1.原子力研究委員会

1.1 各小委員会の設置及び報告
1.2 特別講演の実施
1.3 原子力施設等見学会の実施
1.4 シンポジウムの開催
1.5 講習会の開催

2.企画検討会

2.1 シンポジウム・講習会の立案
2.2 最新情報の交換・現状の把握
2.3 本委員会審議事項の予備検討
2.4 各小委員会との情報交換・連携促進
原子力研究委員会の目的は、構造・材料分野における研究開発と人材育成への貢献である。また、溶接協会は、原子力以外の分野も含む比較的中立的な立場であり、各ステークホルダーに対して、ある程度自由な発言が出来ることに特徴がある。
こうした特徴を活かして、効果的に研究開発と人材育成を進められるように、各小委員会活動と企画検討会活動とを連携させ、以下の活動の促進を図る。
・小委員会活動成果のガイドライン化
・成果の還元と社会ニーズとのマッチング
・人材育成とネットワーク構築 

3. 小委員会

3.1国際研究連絡小委員会

2025年4月16~18日にかけて台湾台南市で開催される第15回ASINCO国際ワークショップ「International Workshop on the Integrity of Nuclear Components」の開催に向け、主催国である台湾と連携して実施運営にあたる。

3.2 SPN-Ⅱ小委員会

「原子力構造機器の経年化とその関連技術に関する調査研究」

2025年度も引き続き、様々な負荷条件下での原子力構造機器やプラントの健全性を適切に評価するための手法の開発や適用の動向を中心に、文献調査や関連した研究を進められている方からの講演により、調査・検討を進める。特に、2016年度から検討を実施してきた「弾塑性解析に基づく構造健全性評価ガイドライン」については、小委員会としての案をとりまとめる。さらに、今後、長期的に機械学習を中心としたAI技術の適用など、強度評価に関わる新しい研究動向についての調査を進めていく方針のもと、今後の活動内容を具体化していく。

3.3 PFM小委員会

「原子力構造機器信頼性評価への確率論的破壊力学の適用法に関する調査研究」

2025年度も引き続き、リスクベース評価に基づく原子力構造機器及び原子力プラント全体の安全性、 信頼性、経済性、社会的受容性の向上に向けて、より現実的な問題に対する手法の調査・検討・開発を行う。特に、PRA と連携した PFM の利用について検討を行う。確率的手法の考え方や使い方を効果的に伝える広報活動方法として、和文・英文の PFM 解説文書のメンテナンスについても引き続き活動を継続し、2024年度に作成し公開したPFM技術に関する解説動画を活用した広報普及活動を推進する。国内外の研究機関によるベンチマーク解析等の V&V に関する検討を引き続き行う。

3.4 BDBE2小委員会

「設計基準外事象の評価と対策に関する調査研究小委員会(その2)」

BDBE小委員会は、設計想定を超える事象(Beyond Design Basis Events)に対する新しい構造強度アプローチを提案し、コンセンサスを醸成することと、それを実現するための新しい技術を調査検討することを目的としている。これまでの活動から「設計想定を超える事象に対する原子炉構造のレジリエンス向上ガイドライン」の骨子を作成し、今後は社会実装には向けた説明と具体化が必要である。特に構造対策とシステム安全対策の連携が重要と思われる。また、BDBEへの対策は、不確定性の大きい1F廃炉作業に伴う強度評価との共通項があり、さらにオイル・ガス分野や鉄道分野で関連技術が進んでおり、こうした分野との連携が社会実装に有効と思われる。以上から、今年度は以下の研究調査を実施し、外部資金への応募を行う。

(1) 構造対策とシステム安全対策の連携枠組み

(2) 過大地震や超高温事故に対する終局安定プラント技術

(3) オイル・ガス、土木分野等の先進事例の調査

3.5 CAF-Ⅱ小委員会幹事会

「塑性拘束効果を考慮した破壊評価基準の確立に関する調査研究(その2)」

2018年度~2022年度に実施したCAF小委員会では、DBTT(延性-脆性遷移温度)領域における塑性拘束効果を考慮した破壊評価手法の適用性を,塑性拘束度の異なる複数種類の試験片を用いた破壊試験と数値解析により検証した。また,ベンチマーク解析により使用解析ツールの検証も実施し,これらの成果をもとに,塑性拘束補正係数χを新たに導入した破壊評価法ガイドラインを策定した。2023年度~2024年度に実施した後継のCAF-II小委員会では、当ガイドラインを社会実装するため、補正係数χの適用範囲拡大と精度向上を図り、定式化を行った。また、本手法の適用を想定している原子炉容器の中性子照射の影響を考慮した材料特性の設定方法を検討した。これらの検討結果をもとに、日本電気協会規格素案を策定した。

