溶接技能者資格には色々な種類があります。どれを受験すればいいのか悩まれるかもしれませんが、実際の溶接作業と同じか近い内容で選ぶ、もしくは発注元からの要求に応じるのが基本です。溶接技能者資格は、まず溶接する材料や対応する業界により、大きく 9 種類に分かれています。例えば、炭素鋼の資格(手溶接技能者資格、半自動溶接技能者資格、すみ肉溶接技能者資格)、ステンレス鋼の資格(ステンレス鋼溶接技能者資格)、基礎杭業界に対応する基礎杭溶接技能者資格、石油業界に対応する石油工業関係溶接士資格などがあります。次に、この 9 つの種類の中で、①溶接方法、②裏当て金の有無、③板厚・肉厚、④溶接姿勢などにより、さらに細かく具体的な資格種別が分かれます(A-2F など略号で表記しているのが具体的な資格種別です)。これら資格種別から、実際の溶接作業に適合するものや、発注元からの要求に沿うものを選んで受験してください。

下記の各項目をクリックの上、必要な情報をご確認願います。

資格種類と等級などの区分

溶接技能者の技量は、溶接の対象となる構造物などの品質を左右する重要な要素であり、溶接技能者の資格は、構造物などの製作にあたり適用法規、発注仕様書などによって要求されています。日本溶接協会では、JIS、WESなどの検定試験規格にもとづいて評価試験を全国各地で行い、資格認証しています。

溶接技能者の資格対象材料と溶接方法によって区分された次の資格があります。

資格の名称
【クリック詳細】
対象材料溶接方法適用規格
【クリック詳細】
手溶接
(アーク溶接)
炭素鋼被覆アーク溶接JIS Z 3801: 手溶接技術検定における試験方法及び判定基準
WES 8201: 手溶接技能者の資格認証基準
ティグ溶接
ティグ溶接と被覆アーク溶接との組合せ
手溶接
(ガス溶接)
炭素鋼ガス溶接
半自動溶接炭素鋼マグ溶接JIS Z 3841: 半自動溶接技術検定における試験方法及び判定基準
WES 8241: 半自動溶接技能者の資格認証基準
ティグ溶接とマグ溶接との組合せ
セルフシールドアーク溶接
ステンレス鋼
溶接
ステンレス鋼被覆アーク溶接JIS Z 3821: ステンレス鋼溶接技術検定における試験方法及び判定基準
WES 8221: ステンレス鋼溶接技能者の資格認証基準
ティグ溶接
ティグ溶接と被覆アーク溶接との組合せ
ミグ溶接又はマグ溶接
チタン溶接チタン
チタン合金
ティグ溶接JIS Z 3805: チタン溶接技術検定における試験方法及び判定基準
WES 8205: チタン溶接技能者の資格認証基準
ミグ溶接
プラスチック
溶接
塩化ビニル
ポリエチレン
ポリプロピレン
ホットジェット溶接JIS Z 3831: プラスチック溶接技術検定における試験方法及び判定基準
WES 8231: プラスチック溶接技者の資格認証基準
銀ろう付ステンレス鋼
炭素鋼
銀ろう付JIS Z 3891: 銀ろう付技術検定における試験方法及び判定基準
WES 8291: 銀ろう付技能者の資格認証基準
すみ肉溶接炭素鋼被覆アーク溶接WES 8101: すみ肉溶接技能者の資格認証基準
マグ溶接
石油工業溶接高張力鋼
耐熱鋼
ステンレス鋼
被覆アーク溶接WES 8102: 溶接士技量検定基準(石油工業関係)
JPI-7S-31-2007: 溶接士技量検定基準(石油工業関係)
ティグ溶接
ティグ溶接と被覆アーク溶接との組合せ
基礎杭溶接炭素鋼管被覆アーク溶接WES 8106: 基礎杭溶接技能者の資格認証基準
マグ溶接
セルフシールドアーク溶接

受験資格

各資格の受験資格は下表の通りとなります。 なお、手溶接の内のガス溶接と銀ろう付の受験にあたっては、労働安全衛生法及び労働安全規則に基づく「ガス溶接技能講習」を修了していること(高等学校又は職業訓練機関に在学中の場合は、これと同等の安全講習・技能講習を受講していること)が必要です。その他の資格の受験にあたっては、同法・規則に基づく「アーク溶接等特別教育」を修了していることが望ましいものとされます。

各資格の受験資格(クリック)

