2023年度事業報告

1.本委員会

2023/6、2023/10、2024/3の3回にわたり本委員会を開催し、委員会議事の検討・承認および3.の技術講演会・見学会を実施した。また、第2回委員会は厚板向けの最適ロボット施工技術開発プロジェクトとの合同委員会とし、併せて見学会を実施した。

2.プロジェクト研究活動

2.1  知的情報処理制御・システム化技術検討プロジェクト(主査:金子裕良)

HDR機能を持つCMOSカメラなどが溶接現象の観察などに用いられてきている。そこで、これらのセンサ類の溶接ロボットへの適用状況の調査を行った。具体的には、溶接溶融現象の観察および画像処理など知的センシングする方法および、深層学習に基づく画像処理方法などについての情報収集および適用可能性を調査した。

2.2  厚板向けの最適ロボット施工技術開発プロジェクト(主査:中込忠男)

2.2.1 鉄骨溶接ロボット施工時の溶接欠陥の現状調査と対策案の構築

ロボット溶接使用時の溶接部の溶接欠陥の発生状況について収集したデータに関して検討を行った。ファブリーケータ3社で、ロボット溶接と溶接技能者の半自動溶接での欠陥発生位置をまとめた結果、いずれの場合も初層に多いこと、中間層では、ロボット溶接は開先側に多く、半自動溶接は壁側に多いなどの傾向が得られた.

2.2.2 組立て溶接に使用する溶接材料が完全溶込み溶接の機械的性質に及ぼす影響

母材に550N/㎟級の建築構造用高強度鋼を使用している場合の完全溶込み溶接部において、開先内に組立て溶接を行う場合、組立て溶接の溶接材料の影響に関して、溶接材料と組立て溶接長さを変えて行った溶接施工試験の実験結果を対象に、マクロ試験、磁粉探傷試験により割れ発生状況を検討し、「組立て溶接の溶接材料が完全溶込み溶接部の機械的性質に及ぼす影響 (その4)溶接割れ」と題して日本建築学会大会にその成果を発表した。引き続き、硬さ試験などを行いさらに分析を進めた。

2.2.3 鉄骨溶接ロボットの分野開拓

人協働ロボットについて、メーカ2社よりの講演会を開催し情報収集を行った。また、ロボット溶接研究委員会本委員会との合同でロボットメーカ工場見学会を実施し、人協働ロボットなどについて視察を行った。これらの講演会や見学会をもとにして建築鉄骨の溶接施工における活用方法や支援ニーズ・課題についてファブ3社の委員を中心にしてワーキンググループ(板谷委員主査)活動で検討を行った。

3.技術講演会及び見学会

3.1   技術講演会 

3.1.1 第1回本委員会

      特別講演①「新型溶接ロボットコントローラー G4のご紹介」  パナソニックコネクト株式会社   磯見 卓哉 氏

      特別講演②「高能率TIG溶接システム PLASMA JET TIGのご紹介」  株式会社ダイヘン   宮原 寿朗 氏

3.1.2 第2回本委員会

技術講演会は開催されなかった。

3.1.3 第3回本委員会  

      特別講演①「スポット電動ガンの小型軽量化について」  株式会社安川電機   金森 貴彦 氏

      特別講演②「溶融池モニタリング画像とAIを用いた溶込み推定手法に関する研究」  大阪大学   野村 和史 氏

3.2   見学会

2023年度は、ファナック株式会社殿(山梨県忍野村)にて、同社の人協働ロボットの開発製造現場などを見学した。