部会長挨拶
船舶・鉄構海洋構造物部会部会長 勇﨑 雅朗 氏 (ジャパンマリンユナイテッド株式会社)
当部会は(一社)日本溶接協会の設立とほぼ同時期に設立された部会の一つであり、70年以上の長い歴史と伝統を有しております。造船会社16社(21事業所)、機器材料鉄鋼メーカー8社、1船級協会で構成されており大学・中立機関とも連携を取りながら活動しております。
近年の日本および世界各国の造船所では、省エネ技術や環境負荷低減技術の発展に尽力しているところですが、日本の生産現場では高齢化・出生率低下による生産年齢人口の減少が喫緊の課題となりつつあります。生産現場での人手不足は避けられない状況にある中、日本の造船生産現場ではスマートファクトリーを目指し、ロボット活用による自働化・省人化や、政府主導によるIoT・AIなどの革新技術を活用した生産性向上に関する研究開発(i-shipping)を船舶・鉄構海洋構造物部会として積極的に取り組んでおります。
もう一方で欠かすことができないものが、世界的な脱炭素化の動きです。2011年にMARPOL条約附属書VIが改正され、新造船に対して、1トンの貨物を1マイル輸送する際のCO2排出量(Energy Efficiency Design Index)を一定値以下とすることが義務化されました。2018年には、今世紀中に国際海運からのGHGゼロ排出を目指す”GHG削減戦略”が採択され、2050年にはCO2排出量を2008年比で50%以下を目標とすることが国際合意されました。この動きは加速され、2022年度には2050年ネットゼロを目指す野心的な目標がIMOで採択されました。
その結果、船舶建造においてもCO2ガスの排出量が少ない次世代燃料を用いた船舶のニーズが急速に高まっており、次世代燃料タンクなどの分野でこれまで造船では適用されなかった材料に対する技術開発が必要になってきました。これらは、他の業界や構造物では、すでに実用化されたものも多くこれらの知見を活かした開発が可能である一方、造船特有の片面溶接やすみ肉溶接が多用される構造に対する開発、さらなる生産性の向上が必要となり、部会としても取り組むべき課題の一つとなっております。
今後も部会規則に明記されている「業界の健全な発展に貢献することを目的とする」事を目指し、産学連携による画期的な溶接技術の提案、研究開発を行い、我が国の造船業の永続的な運営に寄与できる様に部会員一丸で取り組んでまいります。
最後になりますが、船舶・鉄構海洋構造物部会は、今後も造船業界の発展を目的として、一層積極的な活動を推進して参りますので皆様方のご支援、ご協力賜りますことを、何卒よろしくお願い申し上げます。
部会へ入会を希望される企業・団体の皆様へ
部会への入会を希望される方は、初めに(一社)日本溶接協会の業務部までお電話をお願いいたします。お電話にて入会に関する手続き等を説明させていただきますので、その後入会申込書のご提出をお願いいたします。入会申込書については、本ページに掲載されておりますpdfファイルをご利用ください。