【 告 知 】溶接技能者の各資格認証基準について(2021.10)
■石油工業関係溶接士の資格は、公益社団法人石油学会の委託により石油学会規格(JPI-7S-31-2021)にもとづいて一般社団法人日本溶接協会が認証する資格です。
■石油工業関係溶接士の資格には、日本溶接協会が認証した手溶接技能者資格、ステンレス鋼溶接技能者資格及び半自動溶接技能者資格を読替することができる資格と日本溶接協会がJPI-7S-31にもとづき評価試験を実施して認証する資格があります。
下記の各項目をクリックの上、必要な情報をご確認願います。
適⽤する規格
石油工業関係溶接士の種類
資格の種類は、溶接方法、溶接姿勢、試験材料の種類と厚さ、溶接継手と開先形状、裏当て金の有無などにより区分されており、各資格種別の詳細及び受験資格は、下表の通りとなります。
溶接 方法 | 石油学会(JPI) の技量資格 | JIS資格種別記号 | 試験材料の種類 | 溶接姿勢* | 試験片の試験の種類 | 確認の 方法** | |
被覆 アーク 溶接 | A種 | 1級 | N-2F・V・H・O | 炭素鋼(板), 厚さ 9mm | F.V.H.O | 表曲げ試験 裏曲げ試験 | JIS資格読替 |
2級 | N-2F・V・H | F.V.H | |||||
B種 | 1級 | N-3F・V・H・O | 炭素鋼(板), 厚さ 19mm | F.V.H.O | 側曲げ試験 裏曲げ試験 | JIS資格読替 | |
2級 | N-3F・V・H | F.V.H | |||||
C種 | 1級 | N-2F・P | 炭素鋼(管), 150A Sch80 | 水平固定管 鉛直固定管 | 表曲げ試験 裏曲げ試験 | JIS資格読替 | |
D種 | 1級 | N-3F・P | 炭素鋼(管) 200A又は250A 厚さ20mm以上 | 水平固定管 鉛直固定管 | 側曲げ試験 裏曲げ試験 | JIS資格読替 | |
E種 | 1級 | ― | 規格最小引張強さ 570~610N/mm2又は 780N/mm2の高張力鋼(板) 厚さ 19mm以上 | F.V.H.O | 側曲げ試験 破面試験 | 実技試験 | |
2級 | ― | F.V.H | |||||
F種 | 1級 | ― | 2.25Cr-1Mo 鋼(管), 150A Sch80 | 水平固定管 鉛直固定管 | 表曲げ試験 裏曲げ試験 | 実技試験 | |
G種 | 1級 | CN-F・V・H・O | オーステナイト系ステンレス鋼(板) 厚さ 9mm | F.V.H.O | 表曲げ試験 裏曲げ試験 | JIS資格読替 | |
2級 | CN-F・V・H | F.V.H | |||||
H種 | 1級 | CN-P | オーステナイト系ステンレス鋼(管) 150A Sch80 | 水平固定管 鉛直固定管 | 表曲げ試験 裏曲げ試験 | JIS資格読替 | |
ティグ 溶接 | CT種 | 1級 | T-1F・P | 炭素鋼(管) 100A Sch20 | 水平固定管 鉛直固定管 | 裏曲げ試験 | JIS資格読替 |
FT種 | 1級 | ― | 2.25Cr-1Mo鋼(管) 50A Sch40 又は外径63.5×厚さ4.0mm | 水平固定管 鉛直固定管 | 裏曲げ試験 | 実技試験 | |
HT種 | 1級 | TN-F・P | オーステナイト系ステンレス鋼(管) 100A Sch10S | 水平固定管 鉛直固定管 | 表曲げ試験 裏曲げ試験 | JIS資格読替 | |
組合せ 手溶接 | CC種 | 1級 | C-2F・P | 炭素鋼(管) 150A Sch80 | 水平固定管 鉛直固定管 | 表曲げ試験 裏曲げ試験 | JIS資格読替 |
