IET小委員会活動報告
活動期間:2019年度~2020年度(2017年6月12日~2020年1月17日)
原子炉圧力容器は原子力発電所の機器の中でも最も重要な機器の一つであり、その安全性・信頼性を確保することが、原子力発電所の安全性・信頼性を維持する上で重要である。特に原子炉圧力容器胴部の炉心領域は、運転中の原子燃料からの中性子の照射により破壊靭性が低下(以下、照射脆化)することが知られており、経年化する原子力発電所における重要な劣化事象の一つである。
原子炉圧力容器鋼の照射脆化予測法(以下、脆化予測法)については、(一社)電気協会の電気技術規程JEAC4201「原子炉構造材の監視試験方法」に規定されている。同規程の最新版であるJEAC4201-2007[2013年追補版]に規定された脆化予測法は、2015年に原子力規制委員会による技術評価が行われてエンドースされ,その際に、JEAC4201の次回改定に向けて、「①脆化予測法の改定にむけた具体的な対応及びスケジュール」、「②当該規格の妥当性を示す上で必要な情報の検証と公開に関する対応」及び「③中立性、透明性及び公開性の一層の確保に向けた電気協会の具体的対応」の3項目について(一社)電気協会の今後の対応を確認する文書が発出された。(一社)電気協会は、同文書に対する回答において、脆化予測法の基本モデル式の改定要否を検討しJEAC4201の次回改定を進める旨表明した。これを受けて、産業界において物理的現象を考慮した基本モデル式の見直し検討が進められることとなったが、検討に際しては基本モデル式の的確性について特に照射脆化メカニズムに精通した専門家と意見交換が行われることが望まれる。
(一社)日本溶接協会の原子力研究委員会では、金属疲労や確率論的破壊力学などの分野で専門家を集めて研究や意見交換を進めてきた実績があることから、脆化予測法についても同様のスキームを適用し、脆化予測法の策定に携わる産業界の関係者が照射脆化メカニズムに精通した専門家と意見交換することを目的として、原子力研究委員会内に「原子炉圧力容器の中性子照射脆化予測法検討小委員会」(略称IET小委員会)を設置し、産業界委員と専門家委員からなる委員構成の下、2017年度から2019年度までの3ヶ年に渡って活動を実施した。
ここに掲載する報告書は、IET小委員会の活動期間(2017年6月から2020年1月まで)における照射脆化に関する国内外の最新知見の調査結果及びIET小委員会で産業界委員より提示された脆化予測法改定案、さらにそれらについての専門家委員を含むIET小委員会での議論の内容を取りまとめたものである。本報告書が脆化予測法の更なる信頼性向上や照射脆化メカニズムに係る研究の今後の進展に少しでも役立てば幸いである。
国際研究連絡小委員会
活動期間:1996年度~現在活動中(1996年5月8日~)
原子力機器構造健全性国際ワークショップ(ASINCOワークショプ)報告書
ワークショップの概要
従来、我が国の原子力開発は欧米との協力のもとで行われることが主であったが、原子力発電の安全確保などの問題については、地理的つながりの強い地域内での共通課題として問題を共有し、かつ協力していくことが重要である。このような認識の下、我が国と韓国との代表者の協議を経て、1996年にASINCO(Asian Society for Integrity of Nuclear Components)が組織された。ASINCOは、原子力の構造・材料に関わる東アジアの研究者、技術者が一堂に会し、最新の研究成果を共有するとともに、人的交流を活性化することを目的とするもので、1998年には日韓両国に加え台湾の加盟を得た。ASINCOはその目的を実現するため、原子力機器構造健全性国際ワークショップ(ASINCOワークショップ)を定期的に開催している。日本からは一般社団法人日本溶接協会原子力研究委員会国際研究連絡小委員会が現在に至るまでASINCOの企画、運営をサポートしてきている。
ASINCOワークショップは1996年5月5日に韓国太田にある韓国原子力研究所(KAERI)において日韓の研究者・技術者の協力の下はじめて開催された。第2回には台湾からの参 加者を迎え、1998 年4月20~21日にわたり東京大学山上会館で開催された。第3回は2000年10月11~12日に台湾桃園の台湾原子力研究所(INER)において日韓台の研究者・技術者の参加を得て開催された。第4回はASINCO 主催のワークショップとして中国、インド からのゲストも迎え、2002年4月15~16日にわたり韓国済州島で開催された。第5回は再び開催地を日本に移し、2004年4月21~23日にわたり日本原子力研究所関西研究所で開催され、以降第6回が2006年4月に台湾最南端の懇丁で、第7回が2008年7月に韓国Mujuで、第8回が2010年4月に兵庫県の淡路夢舞台国際会議場で、第9回が2012年4月に台湾高雄で、第10回が2014年4月に韓国釜山で、第11回が2016年4月に長崎で、第12回が2016年4月に台湾花蓮で、二年に一度のペースで開催されてきた。第13回ワークショップは2020年4月に韓国ソウルで開催の予定であったが、2019年末から猛威を振るったコロナウイルスの感染拡大のため国際的な往来がままならないことから、開催を一年延期して2021年4月21~22日にオンラインで開催された。第14回ワークショップ2023年4月12~14日に金沢で5年ぶりの対面開催を果たした。
これまでのワークショップで発表された論文については、Selected Paperが国際ジャーナルの特集号にまとめられて逐次発刊されており、第13回ワークショップまでのSelected PaperがInternational Journal of Pressure Vessels and Pipingほかの特集号として公刊済みである。
原子力機器健全性ワークショップ報告書
第1回ワークショップ(May 8, 1996, Taejon, Korea)
第2回ワークショップ(April 20-21, 1998, Tokyo, Japan)
第3回ワークショップ(October 11-12, 2000, Taoyuan, Taiwan)
第4回ワークショップ(April 15-16,2002,Cheju,korea)
第5回ワークショップ(April 21-22, 2004, Kyoto, Japan)
第6回ワークショップ(April 25-26, 2006, Kenting, Taiwan)
第7回ワークショップ(July 2-4, 2008, Muju, Korea)
第8回ワークショップ(April 14-16, 2010, Hyogo, Japan)
第9回ワークショップ(April 18-20, 2012, Kaohsiuing, Taiwan)
第10回ワークショップ(April 16-18, 2014, Busan, Korea)
第11回ワークショップ(April 11-13, 2016, Nagasaki, Japan)
第12回ワークショップ(April 16-18, 2018, Hualien, Taiwan)
第13回ワークショップ(April 21-22, 2021, Seoul, Korea Virtual meeting)
第14回ワークショップ(April 12-14,2023,kanazawa,Japan)
FQA小委員会・FQA2小委員会・FQA3小委員会活動報告
活動期間:2012年度~2019年度(2012年6月12日~2020年3月24日)
MFD小委員会活動報告
活動期間:2015年度~2017年度(2015年5月12日~2017年3月24日)