部会設立の経緯

 建設部会は,1954(昭和29)年4月に発足し、造船・土木・建築の学識経験者及びこれらの分野の会社メンバーで、海外の溶接技術に関する規格・規準や溶接技術情報の収集に注力してきました。また、他分野の溶接の応用技術の情報交換などを行ってきました。その後、① 各種溶接法に関する研究及び施工例の発表、② 設計・施工に関する標準化の検討、③ 施工現場(工場溶接・現場溶接)の見学と討議、④ 業界情報の交換 を中心に活動を継続してきました。

 溶接技術は、建築や土木、重工、自動車などの基幹産業における製造工程の基盤技術として広く利用されている。溶接プロセスは材料局部に熱を集中させ、溶かしてつなぐ技術であり、溶接部は製品の一部となる。しかし、急速な加熱・冷却は溶接部の強度や耐食性などを劣化させ、同時に変形や残留応力発生の原因にもなる。この溶接プロセスに内包する不完全性は、世界的にも共通の認識がなされ、ISO国際品質管理規格において「特殊工程」と位置づけられており、技術者・技能者の知識や技量、経験による施工管理に加えて、放射線や超音波などによる非破壊検査を通して、継手部の信頼性を確保している。

 本部会では最近のデジタル生産の研究成果を踏まえて、建築溶接の品質を確保しながら、生産性を向上する活動に取り組む。デジタル生産には設計から製造まで、数値情報のやりとりが必要であり、製作現場での自動化・ロボット化とともに溶接技能者をはじめとする作業者とのチームワークによって、効率的な生産システムを構築する必要があります。

 一方、社会基盤である建築・橋梁などの構造物には、安全性と耐久性を確保することが最優先され、様々な法規や規格に規制されているが、全てが最近の技術の進歩を反映されているとは言い難い状況です。

 最近では、建築鉄骨や鋼道路橋における組立溶接の脚長及び長さの規定緩和に向け、一般社団法人日本橋梁建設協会との共同研究として「組立溶接のヒールクラックの研究」を実施し、その結果、組立溶接の脚長と長さの緩和は十分に可能であることという成果を得ています。今後は、ヒールクラック発生の要因を更に明確にするための試験方法について検討していき、研究成果を土木業界と建築業界に発信していきます。

主な部会活動

 溶接材料メーカー、製作会社、ゼネコンの技術者及び中立機関の研究者との意見交換を通して、次の活動を行う。

1)建築溶接の品質確保と生産性向上のための研究調査活動
2)設計・施工に関する標準化
3)規格・規準等の原案作成,検討及び審議
4)施工現場(工場/工事現場)の見学
5)各種溶接方法に関する研究及び施工例の紹介

会費

 年会費 50,000円(税抜き)

お問合せ・お申込み

部会へのご入会、また活動内容に関するお問い合わせ等ございましたら以下へご連絡ください。
(一社)日本溶接協会 業務部 建設部会事務局
TEL:03-5823-6324