本委員会は、化学機械・プラント圧力設備分野の溶接・加工技術に関する調査と研究を行い、その活動成果を活用して同分野の溶接接合品質の維持・向上を図り、併せて次世代の技術者・研究者の人材育成を図ることを目的に活動している。

 2024年度の事業計画を以下に示す。主な事業として、WES 2820(圧力設備の供用適性評価方法―減肉評価)の改正、二相ステンレス鋼の溶接ガイドラインに関する技術図書「二相ステンレス鋼の溶接―溶接施工のかんどころ-」の刊行などを計画している。

1.本委員会活動

 化学機械・圧力設備の溶接・加工、維持・管理などに関した以下の7テーマを中心に、本委員会を年4回開催する。開催予定は、第309回委員会:6月、第310回委員会:9月、第311回委員会:12月、第312回委員会:3月(2025年)である。

  1. 溶接・加工技術に関する調査と研究
  2. 損傷・劣化事例の調査とその防止に関する研究
  3. 供用適性評価(減肉評価)WESの適用普及、及び寿命診断・保全技術に関する調査と研究
  4. 溶接補修指針の整備と拡充、及び溶接補修WESの適用普及
  5. IoT、AIなどの活用による化学機械分野のDX及びスマート保安技術の調査と研究
  6. 関係法規・規格の調査・検討
  7. 圧力設備の製作・保全技術の海外規格化の情報収集と当委員会の技術研究成果、規格の海外展開

2.合同委員会

 上記4回の委員会の内、第312回の委員会は特殊材料溶接研究委員会との合同委員会として開催する。

3.見学会

 第309回又は第310回の委員会は、見学会を併設して行うことを予定している。

4.小委員会及びWG活動

4.1 N2バックシールド適用評価合同小委員会

 溶接材料部会との合同で、ステンレス鋼のティグ片面溶接で一般的に用いられているArガスに代わり、N2ガスの適用性を評価することを目的とした小委員会を2022年度に発足させた。これまでに、Ar ガス及び N2 ガスをバックシールドに用いて作製した溶接継手の性能評価と、実験および流体シミュレーションによるガス置換挙動の検討を実施した。2024年度は、これらの結果と関連文献レビューによるデータ補完により、N2バックシールド適用指針を作成する。

4.2 WG活動

 次の7つのWG活動を行う。

1) 委員会運営WG

 本委員会の将来ビジョンの構築、活動テーマの探索、講演話題の調査・分析、国際活動などを目的とした委員会運営・将来展開に関する検討を行う。

2) WES 2820改正WG

 2015年に発行したWES 2820(圧力設備の供用適性評価方法−減肉評価)が定期見直しを迎えたことに伴い、改正に向けた諸検討を行うWGを2020年度に発足させた。WGでは、最近の国内外の類似規格との比較検討、構造不連続部近傍の減肉の取扱いなどの有用な最新知見の取込み、適用例題の充実(附属書)など、本規格の利便性向上を図っている。2024年度は改正原案ドラフトを完成させ、改正原案作成委員会を発足させる。

3) 溶接補修WG

 「プラント圧力設備の溶接補修指針」の改訂について、WES 7700規格群に基づく整備と信頼性を高めるための追加調査などによる拡充を行っている。本指針の改訂ドラフトを作成するとともに、現行のWES 7700規格群の改正と続編規格について画策する。

4) DSSガイドライン出版WG

 2017年のシンポジウムテキスト「二相ステンレス鋼の溶接ガイドライン」を基にして、溶接施工上の主要留意事項を抜き出し、溶接工程ごとの技術的な補足説明を加えた技術図書「二相ステンレス鋼の溶接―溶接施工のかんどころ-」(A5版ハードカバー書籍)を刊行する。

5) 圧力設備の溶接設計施工講習会WG

 圧力設備の設計・製作分野における技術者育成と技術伝承を図るため、圧力設備の構造・製作方法を決定するための基本設計、溶接施工要領、品質管理のポイントなどを取り纏め、2023年3月に第1回「圧力設備の溶接設計施工テキスト講習会」を開催した。2024年度は、講習会内容に関するアンケート結果の分析をふまえて、第2回目の「圧力設備の溶接設計施工テキスト講習会」を開催する。

6) 海外活動WG

 圧力設備関連技術の海外展開を組織的に進めるため、2020年度に新たに本WGを発足させた。圧力設備の製作技術、維持・保全技術に関する海外規格の動向・最新情報を収集し、フィードバックすることにより、委員会の技術研究や規格・ガイドライン化などの各活動をサポートする。また、委員会活動の海外展開を画策し、我が国の化学機械分野に有益な情報提供を図るとともに、国際規格化を促進する。

7) 情報化WG

 本委員会のこれまでの発表資料を整理・分析し、溶接情報センターへ提供可能なアーカイブ化コンテンツ検討を行う。この成果は,本委員会の将来活動展開に役立てる。