PFM小委員会活動

確率論的破壊力学(Probabilistic Fracture Mechanics : PFM)とは、破壊力学理論に確率論(Probabilistic theory)を導入し、破壊するかどうかを破壊確率(fracture probability)として評価する学術体系である。
PFM解析技術は、すでに諸外国では安全規制や保全の最適化等に適用されている。一方、国内では、諸外国におけるPFM解析やリスク情報を活用した規制基準に対して、将来的なリスク情報活用の方向性が示された例があるものの、具体的な活用方策については、まだ現実的な議論に至っていない。しかし、今後、PFM解析技術の活用が原子炉施設等の安全確保により重要な意味を持つと考えられる。システムの安全性を評価する上で、個別機器の健全性や機能の経年等による低下を定量的に評価するPFM解析技術は、今後積極的に開発や整備、そして活用を目指すべき重要な技術である。
(一社)日本溶接協会では、原子力構造機器の健全性評価におけるPFMの有用性にいち早く着目し、1987年よりPFM関連技術の調査および応用研究を進めてきた。特に1996年から現在まで、当協会原子力研究委員会内にPFM小委員会を設置し、「原子力構造機器信頼性評価への確率論的破壊力学の適用法に関する調査研究」を進めている。そこで得られた成果は、国内外の学術講演会や学術誌に精力的に発表されており、当小委員会と当小委員会に参加するメンバーは、日本におけるPFM解析技術に係る研究開発の中核として位置づけられるのみならず、世界的にも最も先進的なPFM研究グループの一つとして注目されている。

【委員会内容】
・委員会 年4~5回
・年間費 150,000円(税別)
・問合せ先  一般社団法人 日本溶接協会 業務部 PFM小委員会 事務局
      TEL:03-5823-6324

文献紹介

リスク活用のための確率論的破壊力学技術-基礎と応用-:情報センターにて公開中

Probabilistic Fracture Mechanics for Risk-Informed Activities ‐Fundamentals and Applications


「原子炉圧力容器を対象とした確率論的破壊力学に基づく健全性評価に関する標準的解析要領」
安全上必要な機器の1つである原子炉圧力容器(RPV)に対する健全性評価に関して事象の発生頻度、破壊靭性、中性子照射脆化等の評価に用いる変数の統計的な不確実さを考慮して、RPVの破損頻度を求める確率論的破壊力学(PFM)評価に関する研究開発等が近年国内外で精力的に進められています。国内では、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構において、PFM 解析コードPASCAL(PFM Analysis of Structural Components in Aging LWR)や、国内のモデルRPVに対する破損頻度評価を行うための要領や手法・データを取りまとめた、標準的解析要領の整備が進められています。

原子炉圧力容器を対象とした確率論的破壊力学に基づく健全性評価に関する標準的解析要領については、下記 国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構のHPよりご確認下さい。
https://www.jaea.go.jp/04/anzen/group/sirg/pfm.html

http://dx.doi.org/10.11484/jaea-research-2016-022

(一社)日本機械学会・材料力学部門講演会(M&M2015)の報告

PFM小委員会メンバーが企画し、2015年11月23日(月)に(一社)日本機械学会・材料力学部門講演会(M&M2015)が慶應義塾大学・矢上キャンパスにおいてパネルセッション「確率論的破壊力学の原子力関連規格の取り込みに関する展望と課題」が開催された。本シンポジウムでは、日本機械学会や日本電気協会において関連する規格作りに中心的に携わっている方、規制関係や大学等の研究者・技術者らにそれぞれの観点から話題提供いただき、本テーマに関する展望と課題を議論した。この企画は、本小委員会で議論し検討してきている内容を、M&Mという機械系の構造工学、材料力学の専門家が集まる公開の場で、議論を行ったものである。当日は祝日かつ講演会最終日の午後という時間帯であったが、大学関係者、電力・企業やプラントメーカー、規制庁関係者など教室いっぱいの参加者が来場し、活発な議論を行った。

【プログラム】
① 趣旨説明・パネルの進め方 国立大学法人 東京大学 吉村 忍

② PFM技術の概要 国立大学法人 茨城大学 関東 康祐

③ PFMを取り入れた規格に関する海外の動向  (一財)電力中央研究所 山本 真人

④ JAEAによるPFM解析手法の研究 ~ 規制支援に向けての取り組み ~
国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 李 銀生

