2023年度 機械部会 活動報告

機械部会では、本部会(ボイラ、圧力容器、配管)及びパイプライン小委員会、並びに国際溶接学会(IIW)第XI委員会に対応する日本溶接会議(JIW)の第11委員会による年4回程度の定例合同会議を開催し、この内1回は、化学機械溶接研究委員会との合同会議を開催している。また、年1、2回のパイプライン敷設工事現場等の調査・見学会を行い、これらを通じて最新の技術情報を収集し、製造技術の革新による生産性や品質の向上に関する技術検討及び討議を行ってきた。今年度は、昨年度に比べ新型コロナ感染による行動制限が緩和され、通常の状況に近づいた中で活動を行った。以下に活動概要を報告する。

1.  本部会関係

1.1 本部会開催日程

・第120回 2023年 5月 26日 溶接会館会議室とWeb会議の併用(機械部会総会を開催)

・第121回 2023年 6月 26日 溶接会館会議室とWeb会議の併用

・第122回 2023年 9月 7日 溶接会館会議室とWeb会議の併用

・第123回 2023年11月 27日 東邦ガス(株)会議室

・第124回 2023年12月 19日 化学機械溶接研究委員会と合同 溶接会館会議室とWeb会議の併用

第125回 2024年 2月 29日 溶接会館会議室とWeb会議の併用 

1.2 JIS、WES等の新規格案、改正動向の紹介及び改正への対応

WES規格の制改廃案件について、部会内で書面審議を行った。また、規格委員会への参加及び規格委員会内に設置されている破壊試験(ISO/TC 44/SC 5)対応小委員会に2名の委員を登録した。

1.3 ボイラ、圧力容器、パイプラインの溶接に関する委員会への参加と技術情報の紹介

IIW-XI委員会、日本圧力容器研究会議(JPVRC)へ参加し情報共有を行った。

1.4 特別講演会の開催

溶接技術の動向についての知見を広めることを目的に、特別講演会を年数回開催している。今年度は以下の講演会を開催した。

   ・第120回本部会

    「国際水素サプライチェーン構築に向けた取組み―液化水素タンクのMIG溶接技術開発―」: 川崎重工業(株)  青木 篤人 氏

   ・第125回本会議

    「都市ガスのカーボンニュートラル化に向けた取組みについて」:(一社)日本ガス協会 反町 章文 氏

1.5 化学機械溶接研究委員会との合同会議(第124回本部会) 

機械部会から以下の報告を行った。

  ・「腐食、割れの貫通におよぼす材料・環境・応力因子」:(株)IHI 中山 元 氏

1.6 会員の動向

現会員は、10社と2団体で、㈱IHI、三菱重工業㈱、東京ガスネットワーク㈱、大阪ガスネットワーク㈱、東邦ガスネットワーク㈱、㈱神戸製鋼所、JFEエンジニアリング㈱、日鉄エンジニアリング㈱、日鉄パイプライン&エンジニアリング㈱、独逸機械貿易㈱、(一社)日本ガス協会、(公社)日本水道協会で昨年度と同様であった(順不同)。

2.  パイプライン小委員会活動

2.1 最新のパイプラインの溶接及び施工技術の情報収集及び技術論文の調査と技術検討

パイプライン溶接技術に関する情報収集を行った。IIW及びASME のInternational Pipeline Conference(IPC)のパイプラインの溶接、施工技術に関する論文等を調査し、有意なものとして以下の論文の解説と技術討議を行った。

・IPC2022-87810「Integrity Assessment of Linepipe for Transporting High Pressure Hydrogen Based on ASME B31.12」:日鉄エンジニアリング(株) 木坂 有治 氏

・IPC2022-87888「Safty Considerations for the Transport Hydrogen Gas in Line Pipes and Induction Bent Pipes」:東邦ガスネットワーク(株) 竹内 幹晋 氏

2.2 パイプライン関連工事現場の調査

 東邦ガスネットワーク(株)の高圧ガス導管敷設状況とステーション建設工事および供用中のステーションの状況を見学した。ガス導管工事では自動溶接機を使用しての現場溶接と、デジタルX線装置による検査が実施されていた。また、東邦ガス(株)の技術研究所において、都市ガス改質による水素製造装置やCO2分離回収技術についても見学させていただいた。今回の工事・設備の見学は非常に有意義なものであった。

写真1 ステーション配管前での集合写真

3. WES3004改正原案作成委員会

 引用規格であるWES7700-2が改正されたことにより、改訂された記述との整合させるためにWES3004:2013の見直しを行った。また、それに伴って関連する他の一部の箇条及び解説を見直した。改正原案は、4回の改正原案作成委員会の開催とメール審議による見直し作業により作成され、パブリックコメント及び日本溶接協会規格委員会審議を経て、WES3004:2024(改正年月日:令和6年3月1日)として発行された。

4.  IIW-XI委員会対応

4.1 2023年IIW年次大会第XI委員会への対応

 今年度はシンガポールで開催され対面会議での開催となった。IIW-XI委員会には機械部会から1名のみの参加となった。近年、カーボンニュートラルに向けた活動が活発になっており、現在の状況を踏まえ第XI委員会のミッションを改めて議論した。昨年度に比べ発表件数が増加しており、今回の対外発表は15件ありその内7件が水素関連の発表であった。

