2021年度 ISO/TC 44 Plenary会議出席報告
日時:2021年9月29 日、30日 20:00~23:30(29日)、20:00~23:16(30日)【日本時間】
場所:WEB会議(Zoom Meeting)
出席者:17か国、合計49名参加(ISO中央事務局担当者を除く)
1. 議題の確認
議事次第が一部修正の上,確認された。2. 前回議事録の確認
異議なく承認された。3. 決議記録者の氏名
Mr. Andrew Davis(アメリカ)及びMs. Elisabeth Guérin(フランス)が決議を記録する。4. ISO/TC 44事務局(AFNOR)からの報告
- P-メンバー国の会議への出席状況
2年間参加していない下記のP-member国をO-member に変更することを中央事務局(ISO CS)に要求する。 - Portugal、Russian Federation、Switzerland、Ukraine【Resolution 6/2021】
- DIS/FDIS投票におけるNegative投票
反対投票の時は理由が必要である。理由が不十分の場合、Committee Managerが投票したNSB(国家標準団体)に確認する。 - ISO/TC 44 Business Plan
ISO/TC 44 Business Planの見直しのため、2019年に発行されたStrategic Business Plan(TC 44 N 2294)に対するコメントをTC 44メンバー国に求めることとした。【Resolution 7/2021】
5. ISO中央事務局からの報告
2021年5月に発行された専門業務用指針の主な改訂内容をTC 44 Committee Manager(Ms. Laurie Jardel、AFNOR)が紹介した。- Correction(規格の訂正)に関して
旧指針では、発行済みの規格に対する訂正(正誤票<IEC>、訂正版<ISO>)の発行は、発行後3年以内の規格に対してのみ適用されていたが、今回の指針の改訂で、年数の制限が廃止された。従って、発行後、かなりの長期間経過したISO規格に対しても訂正版(改訂版ではない)が発行できることになる。
誤りを発見したら直ちに正誤票・訂正版を発行すること、ユーザに分かりやすいようにするために、正誤票・訂正版発行情報をWebSiteで公開することをISO/CSに要求する。【Resolution 8/2021】 - ISO/IECの専門業務用指針に関して
ISO/TRには要求事項、推奨事項などを含んではならないことが明確化された。TC 44には用語規格の他、推奨事項を含む有用なISO/TRがあることから、今回の改訂は問題と考える。
指針の改訂はISO/TMBのDMT(Directive Maintenance Team)が行い、TCが関わっていないことから、TC 44は指針の変更に関してTCに相談するよう、ISO/CSに要求する。【Resolution 9/2021】
6. Cohabitation Standard及びMultilingual Standardに関して
ISO Central Secretariat が、共存規格と多言語用語規格の現行の表示方法(マルチコラム)ができなくなることを昨年提案している(XMLフォーマットを適用する上での問題)。今回、ISO/CSからTPMを会議に呼び、問題点などを提起した。ISO/TC 44はISO/CSにこれを変更しないか,含まれる情報が同じ・類似の方法で表示される解決策を提案することを 強く要望した。【Resolution 10/2021】
7. 溶接シミュレーション規格
溶接シミュレーション規格の改訂要求の提案があり、その内容として、シンボル、コンピュータソフトの種類、Validationなどについての技術仕様(TS)を改訂する。しかし、これを取り扱っていたWG 5は解散していたので、再活動することになった。適用範囲を確認し、3年間で改訂作業を行うことが決定した。【Resolution 11/2021、Resolution 12/2021】
8. ウィーン協定による整合規格の遅れ
ISO 13585:2012(Brazing — Qualification test of brazers and brazing operators)の改訂に関し、ウィーン協定に基づいてEN規格化が検討されたが、欧州指令の整合規格としてのEN規格作成が進まず、その結果、ISO/TC 44/SC 11の活動であるISO /FDIS 13585の投票も大幅に遅れた。このため、ISO 13585をウィーン協定から取り下げたことが報告された。他のプロジェクトでも同様のことが生じていることから、CEN/TC 121にウィーン協定下の整合規格の作成遅れの解消を依頼すること、及びISO/TC 44は、同様な問題が生じた場合、ケースバイケースで該当規格をウィーン協定から外し、ISO独自で投票・発行することが決議された。【Resolution 13/2021】
