2022年度 活動報告(2023.4.1) 

デジタルラジオグラフィ(D-RT)に関連するISO規格がJIS Z 3110(溶接継手の放射線透過試験方法―デジタル検出器によるX線及びγ線撮影技術)として2017年にJIS化されたのを受けて、JIS規格に基づきIPなどを用いての試験体撮影を実施し、技術的検討を行うとともに採取したデータに関しての集合観察実験を前年度に引き続いて実施した。そこでは、規格で規定されている値の妥当性などの検討を行い、特に、観察条件の適正化に向けた取り組みを進めてきている。

しかし、本年度も、新型コロナウイルス感染拡大防止の影響を受けて、撮影などの実験を進めることは困難であったが、2018年度までの3ヶ年に実施した集合実験について整理してまとめた結果を参考に、フィルムラジオグラフィとコンピューテッドラジオグラフィ画像の比較、デジタルRTにおける画像観察環境の影響及びデジタル法による針金形透過度計及び有孔形透過度計の識別性について、再度、見直しを行った。

発表を予定していた2020年に韓国で開催される第20回国際非破壊試験コンファレンス(12th WCNDT 2020)は、新型コロナウイルス感染拡大が収まらないことから、再延期しての2024年の開催が2022年1月に決定した。

そのため、主に、発表原稿の見直しと再提出の準備を進めてきたが、大幅な期間延伸に伴い、その後の実験及び検討結果からも、観察者により識別性(きず、複線形像質計あるいは透過度計)にばらつきが生ずること、観察時の画像の表示条件に差異があることなどが明らかとなった。そのため散乱線が十分に遮蔽しきれなかった画像を抽出して、2020年度に行った再度の撮影で取得した画像に対する集合観察実験を実施した。それらの結果を今後の発表にどのように反映させるかの検討に着手した。

一方、AN委員会で発刊した“工業分野におけるデジタルラジオグラフィの基礎とその応用―フィルムからデジタルへの展開”について、初版3刷を前年度に発行したのを活用して、D-RTの技術講習会を昨年度に引き続き、東京でのみ開催した。新型コロナウイルス対策を取った上で、昨年同様、参加人数を絞って実施して、D-RTの普及を図った。

今年度は設立30周年を迎え、12月1日に当協会にて式典を挙行し、特別講演及び懇親会を行って多くの関係者に参加していただき、発足当時を偲んで歓談した。

さらに、(一社)非破壊検査協会の協力を得て準備を進め、改正原案作成委員会の審議を経て2022年3月に溶融溶接継手の外観試験に関する規格(JIS Z 3090)が官報公示されたのを受けて、当協会の外観試験の指針に関するWES規格の改正に着手した。

今後もD-RT技術者の技術向上のためにもAN委員会を継続し、JIS Z 3110の普及・拡大を図るとともに、溶接継手に関わる非破壊試験関連規格の調査・検討を進める予定である。

2021年度 活動報告(2022.4.1)

デジタルラジオグラフィ(D-RT)に関連するISO規格が2017年にJIS化され、JIS Z 3110(溶接継手の放射線透過試験方法―デジタル検出器によるX線及びγ線撮影技術)として制定されたのを受けて、JIS規格に基づいてIPなどを用いての試験体撮影を実施し、技術的検討を行うとともに採取したデータに関しての集合観察実験を行い、規格で規定されている値の妥当性などの検討を継続して進めてきている。
しかし、本年度も、新型コロナウイルス感染拡大防止の影響を受けて、実験などを計画通りに進めることは困難であった。2018年度までの3ヶ年に実施した集合実験の結果を整理し、フィルムラジオグラフィとコンピューテッドラジオグラフィ画像の比較、デジタルRTにおける画像観察環境の影響及びデジタル法による針金形透過度計及び有孔形透過度計の識別性について再度の見直しを行った。発表を予定していた2020年に韓国で開催される第20回国際非破壊試験コンファレンス(12thWCNDT 2020)が2021年に延期されていたが、新型コロナウイルス感染拡大が収まらないことから、2022年1月に大幅な再延期が検討され、2024年の開催が決定した。
そのため、主に、発表原稿の見直しと再提出の準備を進めてきたが、大幅な期間延伸に伴い、今年度は
2016年度までの検討結果及びその後の実験からも、観察者により識別性(きず、複線形像質計あるいは透過度計)にばらつきが生ずること、観察時の画像の表示条件に差異があることなどの課題解決の一助として、散乱線が十分に遮蔽しきれなかった画像を抽出して、2020年度に行った再度の撮影で取得した画像に対する集合観察実験を実施した。
一方、AN委員会で発刊した“工業分野におけるデジタルラジオグラフィの基礎とその応用―フィルムからデジタルへの展開”について、2014年に初版を発行して以来D-RT講習会に供してきたが、最近の規格などへ対応しての見直しを行い、初版3刷を発行した。これを活用してのD-RTの技術講習会を昨年度に引き続き、東京でのみ開催し、新型コロナウイルス対策を取った上で参加人数を絞って実施して、D-RTの普及を図った。
さらに、溶接継手の非破壊試験に関するJIS及び溶接協会規格(WES)の見直しを行い、その中で、溶融溶接継手の外観試験に関する規格(JIS Z 3090)の改正に(一社)非破壊検査協会の協力を得て準備を進め、改正原案作成委員会を設置して委員会の審議を経てMETIに提出し、2022年3月に官報公示された。
今後もD-RT技術者の拡大及び技術向上のためにAN委員会を継続するとともに、溶接継手に関わる非破壊試験関連規格の調査・検討を進め、JIS Z 3110の普及・拡大を図る予定である。