CAF-II小委員会は2024年度に終了し,今後はCAF-II小委員会幹事会を中心として,委員会成果の社会実装を具体的に促進するための活動を継続・実施する。2025年度は次を計画する。

  • CAF/CAF-II小委員会成果を各種産業界規格に引用できるよう,公開資料を作成する。
  • 上記成果を広く産業界に知らしめるため、溶接協会シンポジウムを企画し、2025年9月30日に開催する。
  • 拘束効果補正を導入する日本電気協会規格の策定活動をサポートする。

3.6 DHI-Ⅲ小委員会

「デジタル打音検査技術の高度情報化に関する調査研究(PhaseⅢ)」

原子力発電所の高経年化が進み、設備保全の観点から配管・アンカー等の溶接部・接合部の構造健全性を簡便に診断する技術が望まれている。2019年度に活動を開始したDHI小委員会第一期では、デジタル打音検査技術に関する調査研究WGと高度情報化検討WGによる調査研究を行い、基礎ボルト検査方法、金属/コンクリート間の界面状態検査方法に関するガイドライン案を作成した。2022年度に開始した第二期では対象範囲を広げ、各種センサ技術による高度情報化(オンラインモニタリング等)の調査研究も行ってきた。

2024年度から開始した第三期ではこれまでの活動を引き継ぎデジタル打音検査技術のガイドライン案を整備・拡張すると共に、それらの技術に人工知能を活用した場合の高度情報化技術のガイドライン案を検討する。また、これらの調査研究成果について、社会実装に向けた取り組みとしてインフラ維持管理分野での地方自治体との連携と技術文書の公開準備などを行う。

3.7 FDF-Ⅲ小委員会

「繰返し荷重下での低サイクル疲労および延性破壊に対する評価法の整備に関する調査研究(その3)」

これまでFDF/FDF-Ⅱ小委員会において規格への反映を目的に、J積分範囲ΔJを用いた亀裂進展評価法に関するガイドライン整備を進めてきた。ここで整備したJ積分及び亀裂進展評価手法は、CT試験片及び貫通亀裂付配管の試験データを検証データとして整備されたものである。しかしながら、実機では表面亀裂に対する需要が高く、ガイドライン(案)の規格化には表面亀裂に対する評価精度の確認など幾つかの課題があると考えられる。

そこで2022年度はFDF-Ⅲ小委員会準備会を設立し1年間の準備期間を設け,J積分範囲ΔJを用いた亀裂進展評価法の規格化に向けて、課題整理、方針策定及び評価法検証に資する表面亀裂付き配管に対して低サイクル疲労亀裂進展試験を実施した。これらの準備結果をもとに、2023年4月にFDF-Ⅲ小委員会を立ち上げ、亀裂進展評価ガイドラインの2026年4月以降に規格化を目指している。

最終年度となる2025年度も2024年度と同様、簡易評価法検討 WG と詳細評価法検討 WGに分かれて活動する。

簡易評価法検討 WGでは、準備会で実施した試験結果および数値解析手法検討WGの解析結果を踏まえて、参照応力評価法による亀裂進展解析手法の高度化を図り、FDF-Ⅱ小委員会で策定した亀裂進展ガイドラインのドラフトを作成する。

詳細評価法検討 WGでは、準備会で実施した亀裂進展試験をトレースし、構成式、破壊クライテリア、FE解析モデル化の精緻化を図り、適切な解析法のガイドラインを作成する。

3.8 FQA3小委員会 幹事会

「Q&A方式による疲労知識の体系化に関する調査研究」

FQA3小委員会幹事会は、「疲労ナレッジプラットフォーム」の維持、管理と最新情報の反映を目的とした活動に加え、2026年度以降、電力委託の獲得による積層造形(AM)材の疲労を対象とした新たな小委員会の発足を目指した活動を行う。具体的には、AM委員会とも連携を図りながら、積層造形材の疲労に関する文献調査、課題抽出/整理を行うとともに、原子力研究委員会での疲労研究活動の重要性をより理解いただくことへの一助とするため、