疲労亀裂進展による損傷とぜい性破壊への移行に対する評価方法を規定した規格である。2022年度に立ち上げた改正委員会では、2018年から2021年にかけて実施された鉄鋼部会CRB(CTOD Requirement for Butt joint)委員会で得られた知見など最新の研究成果やユーザーニーズも踏まえ、活動予定期間を3年間として検討を開始した。
 本年度は、計画どおり委員会を継続し、2022年度中に実施したユーザーアンケートに基づいて、規格構成(本文、附属書(規定)、附属書(参考)、解説)の全面改定も視野に入れた検討を行い、規格本体(本文)の骨子を定めて具体的な改正作業に入る。

2.2 建築高強度鋼(780N/mm2級鋼)アンダマッチング継手研究委員会

【BUH委員会(Building application of Undermatching joint for High strength steel)】
 建築物の柱構造への高強度鋼(780N/mm2級鋼)の普及のネックとして、高強度溶接材料を用いた溶接では予熱や入熱制限などによる溶接施工負荷が大きい点が挙げられる。このため、母材より強度が低く溶接性の良い溶接材料を用いたアンダマッチング継手(軟質溶接継手)採用の検討が進められており、溶接施工負荷を低減した上で柱構造として必要な性能を確保できる事例が示されているものの,評価法も含め一般化に至っていない。
 そこで、大学、ゼネコン、設計事務所、ファブリケータ、溶材メーカー、鋼材メーカーなど多方面から委員を募り、2022年度に活動期間を3年間としたBUH委員会を立ち上げた。2022年度には、取り組むべき検討課題とその優先順について議論を行い、検討対象はほぼBOX柱の角溶接部に絞り込まれた。
 本年度は、計画どおりに委員会を継続し、実構造物におけるアンダマッチング溶接継手の健全性を示すための実大サイズでの構造実験実施も視野に入れた検討を行う。