9. SC及びWGの報告
- SC 3(溶接材料)
Mr. Andrew DavisがN 2355を用いて報告した。
Additive ManufacturingのDED(Direct Energy Deposition)プロセスが溶接材料にも関係することから、ISO/TC 261へのLiaisonを新たに構築したことなどが報告された。 - SC 5 (溶接部の試験及び検査)
Mr. Michel JambonがN 2356を用いて報告した。
Pメンバー国(18か国)の内、8か国が2年以上参加していないこと、及び破壊試験に関するエキ スパートの不足が報告された。
喫緊の課題であるISO 5173(Destructive tests on welds in metallic materials - Bend test)の改訂に関し、破壊試験を担当するWGが無いこと、及びSC 5にはエキスパートが少ないことから、TC 44としての対応を求めることが報告された。
以下の3通りの案が示され、各国に問い合わせを行うこととした。- 新しいWGをSC 5の下に作る。(WG 3のRe-activiation)
- TC 44に新しいSCを作る。
- TC 44の直下にWGを作る。
3案の内、2.及び3.は、WGには親委員会のPメンバー国及び指名されたLiaisonしか参加できないというISO指針があることから、SC 5のOメンバー国でISO 5173に興味をもつ米国やオーストラリアが参加できない問題に対する解決案である。 - SC 6(抵抗溶接及び機械的接合)
Mr. Marcus PommertがN 2369を用いて報告した。
アメリカが今年よりOメンバーになったので、WG 2とWG 4のSecretariatから降りたので、来年以降のConvenorとSecretaryを探している。 - SC 7 (溶接用語・記号)
Mr. Jerome DietschがN 2370を用いて報告した。
Mechanical joiningの用語に関して、デンマークからTC 44の適用範囲であるという意見が提示された。SC 7の適用範囲外であるので、ISO 4063改訂のExpertを集めることができないとのこと。
Mechanical Joiningに関して新しいSCを作る案が出たが、結論までには時間がかかるので、今回は結論を出さず、各国で検討することとなった。 - SC 8(ガス溶接機器)
Mr. Marcus PommertがN 2375を用いて報告した。 - SC 9 (安全・衛生)
Mr. Andreas NaumovがN 2371を用いて報告した。 - SC 10 (溶接の品質管理)
Mr. Holger ZernitzがN 2357を用いて報告した。 - SC 11 (溶接要員の適格性確認要求事項)
Dr. Walter SperkoがN 2358を用いて報告した。
WG 4 (Welder qualification) 及びWG 5 (Revision of ISO 14732) を新設した。 - SC 12 (はんだ付材料)
Mr. Marcus Pommert がN 2376を用いて報告した。 - SC 13 (ろう付材料とプロセス)
Mr. Marcus PommertがN 2377を用いて報告した。 - SC 14 (航空宇宙用途の溶接・ろう付)
Ms. Laurie JardelがN 2359を用いて報告した。 - SC 15 (水中溶接)
Mr. Andrew DavisがN 2360を用いて報告した。
10. Liaison報告
Liaison Officerからの説明は会議の終了時間切れで、質問がある場合、Liaison Officerに直接メールで取り合わせる。11. 次回会議
2022年9月にFACE to FACEでマイアミにて行う。12. 議決の承認
8件の決議(Resolution 6/2021~Resolution 13/2021)が承認された。13. その他
ISO/CSのTPM(Mr. Charles-Pierre Bazin de Caix)とTC 44委員長(Mr. Patrick Verrier、任期は2021年末まで。)からの離任の挨拶があった。以上