1. 本部会

 車両部会は、鉄道会社、車両メーカ、溶接材料/溶接機器メーカ及び材料メーカを会員として「鉄道車両製作における溶接技術の研鑽、溶接品質の向上」を目的に、アルミ車体溶接研究委員会、鉄・SUS車体溶接研究委員会及び台車溶接研究委員会の三研究委員会体制で活動している。
 本年度は、2025年6月6日に部会総会を開催し、各委員会の活動報告と活動予定について審議・承認した。活動内容は、第2項(委員会)の通りである。
 また、同部会総会終了後は、パナソニック コネクト㈱ 西脇 隆太氏より「iWNB(統合溶接管理システム)について」ご講演いただいた。iWNBによって稼働状況・消費電力・作業実績など溶接に関するデータを見える化でき、今後溶接に関する課題の解決方法の手段になると説明頂き、参加者一同大いに知見を深めることができた。

2. 委員会

2.1 アルミ車体溶接研究委員会

 2025年度は委員会を4回開催した。主な活動内容として各社から起案されたアンケート調査の中において「デジタルデータ・3Dデータの製造活用」及び「厚板溶接時の入熱、歪の低減方法について」を審議した。
 「デジタルデータ・3Dデータの製造活用」については各社工程進捗や現場帳票の管理、また3次元モデルにおいては各社でロボットや加工機等のオフラインティーチングやプログラム作成、生産現場向け指示書などへの活用が進んでいる一方、デジタルデータでは特にそのデータを取り扱う人財の育成や管理の負担増、3次元モデルにおいては製造側と設計側で必要とするインプット情報が異なるなど、共通の課題も挙げられた。
 「厚板溶接時の入熱、歪の低減方法について」アンケートでは、各社とも必要に応じて開先形状の調整による入熱低減や、冷却・拘束による歪み低減を実施していたが、適用規定や定量的基準があいまいで現場判断にまだ依存している点、余盛脚長の上限や多層盛り時の温度管理などで認識が統一されていない点が課題として指摘された。
 本年度の異業種交流会(見学会)は、12月に瀬戸内クラフト(株)(広島県)を訪問した。主にアルミ合金製の旅客船・作業船・監視船など小~中規模船舶の建造を行っており見学会では、建造中の船体外殻から操舵室、機関室など内部構造まで詳細を視察し、アルミ製車両との相違点を含め非常に多くの知見を得た。 また、特許委員会へ委員を派遣し、「溶接注目発明賞(JWES)」及び「特許庁長官賞」審査委員会に参画した。

アルミ車体溶接研究委員会 工場見学会
瀬戸内クラフト(株)(広島県)(2025.12.19)

2.2 鉄・SUS車体溶接研究委員会

 2025年度は委員会を4回開催し、溶接会館での会議及び委員会社の工場見学会を実施した。
 活動内容は各社から起案されたアンケート調査であり、「抵抗スポット溶接機に変化点が生じた際の対応」、「熱中症対策の取り組み状況」及び「スポット溶接機のロボット(自動・無人)化」について審議した。
 「抵抗スポット溶接機に変化点が生じた際の対応」では、スポット溶接機の各種部品を交換または修繕した場合における性能試験(連続打点による試験)、または独自の確認(加圧力,電流測定等)の有無についてアンケートを行い、各社ポータブルガン、自動機、シリンダ、トランス、2次側ケーブルなどの重要な部品が主な確認箇所で、確認方法は連続試験や独自の確認(加圧力や電流の測定,テストピースによる試験)などを実施していることがわかった。
 「熱中症対策の取り組み状況」では、地球温暖化の進行や都市化の影響により、夏季の高温環境が深刻化しており、2025年に行われた労働安全衛生規則の改正により、全ての事業者における熱中症対策が罰則付きで義務化されたことから、各社の熱中症対策の取り組み状況についてアンケート調査を行った。その結果、各社でほぼ同様の施策が実施され、それぞれ施策は熱中症対策の基本となる①暑さを避けること、②こまめな水分補給、③涼しい服装を踏まえており、実効性が高いものとなっていることがわかった。
 「スポット溶接機のロボット(自動・無人)化」では、各社のスポット溶接機の現状(工程毎の使用設備の詳細、打点数、タクトタイム、困り事等)、ロボット化・完全自動化の意向などについてアンケートを行い、今後の技術開発や提案活動に役立てることを目的として実施した。その結果、困り事は「可視化・冷却・安全(干渉)・作業負荷・保全」に大別されて短期の改善余地が大きいこと、また、自動化の導入意向は前向き回答と慎重姿勢が混在していることがわかった。
 委員会社の工場見学会は、近畿車輛(株)(大阪府)にて行い、車両製造工程を見学し、製造における方法、考え方などについて意見交換する事で今後の各社での取り組みの参考になった。
  4回の活動とは別に、規格委員会 溶接規格専門委員会 薄板接合技術小委員会(ISO/TC 44/SC 6対応)に幹事会社から委員を派遣し、車両製造の視点における情報収集した。

鉄・SUS車体溶接研究委員会 工場見学会
近畿車輛(株)(大阪府)(2025.11.28)

2.3 台車体溶接研究委員会

 2025年度は委員会を4回開催し、溶接会館での会議及び異業種の工場見学会を実施した。活動内容としては「鋳物管理基準」についてアンケート案を審議し、各社からの回答をとりまとめ、管理方法を共有した。また、10月に鋳物メーカである福島製鋼(株)を訪問し、鋳物の製造工程を見学し、鋳物の製造方法やシミュレーション解析による品質確保等の説明を受け、台車製造に不可欠な鋳物に関する知見を大いに深める事が出来た。
 また、研究テーマとして「台車枠適用母材と割れ感受性に関する調査」を行った。国内向けの台車枠では主にSM400・490などの鋼板とSTKM13・18などのシームレス鋼管、溶接材料は各母材強度に対応したソリッドワイヤーや溶接棒を使用しているが、気温の低い時期に低温割れと思われる小さな割れの発生事象が報告されている。そこで、各種試験によって割れ感受性を評価し、低温割れリスクや施工及び溶材選定のポイント等をまとめ、台車枠の溶接施工管理の指標とすべく研究を行った。研究内容としては、各社の管理方法・施工方法に関するアンケートを審議するとともに、各社で実際に使用している母材の成分分析やシャルピー試験を実施、また溶接試験片を用いて実際に気温の低い時期に各社で溶接を行い、それらを断面マクロ・ミクロ観察、硬度測定を実施した。
 その他、安全衛生・環境委員会への委員派遣は継続している。

台車溶接研究委員会 工場見学会
福島製鋼(株)(福島県)(2025.10.17)

3. 三研究委員会合同委員会

 今年度は2026年1月29日の1日にて開催し、(株)日立ビルシステム 水戸事業所(茨城県)の工場見学及び三研究委員会合同委員会を実施した。
 会社及び水戸事業所の概要を資料、並びにビデオで説明された。続いて、エレベーター研究棟(G1 TOWER)、並びにエレベーター及びエスカレーターの製造工程を見学した。エレベーターのレールの加工・矯正工程から、巻上機の組立、部材の機械加工、エレベーターのドアの組立、エレベーターフレームの製缶組立および艤装作業など多岐にわたる工程について見学することができ、委員一同参考となった。
 また、三研究委員会合同委員会では、次年度の運営体制変更について、各研究委員会の活動状況報告などが行われた。

三研究委員会合同委員会 工場見学会
(株)日立ビルシステム 水戸事業所(茨城県)(2026.1.29)