資格の種類資格の級別・種別受  験  資  格
手溶接技能者 半自動溶接技能者 ステンレス鋼溶接技能者 チタン溶接技能者 プラスチック溶接技能者基本級1か月以上溶接技術を習得した15歳以上の者
専門級3か月以上溶接技術を習得した15歳以上の者で,資格の種類毎に設けられている各専門級に対応する基本級の資格を所有する者
銀ろう付技能者1か月以上ろう付技術を習得した15歳以上の者
すみ肉溶接技能者基本級被覆アーク溶接JIS Z 3801に基づくN-1F,A-2F,N-2F,A-3 F,N-3Fのいずれかの資格所有者
マグ溶接JIS Z 3841に基づくSN-1F,SA-2F,SN-2F,SA-3F,SN-3Fのいずれかの資格所有者
専門級被覆アーク溶接基本級Fil-Fを所有する者
マグ溶接基本級SFil-Fを所有する者
基礎杭溶接技能者FP-A-2PJIS Z 3801に基づくいずれかの資格所有者
FP-SA-2PJIS Z 3841に基づくいずれかの資格所有者
FP-SS-2P

石油工業溶接士資格の受験資格(クリック)

資格の種類受験資格:該当する資格を所有する者(資格が有効期限内であること)
E種1級JIS Z 3801に基づくA-2F,N-2F,A-3F,N-3F,C-2F,C-3Fのいずれかの技術資格を有すること
E種2級
F種1級
FT種1級JIS Z 3801に基づくT-1F,C-2F,C-3Fのいずれか又はJIS Z 3821に基づくTN-F,CN-FMのいずれかの技術資格を有すること
FC種1級JIS Z 3801に基づくA-2F,N-2F,A-3F,N-3F,C-2F,C-3F,T-1Fのいずれか又はJIS Z 3821に基づくTN-F,CN-F,CA-F,CN-FMのいずれかの技術資格を有すること

評価試験の内容

各資格の評価試験は,当該規格に規定された溶接技術に関する基礎的な知識及び溶接技量を評価するために,下表に示す試験を行います。

各資格の評価試験

資格の種類試験の科目実技試験の内容実技試験材の試験方法
学科試験実技試験外観試験曲げ試験破面試験引張試験X線試験気密試験
表曲げ裏曲げ側曲げ
手溶接技能者上述の“資格の種別と等級などの区分”に示す条件による試験材料の溶接など××××
半自動溶接技能者××××
ステンレス鋼溶接技能者×××××
チタン溶接技能者×××××
銀ろう付技能者×××××
プラスチック溶接技能者××××××
すみ肉溶接技能者×××××××
基礎杭溶接技能者××××××
石油工業溶接士××××

受験申込試験日程会場及び窓口

受験申込

受験申込や各種手続き等は、WEB 申込み(e-Weld)にて受付いたします。以下画像をクリック頂き、詳細をご確認の上、お手続き願います。なお、手続き、その他不明点の質問などは、後述の窓口となる地区検定委員会又は指定機関にて行ってください。

評価試験の⽇程・会場

窓 ⼝

講習会と評価試験は指定機関で受付(⼀部の評価試験は検定委員会も受付)

サーベイランスは各地区検定委員会で受付

受験の心得、合否通知認証手続

受験の心得

  • 事前に送付される書類(受験の心得など)には、必ず目を通しておいてください。
  • 受験票と作業着、安全防具、工具類、溶接材料、筆記用具(学科試験受験時)など個人で用意しなければならない物品を忘れずに持参してください。
  • 試験会場では、評価員、係員などの指示に従ってください。
  • 試験時における安全確保のため、各資格詳細ページの「受験時の安全」又はパンフレット「安全必携」を事前に読んで受験してください。

合否通知

  • 試験の結果は、受験後2ヵ月程度で通知いたします。
  • 新規受験において、実技試験が合格し学科試験が不合格の場合、45日以内に申し込めば1回に限り学科追試を受験できます。
  • 新規受験において、学科試験に合格し実技試験が不合格の場合、学科合格証明書を送付します(証明書を提示することで、3年間は実技試験のみの受験ができます)。

認証手続

  • 適格性証明書を受領した際には、記載事項に間違いがないか確認してください。また、証明書の裏面に印刷された事項を必ず読んでおいてください。

サーベイランス、再評価・資格認証フロー

サーベイランス

「適格性証明書」の有効期間は1年とし、この有効期間満了前3か月以内にサーベイランスの申請を行い、適格性が維持されていることが確認された場合、引き続き1年間有効の「適格性証明書」が交付されます(このサーベイランスの申請は2回行います)。

再評価

資格の登録後3年を経過(サーベイランスを2回受けて1年を経過)し、資格を更新しようとする場合は、有効期間を満了する前8か月から2か月の間に再評価を受けなければなりません。

資格認証フロー