⑤ 日本電気協会における検討状況 ~ 原子炉圧力容器への適用と規格化 ~
三菱重工業(株) 廣田 貴俊

⑥ 日本機械学会における検討状況
日本機械学会発電用設備規格委員会   原子力専門委員会高温分科会主査
国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 浅山 泰

⑦ 総合討論

※講演資料については、各講演タイトルをクリックすると閲覧することができます。

【テキスト公開中】国際シンポジウム 確率論的破壊力力の活用による原子力の安全性向上 開催報告

1.開催概要
1)開催日:平成26年10月24日(金) 10:00~17:30
2)開催場所:溶接会館 2Fホール
3)定員:90名
4) 受講料:5,400円(消費税含む)※学生は無料
5)講演タイトル・講師
①PFM小委員会の最近の活動紹介 東京大学 吉村忍氏(PFM小委員会 主査)
Summay of Recent Activities of PFM Subcommittee
②PFMの概要とPFM解析の標準的な流れ 茨城大学 関東康祐氏(PFM小委員会 副主査)
Fundamentals of PFM Analyses
③国産PFM解析コードPASCALシリーズ (独)日本原子力研究開発機構 鬼沢邦雄氏
PASCAL Code Series JAEA's PFM Codes
④PASCAL3コードのチュートリアル みずほ情報総研(株)小坂部和也氏
Tutorial   How to Use PASCAL3  Code
⑤特別講演:米国におけるPFMの適用状況 アメリカ合衆国原子力規制委員会 Dr.Mark Kirk氏
Special Invited Lecture on Recent Status of Practical PFM Applications in USA
⑥圧力容器健全性評価の現状とPFMへの期待  関西電力(株) 坂口昌平氏
Recent Status of Integrity Evaluation of Reactor Pressure Vesse
in Japan  and Expectation to PFM Approaches
⑦PFMのBWR機器への適用事例 (株)テプコシステムズ 町田秀夫氏
PFM Applications to BWR Conponents
⑧PFMの耐震安全への適用事例 (独)日本原子力研究開発機構 李 銀生氏
PFM Applications to Seismic Safety Evaluation
⑨軽水炉保全最適化のための総合シミュレータ 原子燃料工業(株) 礒部仁博氏
Dr. Mainte  : Integrated Simulator for  Maintenance Optimization of LWRs

2.開催報告
このたび、原子力研究委員会 PFM小委員会主催 国際シンポジウム 確率論的破壊力学の活用による原子力の安全性向上を10月24日(金)溶接会館(秋葉原)にて開催致しました。
本国際シンポジウムでは、PFM小委員会のメンバーにより国内でこれまで積み重ねられたPFM研究開発の成果を紹介いただくとともに、専門家から国内におけるPFM適用事例についても解説頂き、また米国原子力規制委員会からMark Kirk博士に米国におけるPFM技術の適用技術に関して特別講演を頂きました。当日は電力企業やプラントメーカーなど受講者、関係者合わせて59名の方々に受講頂きました。
ご来場いただきました皆様をはじめ、関係者各位のご支援、ご協力に厚く御礼申上げます。

3.配布テキストの公開
当日、受講者へ配布いたしました資料集につきましては、上記5)各講演タイトルをクリックすると閲覧する事ができます。
*一部の内容につきましては公開不可のため掲載しておりません。ご了承ください。

【終了しました】国際シンポジウム 確率論的破壊力学の活用による原子力の安全性向上

※本シンポジウムは終了いたしました
国際シンポジウム
確率論的破壊力学の活用による原子力の安全性向上
International Symposium on
Improvement of Nuclear Safety Using Probabilistic Fracture Mechanics

