溶接・接合は、ものづくりにとって必要不可欠な基盤技術であり、あらゆる製造業において活用されています。わが国の溶接・接合技術は、産学官の弛みない努力のもと、世界に冠たる技術レベルに達し、製造立国であるわが国の発展に大いに寄与してきました。わが国は、今後とも製造立国としての地位を保持し続けなければなりませんが、発展途上国の急速な追い上げ、少子化、熟練溶接要員の高齢化による技術伝承問題などをかかえ、技術レベルの相対的な地盤沈下の進行が懸念されます。溶接・接合技術のレベル低下は、わが国製造業の将来の国際競争力に危機感を抱かざるを得ない事態に繋がることから、なお一層の技術の向上を図る必要があります。(社)日本溶接協会は今後共わが国の製造業の溶接・接合技術の維持と発展に資するべく、各種の活動を展開してまいります。
溶接研究に関しましては、ナノ・バイオなど新しい研究領域の拡大による溶接関連研究及び教育施設の縮小、企業における競争力確保のための合理化の進展による溶接専従技術者・技能者の減少、溶接関連業務従事者の年齢構成の上昇など 大きな変化が生じております。しかしながら、環境・安全問題への対応、軽量化に対する材質改善、高効率・自動化溶接技術の開発・異種材料の接合技術の開発など 新たな観点からの学問的・技術的な向上を目指した研究活動と普及活動は必要不可欠であり、学術的基礎研究に関する大学への期待が増加すると共に、産学の連携が益々重要になっています。当協会におきましては産学連携の下で、業種別の集まりである各部会と、研究テーマ毎の集まりである各研究委員会の活動を行なっており、その位置づけは更に重要となってきています。また、これらの研究成果を標準化・規格化へ反映し、汎用性と共通性のある技術標準・標準資格として広く社会に普及することに加え、人材の育成に尽力することも当協会の使命であります。
製造現場においては特殊工程と位置付けられている溶接には品質保証的な観点からのアプローチが必要であり、客観性をもって溶接・接合に関する技術と技能の認証を継続していくことが、設備の安全・安心を確保する上で従来以上に重要となっております。特に、日本においては地震等に対する構造物・製品の信頼性に対する品質要求が大きく、溶接施工に関する技能を含めた施工管理・非破壊検査などによる品質管理が特に重要となっており、資格認証・認定制度を通して安全・安心の確保に貢献いたします。
また、近年は中国を中心とした国々の急速な経済成長などの影響もあり、海外での溶接関連工場の設置・海外からの溶接関連品の輸入の拡大、海外からの労働者の増加など大きな変化が生じてきております。また、今後国内における少子化が進展することは確実であり、海外との関連は益々拡大していくことが予測されます。従いまして、海外との対応、特にアジア諸国との連携強化を積極的に進め、国際貢献・会員団体への寄与に尽力いたします。
今後のわが国製造業の溶接・接合技術の維持と発展に資するため、溶接界に溶接・接合技術に関するあらゆる知識と情報を提供することを目的としてIT 技術を活用した「溶接情報センター」を設置し、会員団体を重点的に支援することは勿論、一般社会にもインターネットを通して情報発信を行い、溶接技術の重要性のアピールと共に教育・普及・底上げにより人材の育成に努めてまいります。
[重点的な項目]
1.研究・調査とその成果の普及活動
2.研究・調
査成果の規格・標準化への反映
3.品質保証的な観点からの資格認証
4.国際化への対応(規格・認
証・教育)
5.知識・情報・教育ツール等の発信(重点的
な手段として、溶接情報センター構想の推進)