・国際溶接学会(IIW)の組織の一つである IAB が認定した世界各国の認証機関が実施している資格です。現在,日本では国際溶接技術者の資格である IWE,IWT,IWS 及びIWIPの認証を行っております。
・J-ANB が承認した教育訓練機関で所定の教育・訓練を受けた後に評価試験に臨む正規ルートと、それぞれの資格に応じた知識を既に修得していることを証明し、又は必要な教育・訓練を経た上で、評価試験に臨む特認ルートがあります。

適⽤する規格(基準)

資格認証の等級(レベル)と、コース

 現在,日本で行われている IIW 資格取得のためのコース及びコースの概要は,表 9.1 及び図 9.1のとおりです。

国際溶接学会(IIW:International Institute of Welding)の資格認証は,IIW の組織である IAB:International Authorization Boardに認定された世界各国のANB:認証機関が実施しています。日本では日本溶接協会に設立された IIW 資格日本認証機構(J-ANB)が IIW 資格の認証事業を行っています。J-ANB による IIW 資格認証は,IIW の認証制度の内,世界的に広く普及している Personal Qualification Scheme(PQS)と呼ばれる制度の資格で,所定時間の教育・訓練を経た後に行われる評価試験の合格者に対して,終身資格(ディプロマ)を授与するものです。現在,J-ANB が認証している IIW 資格は,「国際溶接技術者」の次の4種類の資格です。

  • 国際溶接エンジニア(IWE:International Welding Engineer)
  • 国際溶接テクノロジスト(IWT:International Welding Technologist)
  • 国際溶接スペシャリスト(IWS:International Welding Specialist)
  • 国際溶接検査要員(IWIP:International Welding Inspection Personnel)

表 9.1 IIW 資格取得のためのコース
コースATB(訓練機関)資格の種類対象者
資格取得のための2つのコース正規コースは,J-ANB が承認した教育訓練機関(ATB:Approved Training Body)が運営する教育・訓練コースで溶接技術を学習した後,J-ANB が実施する評価試験を受験します。IIW が定めた教育科目や履修時間の基準では,資格の種類に応じて比較的長時間にわたる教育・訓練(249 時間~448 時間)を行うことが求められています。一方,特認コースは J-ANB が直接運営するコースで,取得しようとする資格の種類に応じた知識を既に修得していることを証明することにより,ATB での長時間の教育を受けることなく評価試験に臨むことができるコースです。溶接に関わる製造企業に勤めている社会人技術者に適したコースとなっています。
正規コース1)国立大学法人 大阪大学接合科学研究所 IWE正規コース
2)独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構ポリテクセンター兵庫IWSコース
IWE:大阪大学接合科学研究所のみ

IWS:ポリテクセンター兵庫のみ
・大阪大学 大学院生で、
高度溶接技術者プログラムの開講科目及び ATB 独自科目の履修学生のみ
・ポリテクセンター兵庫 テクニカルメタルワーク科の教育・訓練科目の受講生のみ
特認コース3)国立大学法人 大阪大学接合科学研究所のIWE正規コースに併設IWE/IWT/IWS
IWIP 
・民間企業又は研究機関に所属の溶接技術者で、取得しようとする資格の種類に応じた知識を既に修得していることを証明できる方。

資格の種類

IIW 国際溶接技術者の資格の種類,知識及び力量*

(1)*IIW-IAB-252 による IWE,IWT,IWSの内容詳細を以下の表に示します。

IWE,IWT,IWS(国際溶接技術者)の資格種類,知識及び力量,参加条件

IWEIWTIWS
コースへの参加条件(1)正規コース:コースへの参加条件は,各 ATB にお問い合わせください。
(2)特認コース:参加申請者は,次の3つの条件(以下の表内参照)を全て満足していなければなりません。
   ① 学歴  ② 職務経験年数  ③ 溶接技術に関する知識を習得していることの証明
知識溶接技術の全般的知識を有し,溶接部の評価や施工条件を判断するための重要な理解力を有する。溶接技術を適用する上での全般的な知識と理解力を有する溶接技術分野の中の特定かつ実務的な知識を有する。
職務能力
(力量)
・ 技術を習得し,求められる技術革新する能力
・ 高度で複雑な問題,予測不可能な問題の解決能力
・ 溶接に関わる非常に複雑で技術的な業務又はプロジェクトを管理する能力
・ 予測不可能な業務又は研究環境での判断に責任をもつ能力
・ 個々又はグループの要員の実務能力開発に責任をもつ能力 
・複雑な問題を解決する能力
・溶接技術の適用や関連技術の実務又はプロジェクトを詳細に管理する能力
・複雑な業務又は研究環境での判断に責任をもつ能力
・溶接又は関連する要員の業務の決定に責任をもつ能力
・個々又はグループの要員の実務能力開発する能力
・特定の基本的な問題の解決する能力
・基本的な溶接及び関連する業務及び関連する要員を監督する能力
・基本的な業務上の判断への責任能力
① 学歴  4 年制工科系大学卒業5 年制工業高等専門学校,
2 年制工科系短期大学,又は
2 年制工科系専門学校卒業
3 年制工業高等学校又は同等,若しくは 3 年制工業高等学校又は同等以外の高等学校*)卒業
② 職務経験年数  申請直前 6 年間の内,IWE 相当の職務経験 4 年以上申請直前 6 年間の内,IWT 相当の職務経験 4 年以上3 年制工業高等学校又は同等の卒業者は,申請直前 6 年間の内,IWS 相当の職務経験 3 年以上

3 年制工業高等学校又は同等以外の高等学校卒業者は,IWS 相当の職務経験が通算 6 年以上
③ 溶接技術に関する知識を習得していることの証明
JIS Z 3410/WES8103 による
溶接管理技術者資格の保有
特別級認証者特別級・1 級認証者特別級・1 級・2 級認証者
*)普通科高等学校

コースへの申込み,日程

  • 正規コース:コースの日程,カリキュラムなどは,各 ATB にお問い合わせ下さい。
  • 特認コース:申込み,評価試験までの日程及び場所などは右図のとおりとなります。申請書の入手,手続き,その他の質問は J-ANB 事務局までお問合せ下さい。