DC種 | 1級 | C-3F・P | 炭素鋼(管) 200A又は250A 厚さ20mm以上 | 水平固定管 鉛直固定管 | 側曲げ試験 裏曲げ試験 | JIS資格読替 | |
FC種 | 1級 | ― | 2.25Cr-1Mo鋼(管) 150A Sch80 | 水平固定管 鉛直固定管 | 表曲げ試験 裏曲げ試験 | 実技試験 | |
HC種 | 1級 | CN-PM | オーステナイト系ステンレス鋼(管) 150A Sch80 | 水平固定管 鉛直固定管 | 表曲げ試験 裏曲げ試験 | JIS資格読替 | |
組合せ 半自動溶接 | CS種 | 1級 | SC-2F・P | 炭素鋼(管) 150A Sch80 | 水平固定管 鉛直固定管 | 表曲げ試験 裏曲げ試験 | JIS資格読替 |
DS種 | 1級 | SC-3F・P | 炭素鋼(管) 200A又は250A 厚さ20mm以上 | 水平固定管 鉛直固定管 | 側曲げ試験 裏曲げ試験 | JIS資格読替 | |
** 確認の方法の内,“JIS資格読替”とは,一般社団法人 日本溶接協会がJIS Z 3801,JIS Z 3821 又は JIS Z 3841に基づき認証した技術資格を確認することで読み替えることを指します。
石油工業関係溶接士の受験条件
溶接方法 | 技量資格 | 受験条件 |
被覆アーク溶接 | E種1級 | JIS Z 3801に規定される下記のいずれかの技術資格を有すること。 A-2F、N-2F、A-3F、N-3F、C-2F、C-3F |
E種2級 | ||
F種1級 | ||
ティグ溶接 | FT種1級 | 下記のいずれかの技術資格を有すること。 (1) JIS Z 3801に規定される下記のいずれか T-1F、C-2F、C-3F (2) JIS Z 3821に規定される下記のいずれか TN-F、CN-FM |
組合せ手溶接 | FC種1級 | 下記のいずれかの技術資格を有すること。 (1) JIS Z 3801に規定される下記のいずれか A-2F、N-2F、A-3F、N-3F、C-2F、C-3F、T-1F (2) JIS Z 3821に規定される下記のいずれか TN-F、CN-F、CA-F、CN-FM |
評価試験の内容
実技試験のみ JPI-7S-31-2021 にもとづいて行い、外観試験、曲げ試験及び破面試験(E種のみ)により評価します。
試験に使用できる溶接材料及びガスについて
*評価試験で使用できる使用溶接材料は、受験申請時に選択した溶接材料のみ使用可とし、評価試験当日の使用溶接材料の変更は不可となります。
・シールドガスはアルゴンのみです。
受験時の安全
溶接技能者評価試験中の災害を防止するために、受験者の皆さんに特に守っていただきたい事項をまとめました。なお、これら安全上のルールや評価員の指示に従わなかった場合、参加者の安全を確保できないと判断し、試験を中止(不合格)することがあります。皆様方の安全を確保するために、どうかご協力願います。
1.溶接作業に適した服装を着用しましょう
安全作業は、まず服装からといわれています。キチンとした服装で溶接作業をするために、特に次のようなことに注意して下さい。
●作業服は、油汚れや湿気のないものを着用して下さい。
●作業服は、溶接作業に適したものを着用して下さい(上衣は長袖を、ズボンの裾は折り返しのないものを)。
●作業靴、安全帽(または作業帽)を着用して下さい。
2.適正な安全保護具を着用しましょう
使用する安全衛生保護具には次のようなものがありますが、必ず適正なものを使用するようにして下さい。
●ア-ク溶接用の保護具の例
しゃ光ガラス(フィルタ-プレ-ト)付溶接用保護面、保護メガネ、防じんマスク、かわ製のア-ク溶接用手袋(全長350㎜程度のもの)、前掛け、腕カバ-、足カバ-