【開催趣旨】

破壊力学とは、ひびを生じた構造機器や構造物が使用中に受ける荷重によって破壊するか否かを定量的に評価するための学問体系である。破壊力学に基づくと、破壊現象に関連する因子がすべて確定されれば、ひびを起点として構造機器や構造物が破壊するかしないかを確定的に予測することができる。しかし、破壊現象に関連するそれぞれの因子は統計的なバラツキや不確実性を持っており、確定的な評価は簡単ではない。通常、こうした統計的なバラツキや不確実性を考慮するために、一つ一つの因子を保守側に見積もりながら評価することが行われる。しかし、それらが積み重なることにより、最終的な評価結果に多大な保守性が導入されることとなり、合理的な評価を行うことが困難になる。そこで、破壊力学理論に確率論を導入し、破壊するかどうかを破壊確率として評価する学術体系が、確率論的破壊力学(Probabilistic Fracture Mechanics : PFM)である。PFMは構造機器や構造物の破壊現象が関わる問題においてリスク活用を行う際の基盤的ツールであると言える。
PFM解析技術は、すでに欧米等では安全規制や保全の最適化等に適用されている。国内では、将来的なリスク情報活用の方向性が原子力安全委員会や原子力安全・保安院(当時)から示されていたものの、具体的な活用方策については、まだ現実的な議論に至っていない。実際には、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震とその津波による福島第一原子力発電所の事故が起きる前は、国内でもリスク情報活用の一環として、PFM技術の活用を目指し、産官学や学協会において研究開発や情報交換が進められていた。しかし、福島原発での事故以降は、原子力発電への信頼感の低下から、その後の関連する研究開発はやや停滞するような傾向があるが、プラントシステム全体の安全性を評価することが重要であり、確率論的リスク評価(Probabilistic Risk Assessment : PRA)と同様に確率論的な尺度で機器や設備の健全性を評価するPFM解析についても、今後の活用方策が原子炉施設等の安全確保に重要な意味を持つと考えられる。
(一社)日本溶接協会では、原子力機器の健全性評価におけるPFMの有用性に着目し、1987年よりPFM小委員会を設置し、PFM関連技術の調査及び応用研究を進めてきた。2014年3月には、PFM技術の原子力をはじめとする国内産業界への普及を目指し、PFM小委員会および本小委員会に参画する機関におけるPFM研究の最新成果と今後の展開について、構造材料技術者や構造機器・プラントの運転保守に責任ある管理者・経営者の方々向けに書籍「リスク活用のための確率論的破壊力学技術 ―基礎と応用―」を出版し、その電子データを協会のホームページ(http://www-it.jwes.or.jp/ae/)から無料公開した。
今回、さらにPFM技術のより一層の普及を目指し、確率論的破壊力学の活用による原子力の安全性向上に関する国際シンポジウムを開催することとした。本シンポジウムでは、米国原子力規制委員会からMark Kirk博士に米国におけるPFM技術の適用技術に関して特別講演いただく。また、PFM小委員会のメンバーにより、国内でこれまで積み重ねられてきたPFM研究開発の成果を紹介いただくとともに、専門家から国内におけるPFMの適用事例等についても解説いただき、確率論的破壊力学の活用による原子力の安全性向上について俯瞰する。是非とも本シンポジウムにご参加いただきますようご案内致します。

パンフレット・申込書はこちらから(PDFファイル)


                【 開 催 要 領 】
1.日 時
平成26年10月24日(金)

2.場 所
溶接会館ホール(2階)

3.定 員
90名 (定員に達し次第締切りますので早めにお申し込み下さい)

4.参 加 費
5,400円(消費税含む)※学生は無料と致します。
Registration Fee : 5,400 yen (Free for Students)

5.申込方法・注意事項
◎添付の参加申込書に必要事項をご記入の上、FAXにて下記までご送付下さい。
 〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町4-20 (一社)日本溶接協会 業務部

 佐々木 宛
 TEL:03-5823-6324 FAX:03-5823-5244 (http://www.jwes.or.jp
 *FAXでお申し込みの場合は、確認の電話を入れて下さい。
◎参加費は、下記へご送金下さい(銀行振込手数料は御社にてご負担下さい)
 三井住友銀行 神田駅前支店 普通口座 No.140912 (一社)日本溶接協会
◎1週間前に聴講券をFAXにてお送り致します。聴講券は当日ご持参下さい。
◎申し込み受付け後の参加費は返却いたしません。欠席の場合は代理出席をお願い致します。
◎請求書、領収書をご希望の方は申込書に○を付けて下さい。
◎使用言語:配布資料は主に英語(部分的に日本語併記可)となります。当日会場にてお渡し致します。
  講演に使用したパワーポイントのデータは提供いたしません。
◎日本人の講演は日本語、Kirk博士の講演は英語となります。

【事務局】

一般社団法人 日本溶接協会 原子力研究委員会 担当:佐々木
〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町4-20
TEL:03-5823-6324  FAX:03-5823-5244

【会 場】

溶接会館 ホール(2階)
〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町4-20
TEL:03-5823-6324
会場の地図はこちら