2026年 年頭所感
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
旧年中は当協会の活動に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
2025年を振り返りますと、世界経済は依然として不確実性の高い状況が続きました。とりわけ、米国における関税政策の見直しは国際的なサプライチェーンに多方面に影響を及ぼし、我が国の製造業においても対応力の強化が求められる一年となりました。国内においても、多くの産業分野で慢性的な人材不足が深刻化し、技能継承や生産体制の維持・強化が喫緊の課題として浮き彫りになりました。
こうした環境変化の中で、当協会は溶接界の基盤強化に向け、次のような取り組みを進めてまいりました。
まず、人材育成では、指定機関を中心とした教育体制の充実を図り、新たな県で溶接技能者教育を開始するなど、全国展開に向けた体制構築が着実に前進いたしました。
国際競争力の強化では、アジア諸国におけるJIS評価試験の普及を推進し、溶接技術の国際標準化と人材育成の基盤拡大に取り組んでいます。
次世代技術への対応としては、AM(Additive Manufacturing)技術者の育成に向け、AM技術者2級向け研修会と評価試験を新たに開始しました。
これらの成果を踏まえ、2026年も「人材育成」「国際競争力の強化」「次世代技術」の三本柱を中心に、以下の重点施策を推進してまいります。
人材育成においては、現在、全都道府県の約半数で実施している溶接技能者教育を、全国へ拡大することを目指し、指定機関による教育事業を一層強化します。認証と教育を両輪とした持続可能な人材育成体制の確立を進めます。
特に注力すべき取り組みとして、北海道溶接センター(仮称)の設立があります。北海道地区検定試験場の移転に合わせ、認証・教育・研究を一体的に担う新拠点として整備し、地域に根ざした溶接技術の発展を支える体制を構築します。この取り組みは、全国における溶接センター構想の先駆けとなるものです。
溶接接合工学振興会と連携し、工業高校への溶接機寄付事業など教育支援を積極的に展開するとともに、全国工業高等学校長協会主催の夏期講習会(溶接講習)に対して継続して協力してまいります。
国際競争力の強化においては、アジア諸国でのJIS評価試験のさらなる普及に取り組み、国際的な溶接技術の標準化と人材育成に貢献してまいります。外国人材の育成については、2027年度から開始予定の育成就労制度の骨格が示されたことを踏まえ、適切に対応を進めてまいります。
次世代技術への対応としては、AM技術者教育委員会、評価委員会、認証委員会を中心として、2026年度中の開始を目標に、AM技術者1級向け研修会の実施に向けた検討を進めてまいります。
また、ヒューマノイド溶接ロボットやAIを活用した溶接の評価など、新技術への対応も重要です。これらの技術を有効活用するためには溶接作業のデジタライゼーションが必要不可欠であり、当協会としても、会員各社が関連技術を整備・構築できるよう支援してまいります。
さらに、本年9月に東京で開催予定の国際ウエルディングショーでは、一昨年の大阪開催の成功を踏まえ、より充実したプログラムを展開いたします。
当協会は、会員の皆様をはじめ、教育機関、行政機関、産業界の皆様との強固な連携のもと、溶接界の未来を切り拓く活動を本年も着実に推進してまいります。引き続き、皆様の温かいご支援とご協力を賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。
末筆ながら、本年が皆様にとって実り多き一年となりますことを心より祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。

一般社団法人日本溶接協会
会長 青山 和浩