2020年度 活動報告(2021.4.1)

デジタルラジオグラフィ(D-RT)に関連するISO規格が2017年にJIS化され、JIS Z 3110(溶接継手の放射線透過試験方法―デジタル検出器によるX線及びγ線撮影技術)として制定されたのを受けて、JIS規格に基づいてIPなどを用いての試験体撮影を実施し、技術的検討を行うとともに採取したデータに関しての集合観察実験を行い、規格で規定されている値の妥当性などの検討を継続して進める計画であった。
しかし、本年度は、新型コロナウイルス感染拡大防止の影響を受けて、計画通りに進めることはできなかった。2018年度までの3ヶ年に実施した集合実験の結果を整理し、SNRによるフィルムラジオグラフィとコンピューテッドラジオグラフィ画像の比較、デジタルRTにおける画像観察環境の影響及びデジタル法による有孔形透過度計の識別性について再度の見直しを行った。
発表を予定している2020年に韓国で開催される第20回国際非破壊試験コンファレンス(12th WCNDT 2020)が2021年に延期されたが、新型コロナウイルス感染拡大が収まらないことから、さらに延期となり、2022年2月末から3月初めとなった。そのため、主に、発表原稿の再提出の準備を進めた。
2016年度までの検討結果及びその後の実験からも、観察者により識別性(きず、複線形像質計あるいは透過度計)にばらつきが生ずること、及び観察時の画像の表示条件に差異があることなどの課題解決の一助として、散乱線が十分に遮蔽しきれなかった画像を抽出して、再度撮影実験を行い、D-RT画像を取得することができた。これに対する集合観察実験を次年度に行う予定としている。
一方、AN委員会で発刊した“工業分野におけるデジタルラジオグラフィの基礎とその応用―フィルムからデジタルへの展開”を基に、昨年度に引き続き、コロナ対策を取った上で、参加人数を絞って、D-RTの技術講習会を東京でのみ開催し、D-RTの普及を図った。
さらに、溶接継手の非破壊試験に関するJIS規格及び溶接協会規格(WES)の見直しを行って、溶融溶接継手の外観試験に関する規格(JIS Z 3090)の改正に(一社)非破壊検査協会の協力を得て準備を進めた。
今後もD-RT技術者の拡大及び技術向上のためにAN委員会を継続するとともに、さらなるJIS Z 3110の普及、溶接継手に関わる非破壊試験の関連規格の調査・検討をも進める予定である。

2019年度 活動報告(2020.4.1)

デジタルラジオグラフィ(D-RT)に関連するISO規格が2017年にJIS化され、JIS Z 3110(溶接継手の放射線透過試験方法―デジタル検出器によるX線及びγ線撮影技術)として制定されたのを受けて、JIS規格に基づいてIPなどを用いての試験体撮影を実施し、技術的検討を行うとともに採取したデータに関しての集合観察実験を行って、規格で規定されている値の妥当性などの検討を進めている。

本年度は2018年度までの3ヶ年に実施した集合実験の結果を整理し直して、詳細な検討及び評価を行った。その結果について、SNRによるフィルムラジオグラフィとコンピューテッドラジオグラフィ画像の比較、デジタルRTにおける画像観察環境の影響についての検討、デジタル法による有孔形透過度計の識別性の検討の3件にまとめた。これらの成果を、今後のデジタルラジオグラフィでの撮影技術において広く活用に供するため、一社)日本非破壊検査協会の主催する第12回放射線による非破壊評価シンポジウム(令和2年2月)において発表した。また、これらの内容に関して、2020年6月※に韓国で開催される第20回国際非破壊試験コンファレンス(12th WCNDT 2020)で発表することで,投稿の準備を行った。

