溶接注目発明賞について
本賞は、溶接・接合関係の発明を奨励し顕彰することで、我が国の工業の発展と国民生活向上に寄与することを目的としており、日本国特許庁に登録された溶接・接合に関わる発明で特に「注目に値すると認められる特許発明」の発明者に授賞するものです。
第56回日本溶接協会賞 第41回溶接注目発明賞 受賞者決定
特許庁長官賞
溶接注目発明賞では、授賞候補の中から特に優れていると認められる発明を、特許庁長官賞の候補として特許庁へ推薦しております。審査の結果、今年度は下記の発明を特許庁へ推薦し、承認されました。
発明名称
アーク溶接制御方法(特許第7289043号)
発明者
パナソニック コネクト株式会社
野口 昂裕 氏、中川 晶 氏、藤原 潤司 氏
発明の概要
炭酸ガスアーク溶接は、安価で取り扱いが容易であることから、産業分野において広く普及している溶接法である。一方で、スパッタの飛散によるワークへの付着が課題として知られており、スパッタ低減は溶接品質の向上や後工程における除去作業時間の短縮の観点から極めて重要である。特に、グロビュール移行領域に相当する中電流域では、アーク期間中に発生する微小短絡に起因したスパッタが多く、これを抑制するために様々なアーク溶接制御方法が開発されてきた。
しかし、従来の制御方法を適用しても、中電流域における微小短絡時のスパッタは依然として発生しやすく、十分な低減が困難であることが問題であった。
本発明は、スパッタ低減が可能な電流域の拡大を目的とし、短絡移行領域の低電流域で用いられてきたアーク溶接制御方法を、中電流域へ応用することで開発した新たなアーク溶接制御方法である。本発明では、溶滴の挙動および溶融池の振動に着目し、短絡開放後のアーク期間中にピーク電流を2回出力することを特長とする。従来は、1回目のピーク電流によって発生したアーク圧力が溶融池を押し広げるように振動する。その後、ピーク電流を低減するタイミングで広がった溶融池が中心に戻ろうとするため、その反動により溶融池が盛り上がるように振動する。その際にワイヤ先端の溶滴と溶融池の距離が近づくため、微小短絡が発生しやすくなる。本発明では、1回目よりも小さい2回目のピーク電流を出力することで溶融池の振動を抑制し、ワイヤ先端の溶滴と溶融池との距離を安定的に確保する。これにより、微小短絡の発生を抑制し、中電流域におけるスパッタ低減を実現する。
このアーク溶接制御方法は、炭酸ガスアーク溶接における長年の課題であった中電流域でのスパッタ低減を可能とし、適用可能な電流範囲の拡大に大きく貢献するものである。その技術的独創性および産業的有用性は高く、アーク溶接業界において注目されている発明である。

特許庁長官賞の授与(日本溶接協会賞授与式にて)
溶接注目発明賞
| 発明名称/番号 | アーク溶接制御方法/特許第7289043号 | ||
| 受賞者 | パナソニック コネクト(株) | 野口 昂裕 | |
| 中川 晶 | |||
| 藤原 潤司 | |||
| 発明名称/番号 | MIG溶接方法/特許第7060159号 | ||
| 受賞者 | JFEスチール(株) | 小西 恭平 | |
| 澤西 央海 | |||
| 松田 広志 | |||
| 村上 善明 | |||
| 発明名称/番号 | プラズマトーチ用部品交換ユニット/特許第6636249号 | ||
| 受賞者 | コマツ産機(株) | 山口 義博 | |
| 近藤 圭太 | |||
| 齋尾 克男 | |||




