2022年度事業報告

1.本部会

 2022年度の部会総会は書面審議(2022年5月下旬~6月上旬)とし、2021年度の部会事業報告および決算報告の承認ならびに、2022年度の事業計画(案)および予算(案)の審議・承認を行った。また、部会員の入会と役員等の選任及び解任につき審議を行った。

2.技術委員会および分科会

 2022年度は、4つの分科会活動と1つのWG活動に取り組んだ。また、技術委員会を4回開催し、各分科会の活動状況の報告および審議を行った。本年度も新型コロナウイルス感染症の状況を鑑み、見学会および地方開催は中止とし、溶接会館での対面とWEBとの併用開催とした。

2.1 溶接材料の国際規格適正化調査研究(調査第1分科会:継続)

 2022年度は新たにJISの定期見直しを審議する対象を検討し、JIS Z 3224:ニッケル及びニッケル合金被覆アーク溶接棒を対象として定期見直しを開始した。ISO規格に整合させたJIS制定・改正素案の検討を当分科会として4回の審議を行い、本文および附属書の素案の作成に取組んだ。なお、鋼種の説明文も本文の付属書として記載することとし、来年度区分D(8月18日応募締め切り)に日本規格協会への公募を目指し、継続して素案作成を進めた。

2.2 溶接関連割れ試験方法の規格化検討(共研第4分科会:継続)

 2022年度は、溶接材料の耐割れ性(凝固割れ)評価を目的とした「溶着金属のトランス・バレストレイン試験方法」WES案(本体、解説)について5回の見直し審議を行い、本分科会としてのWES案を完成した。本テーマの活動は2022年度で終了とし、2023年度からWES原案作成WGに移行することとした。

2.3 アジアにおける溶接材料共通規格の検討(調査第6分科会:継続)

 本分科会では「AWFにおいて溶接に関する規格の情報を共有する共通の基盤を設立する。-溶接技術に関するISO規格への影響を強める」を最終目的として活動しており、2022年度は6月、9月および1月の計3回開催しAWF標準化委員会の準備、出席報告および活動計画の検討を行った。

 7月(日本)と12月(インドネシア)に開催されたAWF標準化委員会において、日本よりISO、IIW、JISの標準化に関する情報をメンバーに共有するとともに、シンガポール、タイ等の国家規格に関する情報を共有した。12月のAWF標準化委員会において、中国のLiu氏(CWS)よりAWF標準化委員会の組織下に標準開発分科委員会(SC)を設置し、いわゆるAWF規格を制定するという提案に対し、委員会として却下する決議を行った。また、提出された規格原案については中国の国家規格か産業規格として制定し、その後に中国溶接協会を経由してISO TC 44にISO規格原案として提案することをアドバイスした。

 AWF標準化委員会としては引き続き国際規格の制改訂情報、メンバー国の国家規格の開発状況・国際規格への整合状況に関する情報を共有することでメンバーの標準化に対する意識を高めていく。

2.4 溶接材料のISO,JISおよびWESへの対応(規格化第9分科会:継続)

 本分科会は日本溶接会議(JIW)第Ⅱ委員会との合同会議体として運営し、JISの定期見直しの他、ISOおよびIIWにおける国際標準化活動への対応も行っている。本年度は下記3つのWGを設け、ISO規格の制定・改訂状況のフォローとJIS改正準備に注力した。

2.4.1 WG1:ISO全般への対応(継続)

 ISO規格の新規制定および改訂事案の経過フォローのためにISO/TC 44/SC 3(2022年3月、6月、12月、2023年3月:オンライン)、及びIIW(中間会議2022年3月:オンライン、年次大会2022年7月:東京)に出席し、技術委員会及び規格委員会において情報の共有化を図った。2023年3月ミュンヘンで行われたIIW中間会議には、規格関係の委員会(C-ⅡE)が開催されなかったため、佐藤JIW-Ⅱ委員長のみが参加した。

 IIWのイタリア委員より溶接材料包装への文書・シンボルによる各種警告表示のISO作成提案があったが、これに日本他複数の国が反対している。各国法規との整合が困難であること,すでにISO 3864、7000、7010、17846が制定されているものの、活用されていないことによる。

 IIW C-Ⅱから発表・論文投稿要請があり、JIW第Ⅱ委員会で2件の投稿について検討した。
ISO規格の制改訂(含定期見直し)について日本の意見集約を行い、調査第1分科会および本WGから回答した。

2.4.2 WG2:JISおよびWES改正への対応(継続)

 (一財)日本規格協会から溶接材料に関するJIS 9件についての定期見直し依頼があった。JIS Z 3211、Z 3312、およびJIS Z 3313については、調査第1委員会で順次改正するので「暫定確認」とした。その他のJIS 6件は「確認」と回答した。

2.4.3 WG3:WES 2302の改正(新規)

 令和2年4月に改正された特定化学物質障害予防規則(特化則)に対応し、WES 2302「溶接材料の管理指針」の改正素案・原案を作成した。溶接ヒュームが特化則対象物質となったこと、同規則に基づいた呼吸用保護具の着用が必要であることについて明記した。また、WES 0001: 2021に準じ、全体の体裁を見直した。

2.5 配管溶接におけるN2バックシールド適用性の評価(化学機械溶接研究委員会との共同研究WG:新規)

 Arの代わりにN2をバックシールドとして適用しても機械的性質や耐食性に問題はないとの報告はあるが、プラント業界では周知されておらず適用に懸念を持たれる場合があるというのが実情である。そこでN2バックシールドの適用可否を明らかにすることを目的とし、2022年6月に化学機械溶接研究委員会との合同小委員会として発足した。

 2022年度はWEB会議を中心に小委員会を5回開催し、過去文献レビューによる知見の収集と、SUS304Lのパイプ継手溶接を行い、溶接作業性の官能評価試験と継手試験(外観、フェライト量、継手引張、衝撃、曲げ、断面マクロ、ミクロ組織、硬さ、粒界腐食、化学成分、EPMA)を実施した。試験結果の整理と考察および耐食性追加試験、N2バックシールド適用指針の作成を2023年度に実施することとした。

3.関係専門部会・研究委員会および関連団体との連携

 2021年度に引き続き以下の委員派遣を行い、運営への参画および技術委員会での情報共有化を図った。

3.1 (一社)日本溶接協会 規格委員会

今岡進規格化第9分科会主査および斉藤洋ISO連絡委員が出席し、規格委員会の運営に参画した。

3.2 (一社)日本溶接協会 電気溶接機部会 技術委員会 アーク溶接機小委員会

横田泰之技術委員会幹事長代行が連絡委員として出席し、情報の共有化を図った。

3.3 (一社)日本溶接協会 JPVRC施工部会

連絡委員が欠席しっため、事務局から情報共有を行った。

3.4 (一社)日本高圧力技術協会 日本圧力容器研究会議(JPVRC)運営委員会

連絡委員が欠席しっため、事務局から情報共有を行った。

3.5 (一社)日本溶接協会 安全衛生・環境委員会

澤口直哉委員と齋藤佑介委員が連絡委員として出席し、特化則改正など情報の共有化を図った。

3.6 (一社)日本溶接協会 溶接情報センター運営委員会

三浦瑠太委員が連絡委員として出席し、情報の共有化を図った。

4.出版物の発刊

 2021年度の技術委員会および分科会の活動成果をまとめて「溶接の研究」No.61(PDF版)を作成した。