2023年度事業報告

1.本部会並びに幹事会

 鉄鋼部会はわが国の鉄鋼の溶接に関する技術の向上並びに普及を図ることを目的に、破壊・疲労などに関する研究動向の把握及び海外も含めた調査を行うとともに、最新の技術・情報を反映した規格化及び標準化活動を推進している。

1.1 本部会並びに技術委員会活動内容

 本年度は対面形式により部会総会を行い、2022年度の事業報告、決算報告並びに監査報告を行った。また、2023年度の事業計画案を審議して、これを了承した。

1.2 本部会・幹事会活動内容

(1) 委員会の活動状況の確認、調整

 幹事会では、2022年度から活動を継続している2つの委員会の活動に関し、意見交換、研究対象及び研究内容の具体化のための活動推進を行った。

(2) 規格改正

 規格委員会からのJIS、ISO、WES規格等に関する審議依頼に対応して、鉄鋼部会としての意見を取りまとめ、回答した。
 WES定期見直しに関し、WES1108(亀裂先端開口変位(CTOD)試験方法)については、WES 2805改正委員会の中に検討タスクグループ(TG)を設立し、読み合わせと改正箇所の洗い出しを行って改正案を作成した。WES 3009(溶接割れ感受性の低い高張力鋼板の特性)およびWES3001(溶接用高張力鋼板)については、幹事会で改正案を作成した。また、WES1111(疲労亀裂伝播試験方法)については、正誤票および訂正票を発行することとした。

(3) 他専門部会・特別研究会及び他学会との連携

溶接情報センター

 日本溶接協会溶接情報センターHPの整備、コンテンツの活用、広報活動、各種申請のWEB申請受付システム等について議論を行った。

JPVRC(日本圧力容器研究会議)

 JPVRCは、日本鉄鋼協会が材料部会を、日本高圧力技術協会が設計部会を、日本溶接協会が施工部会を担うことによって3協会3部会で構成されている。鉄鋼部会として参加し、3部会および溶接協会内での情報交換を行った。

2.研究委員会

2.1 WES2805改正委員会

 WES 2805(溶接継手のぜい性破壊発生及び疲労亀裂進展に対する欠陥の評価方法)は、溶接継手の割れや欠陥からのぜい性破壊、及び疲労亀裂進展による損傷とぜい性破壊への移行に対する評価方法を規定した規格である。本委員会はWES2805の構成の全面改訂も視野に入れて活動を開始し、2022年度は、鉄鋼部会CRB委員会(CTOD Requirement for Butt joint、2018年から2021年にかけて活動)の知見など関連する最新の研究成果の整理や、ユーザーアンケートによるニーズ把握を行った。それを受けて2023年度は、CTOD駆動力曲線の整備を重点課題に据え、ワーキンググループ(WG)を設置して改正に向けた具体的検討を開始した。

2.2 建築高強度鋼(780N/mm2級鋼)アンダマッチング継手研究委員会

【BUH委員会(Building application of Undermatching joint for High strength steel)】
 建築構造物の柱構造への高強度鋼(780N/mm2級鋼)普及のネックを解消するため、母材より強度が低く溶接性の良い溶接材料を用いたアンダマッチング継手(軟質溶接継手)採用を促進するため、大学、ゼネコン、設計事務所、ファブリケータ、溶材メーカー、鋼材メーカーなど多方面から委員を募り、2022年度に活動を開始した。2022年度に検討内容をBOX柱の角溶接部の構造性能評価と溶接部の割れ評価に絞り込み、構造性能WGと溶接施工WGの2つの分科会が設置された。
 2023年度は、構造性能WGでは大型構造実験の実施内容を議論した。アンダマッチ溶接で組み立てられた溶接組立箱形断面接合部パネルのせん断挙動を検討するために、建築研究所の試験設備を用いた平面十字骨組実験計画が策定された。
 溶接施工WGでは、アンダマッチ多層SAW角溶接の横割れ発生メカニズムを解明するため、窓形拘束溶接割れ試験を実施した。

2022年度事業報告

 鉄鋼部会はわが国の鉄鋼の溶接に関する技術の向上並びに普及を図ることを目的に、破壊・疲労などに関する研究動向の把握及び海外も含めた調査を行うとともに、最新の技術・情報を反映した規格化及び標準化活動を推進している。

1.本部会並びに幹事会

1.1 本部会並びに技術委員会活動内容

 本年度は対面形式により部会総会を行い、2021年度の事業報告、決算報告並びに監査報告を行った。また、2022年度の事業計画案を審議し、これを了承した。

1.2 本部会・幹事会活動内容

(1) 委員会の活動状況の確認、調整

 幹事会では、2022年度から活動を開始した2つの委員会の活動に関し、意見交換、研究対象及び研究内容の具体化のための活動推進を行った。

(2) 規格改正

 規格委員会からのJIS、ISO、WES規格等に関する審議依頼に対応して、鉄鋼部会としての意見を取りまとめ、回答した。
 2022年度WES定期(5年)見直しに関し、今回対象となる鉄鋼部会担当のWES3003(溶接割れ感受性の低い高張力鋼板の特性)については、引用されているJIS規格が廃止されたため改正が必要であることが判明した。23年度上期中に発議書を提出するための準備を開始した。
 また、WES1108(亀裂先端開口変位(CTOD)試験方法)について、誤記の訂正などへの対応が必要と認められたため、関連のあるWES2805 改正委員会の中に検討タスクグループ(TG)を設立し、読み合わせと改正箇所の洗い出しを行った。これについても、23年度上期中に発議書を提出する予定である。

(3) 他専門部会・特別研究会及び他学会との連携

溶接情報センター

 日本溶接協会溶接情報センターHPの整備、コンテンツの活用、広報活動、各種申請のWEB申請受付システム等について議論を行った。

JPVRC(日本圧力容器研究会議)

 JPVRCは、日本鉄鋼協会(材料部会)、日本高圧力技術協会(設計部会)、日本溶接協会(施工部会)の3協会3部会で構成されており、この3部会および溶接協会内での情報交換を行った。

2.研究委員会

2.1 WES2805改正委員会

 WES2805(溶接継手のぜい性破壊発生及び疲労亀裂進展に対する欠陥の評価方法)は、溶接継手の割れや欠陥からのぜい性破壊、及び疲労亀裂進展による損傷とぜい性破壊への移行に対する評価方法を規定した規格である。本委員会は2022年度から3年間の予定で活動を開始した。2022年度は、2018年から2021年にかけて実施された鉄鋼部会CRB(CTOD Requirement for Butt joint)委員会の知見など関連する最新の研究成果の整理や、ユーザーアンケートによるニーズ把握を行い、規格構成の改正も視野に入れた検討を開始した。

2.2 建築高強度鋼(780N/mm2級鋼)アンダマッチング継手研究委員会

【BUH委員会(Building application of Undermatching joint for High strength steel)】
 鉄骨建築物の柱構造への高強度鋼(780N/mm2級鋼)普及のネックを解消するため、母材より強度が低く溶接性の良い溶接材料を用いたアンダマッチング継手(軟質溶接継手)採用を促進するため、大学、ゼネコン、設計事務所、ファブリケータ、溶材メーカー、鋼材メーカーなど多方面から委員を募り、2022年度に本委員会を立ち上げて3年間の予定で活動を開始した。
 2022年度には、取り組むべき検討課題とその優先順について議論を行った。検討対象をBOX柱の角溶接部の構造性能評価と溶接部の割れ評価に絞り込み、2つの分科会で具体的な活動を行っていくこととした。構造性能WGでは大型構造実験実施の検討を開始した。