経済成長率の低迷が続く中、製造業の国内回帰が進んでいます。原因としては、中国における人件費の高騰、コロナ禍のロックダウンに加えてウクライナ戦争の影響による生産の一極集中のリスク回避、円安に伴う国内生産の割安感等が考えられます。溶接界においては、建築鉄骨が好調なことから、溶接技能者の有効求人倍率は3倍を超え、技能者不足は深刻となっています。今後、国内回帰が進むことで、より深刻な事態となる恐れがあります。当協会は、人手不足に対する施策である「若年者の取り込み、女性活躍の拡大、技能実習生を始めとした外国人の受け入れ支援」を継続して取り組んでまいります。

溶接技能者評価試験は、サステイナブルな認証体制に移行したことにより、受験者数は、コロナ前に回復しました。5年前から始めた溶接技能者教育は、評価試験の学科試験免除制度が好評で全国に広がりつつあり、本年はさらなる拡大を期待します。

認定・認証事業のサステイナブル化では、溶接技能者評価試験の受験者サービス・認証品質向上及び事務手続き効率化を目的としたWEB申請システム『e-Weld』が昨年4月から全国展開されました。順調に推移し、WEB申請が定着し始めています。本年は、溶接管理技術者のWeb申請システム化に着手します。

3年前に立ち上げた3D積層造形技術委員会は、現在、委員会社が43社となり、本委員会への期待と認知度が高まっています。これまでセミナーやシンポジウム、パネルディスカッションを開催し、委員相互の情報共有や学会・各種メディアと連携し情報発信に努めてきましたが、今後は、認定・認証の国際規格化の動向を把握し、国内のニーズの収集と分析に対処できる体制を構築して、要素技術開発やその規格化に注力したいと考えています。

当協会の活動方針実施計画第2期(2021~2024年度)に基づき、これまでの地方を中心とした溶接研究の支援を目的とした次世代を担う研究者助成事業とは別に「研究テーマ指定助成事業」を立ち上げたいと考えています。協会が必要とし、溶接界にとって必要不可欠な技術開発や課題解決に資するもので基礎研究や開発を考えています。
当協会は、今年も各種課題の解決とサステイナブルな協会活動の確立に努め、溶接界の更なる発展に貢献します

以上の諸施策には、関係諸団体や会員企業の皆様との連携が益々重要となりますので引き続きご協力をお願い申し上げます。最後になりますが、当協会の活動に対してご支援、ご協力を頂いている皆様方に心より感謝申し上げます。

一般社団法人日本溶接協会
会長 青山 和浩