また、2016年度までの検討結果及びその後の実験からも、観察者により識別性(きず、複線形像質計あるいは透過度計)にばらつきが生ずること、及び観察時の画像の表示条件に差異があることなどの課題を解決して、標準的な観察条件を策定するための集合観察実験に着手した。
なお、集合実験には、東芝電力検査サービス(株)、(株)IHI検査計測、ポニー工業(株)、(株)シーエックスアール、富士フイルム(株)、(株)リガクおよび東京都立産業技術研究センターの7機関が参加した。

一方、AN委員会で発刊した“工業分野におけるデジタルラジオグラフィの基礎とその応用―フィルムからデジタルへの展開”を基に、昨年度に引き続き「D-RTの技術講習会」を東京及び大阪で開催してD-RTの普及を図った。
今後もD-RT技術者の拡大及び技術向上のためにAN委員会を継続するとともに、JIS Z 3110の普及に努める。併せて、より幅広く国内で適用されることを目指して規格関連の規制当局、監督官庁などへの働きかけをを行っていく予定である。

平成30(2018)年度 活動報告(H31(2019).4.1) 

デジタルラジオグラフィ(D-RT)に関連するJIS規格の制定に向けた活動の中で、2013年に制定されたISO規格に対して試験体の撮影の技術的検討を行うとともにIPを用いて採取したデータに関しての集合観察実験を行って規格で規定されている値の妥当性を検討した。

本年度は2018年度までの3ヶ年に実施した集合実験の結果を整理し直して、一部詳細評価に着手した。その結果として、観察者により識別性(きず、複線形像質計あるいは透過度計)にばらつきが見られた。このばらつきは、観察者に依存して観察時の画像の表示条件に差異があるとの2016年度までの検討結果から、その要因を分析するため過去に観察を行ったCR画像について、標準的な観察条件を策定するための再観察実験及び評価を行った。

なお、集合実験には、東芝電力検査サービス(株)、(株)IHI検査計測、ポニー工業(株)、(株)シーエックスアール、新日本非破壊検査(株)、富士フイルム(株)、(株)リガクおよび東京都立産業技術研究センターの8社が参加した。

また、溶接の余盛を模擬した試験片の形状についても検討を行い、製作した試験片を集合実験に供した。

一方、AN委員会で発刊した“工業分野におけるデジタルラジオグラフィの基礎とその応用―フィルムからデジタルへの展開”を基に、昨年度に引き続き「D-RTの技術講習会」を東京及び大阪で開催してD-RTの普及を図った。

今後もD-RT技術者の拡大及び技術向上のために継続するとともに、制定されたJIS Z 3110:2017(溶接継手の放射線透過試験方法デジタル検出器によるX線及びγ線撮影技術)の普及を図っていく。

平成28年度活動報告(H29.4.1)

ジタルラジオグラフィ(D-RT)に関連するJIS規格の制定に向けた活動の中で、2013年に制定されたISO規格に対して試験体の撮影の技術的検討を行うとともにIPを用いて採取したデータに関しての集合観察実験を行って規格で規定されている値の妥当性を検討した。

本年度は平成27年度までに実施した集合実験の結果を整理し直して、評価を新たに行った。その結果として観察者により識別性(複線形像質計あるいは透過度計)にばらつきが見られた。このばらつきは、観察者に依存して観察時の画像の表示条件に差異があるとの検討結果から、その要因を分析するため過去に観察を行ったCR画像について観察時の画像の表示条件を記録した上でデータを採取することによって、標準的な観察条件を策定するための再観察実験及び評価を行った。

なお、集合実験には、日立GEニュークリア・エナジー㈱、三菱重工業㈱,東芝電力検査サービス㈱,㈱IHI検査計測、ポニー工業㈱,㈱シーエックスアール、新日本非破壊検査㈱、富士フイルム(株)、㈱リガク及び都立産業技術センターの10社が参加した。

また、来年度に観察実験を行う予定としている溶接の余盛を模擬した試験片の形状についても検討を行った。

一方、2014年にAN委員会で発刊した“工業分野におけるデジタルラジオグラフィの基礎とその応用―フィルムからデジタルへの展開”を基に、昨年度に引き続き「D-RTの技術講習会」を東京及び大阪で開催してD-RTの普及を図った。今後もD-RT技術者の拡大及び技術向上のために継続するとともに、JIS規格が制定された場合はその規格の普及を図っていく。