●ガス溶接用の保護具の例
しゃ光保護メガネ、かわ製のガス溶接用手袋または清潔な軍手、前掛け、腕カバ-、足カバ-
ア-ク溶接で起きる主な災害は…
・感電
・ア-ク光による障害
・やけど
・爆発、火災
・ヒュ-ム、ガスによる障害
・酸欠症
などがあります
3.感電事故を防止するために
「目に見えないが命をねらう」のは、忍者ならぬ電気です。感電事故を防止するために、特に次の事項を守って下さい。
●素手や湿気を含んだ手袋で、電源のスイッチ、溶接機のスイッチ、溶接棒ホルダ、溶接ト-チおよび
溶接用ケ-ブルなどや、その他電気機器の導電部に触れない。
●溶接作業を始める前に、使用する溶接装置や溶接機の電源スイッチの位置を確認しておく。
●溶接作業を終了したら、直ちに溶接装置や溶接機の電源スイッチを切る。
●溶接棒ホルダ、溶接ト-チおよび溶接用ケ-ブルなどの保護被覆が損傷していることを発見したときは、直ちにそれらの使用を中止し、立会評価員または係員に申し出て、新しいものと交換してもらうか、修理などをしてもらう。
万一、感電事故が発生したら!
事故を発見した人または近くの人は、直ちに感電事故を起こしている人が使用している溶接装置、または溶接機の電源スイッチをきって立会評価員または係員に通報して下さい。
4.ガス漏れ、爆発、火災などの事故を防止するために
●溶接作業場所内やその付近は整理整頓し、燃えやすいものを置かない。
●消火設備(消化器、消火栓、消化用水など)の設置場所を、あらかじめ確認しておく。
●ガス溶接装置を使用する場合は、所定の資格を証明する書面(ガス溶接作業主任者免許証またはガス溶接技能講習修了証)を携帯する。
ガス漏れ、爆発または火災などの事故が発生したら!
事故を発見した人または近くの人は、直ちに大声でまわりの人々に知らせるとともに、立会評価員または係員に通報して下さい。
5.自らの安全と周囲の人々の安全のために
●通路には、みだりに工具や物を置かない。
●試験材を保持用のジグに取り付けるとき、あるいは高さなどの位置を決めるときは、取り付け用のねじなどを十分に締付け、試験材やジグが落下しないようにする。
●熱い試験材などを運搬するときは、専用の工具などを用いるようにする。試験材などを運搬するときは、足の上などに落とさないようにしっかりと持つ。また、無理な姿勢で持って腰を痛めないように気を付ける。試験材を床に置くとき、投げるように置かない。
●試験時間には、遅れないように。また、受験票、持参品なども事前に点検して、忘れ物がないようにして下さい。
●試験中は、立会評価員または係員から指示された事項等を守って下さい。
●試験中の皆さんが、不安全な行為や作業をしているときは、立会評価員または係員が注意することがあります。直ちに改善してから作業等をして下さい。
●試験中の受験者にみだりに話しかけたり、近づいたりしないようにして下さい。
●試験のために指定された場所以外に立ち入ったり、試験に関係のない機器材などに触れないようにして下さい。
●試験に必要な工具以外は、持ち込まないようにして下さい。
●試験中は、禁煙です。喫煙は、指定された場所で行って下さい。
●試験に使用する溶接装置または溶接機、溶接棒ホルダ、溶接ト-チ、溶接用ケ-ブル、ガスホ-ス、溶接作業台および試験材保持用ジグなどはていねいに取扱って下さい。特に、溶接作業台や試験材保持用ジグなどには、ア-クを出さないようにして下さい。
●試験中は、他の受験者の迷惑や邪魔にならないように、お互いに注意して下さい。
●試験用の設備などに不安全と思われる状態を発見したときは、直ちに係員に申し出て下さい。
●試験中に気分が悪くなったりしたときは、直ちに評価員または係員に申し出て下さい。