2022年度 機械部会 活動報告

機械部会では、本部会(ボイラ、圧力容器、配管)及びパイプライン小委員会、並びに国際溶接学会(IIW)第XI委員会に対応する日本溶接会議(JIW)の第11委員会による年4回の定例合同会議を開催し、この内1回は、化学機械溶接研究委員会との合同会議を開催している。また、年1、2回のパイプライン敷設工事現場等の調査・見学会を行い、これらを通じて最新の技術情報を収集し、製造技術の革新による生産性や品質の向上に関する技術検討及び討議を行ってきた。しかしながら、昨年度に続き今年度は新型コロナ感染拡大の影響を受け活動を大きく制限された。そのような状況下での活動概要を以下に報告する。

1.  本部会関係

1.1 本部会開催日程

・第115回 2022年 5月 26日 溶接会館会議室とWeb会議の併用(機械部会総会を開催)

・第116回 2022年 7月 15日 東京ビッグサイト会議室とWeb会議の併用(ウェルディングショー)

・第117回 2022年 9月 1日 溶接会館会議室とWeb会議の併用

・第118回 2022年12月 13日 化学機械溶接研究委員会と合同 溶接会館会議室とWeb会議の併用

・第119回 2023年 2月 21日 溶接会館会議室とWeb会議の併用 

1.2 JIS、WES等の新規格案、改正動向の紹介及び改正への対応

WES規格の制改廃案件について、部会内で書面審議を行った。また、規格委員会への参加及び規格委員会内に設置されている破壊試験(ISO/TC 44/SC 5)対応小委員会に2名の委員を登録した。

1.3 ボイラ、圧力容器、パイプラインの溶接に関する委員会への参加と技術情報の紹介

IIW-XI委員会、日本圧力容器研究会議(JPVRC)へ参加し情報共有を行った。

また、ボイラ製造関連法規の改訂を目的に設置された肉盛溶接補修調査委員会に参画し、JGA指-204-21「高圧導管指針」等の関連法規調査を実施した。

1.4 特別講演会の開催

溶接技術の動向についての知見を広めることを目的に、特別講演会を年数回開催している。今年度は以下の講演会を開催した。

   ・第115回本部会

    「パイプライン溶接金属ミクロ組織としてのアシキュラ―フェライトについて」:熊本大学  寺崎 秀紀 教授

   ・第117回本部会

    「ITERの概要」: 日鉄パイプライン&エンジニアリング(株) 矢野 嘉孝 氏

    「Influence of Sulfer Content Molten Pool Geometry in TIG Welding of High Manganese Stainless Steel」: 日鉄エンジニアリング(株) 木坂 有治 氏

1.5 化学機械溶接研究委員会との合同会議(第118回本部会)

機械部会から以下の2件の報告を行った。

  ・「中圧ガス導管による水素輸送技術と課題」:大阪ガスネットワーク(株) 石黒 俊 氏

  ・「高マンガンステンレス鋼のTIG溶接時における硫黄含有量が溶け込み深さに及ぼす影響」:日鉄エンジニアリング(株) 木坂 有治 氏

1.6 会員の動向

現会員は、10社と2団体で、㈱IHI、三菱重工業㈱、東京ガスネットワーク㈱、大阪ガスネットワーク㈱、東邦ガスネットワーク㈱、㈱神戸製鋼所、JFEエンジニアリング㈱、日鉄エンジニアリング㈱、日鉄パイプライン&エンジニアリング㈱、独逸機械貿易㈱、(一社)日本ガス協会、(公社)日本水道協会で昨年度と同様であった(順不同)。

2.  パイプライン小委員会活動

2.1 最新のパイプラインの溶接及び施工技術の情報収集及び技術論文の調査と技術検討

パイプライン溶接技術に関する情報収集を行った。IIW及びASME のInternational Pipeline Conference(IPC)のパイプラインの溶接、施工技術に関する論文等を調査し、有意なものとして以下の論文の解説と技術討議を行った。

・IPC2020-9444「Improving Reliability of Carbon Steel Girth Welds in Sour Environment」:(株)神戸製鋼所 古川 尚英 氏

・IIW2022_IC_H5「Physical simulation based HAZ characterization of different pipeline steel grades 」:日鉄パイプライン&エンジニアリング(株) 藤田 周亮 氏

2.2 パイプライン関連工事現場の調査

 大阪ガスネットワーク(株)の共同溝内配管敷設状況を見学した。共同溝内にガス導管専用の敷設区画を確保した中に600Aの鋼管を敷設しており、河川を下越しするための20mもの鉛直配管などを見学した。溶接作業は既に終了していたが、作業の大変さを物語るものであった。また、そのライン延伸用のシールド工事(600A鋼管を敷設するための直径2mのシールド)も見学した。配管作業はシールドが完成した後実施するため、溶接に携わる技術者がシールド工事自体を間近に見る機会は少なく、今回の見学は有意義なものであった。

写真1. 共同溝内の配管状況         

写真2. 共同溝内配管見学会 集合写真

3.  IIW-XI委員会対応

  • 2022年IIW年次大会第XI委員会への対応

 今年度は東京で開催されWeb併用会議となった。IIW-XI委員会には機械部会から延べ5名が参加し情報収集に努めた。対外発表は8件あり、日本からは木坂有治氏(日鉄エンジニアリング)が以下を報告した。

・Influence of Sulfer Content Molten Pool Geometry in TIG Welding of High Manganese   Stainless Steel