Welding Consumables Division

2021年度 活動報告

1.本部会
2021年度の部会総会は書面審議とし、2020年度の部会事業報告および決算報告の承認ならびに、2021年度の事業計画(案)および予算(案)の審議・承認を行った。また、部会員の入会と役員等の選任及び解任につき書面審議を行った。

2.技術委員会および分科会
2021年度は、5つの分科会活動と2つのWG 活動に取り組んだ。また、年4回の頻度で開催する技術委員会において、各分科会の活動状況の報告および審議を行った。本年度は、新型コロナウイルス騒動のため見学会および地方開催は中止とし、溶接会館にてWEB 併用での開催となった。

2.1 調査第1分科会
溶接材料の国際規格適正化調査研究(継続)
2021年度は引き続きステンレス鋼用溶接材料の溶加材又は溶着金属の種類ごとの、特性及び化学成分の 規定理由に関するまとめ方について検討し、JIS ハンドブック編集委員会(JSA)に提案を行った。
新たにJIS の定期見直しを審議する対象を検討し、JIS Z 3224:ニッケル及びニッケル合金被覆アーク溶接棒とすることとし、定期見直しを開始した。

2.2 共研第4分科会
溶接関連割れ試験方法の規格化検討(継続)
2021年度は溶接材料の耐割れ性(凝固割れ)評価を目的としたトランス・バレストレイン試験方法のWES本体案の検討及び執筆を行った。適用範囲は、炭素鋼、低合金鋼、ステンレス鋼及びニッケル基合金の溶着金属とし、母材及び溶接金属、非鉄金属は対象外とした。試験片の標準形状及び、TIG メルトラン標準条件を設定し、曲げひずみ付与と同時に消弧して溶融池後端部に強制的に発生させた割れ(最大割れ長さ、総割れ長さ、割れ数)を目的に応じ光学顕微鏡やSEM で計測することを試験方法に記載した。
また2020年度に実施したSUS310 系の肉盛溶着金属(GTAW、SMAW、FCAW)のラウンドロビン試験で作成した試験片のSEM 観察を実施した。微小な割れやシワの取り扱いが測定者のばらつき要因となる為、特徴的な割れの写真と測定例を解説に記載する事とした。

2.3 共研第5分科会
アーク溶接を用いた3 次元積層造形に関する基礎検討(完了)
2020年度までに実施したウィービング、パラレル走査積層造形体の製作、特性評価試験に引き続き、1 層1 パス(ストリンガー積層)の薄板状積層物の製作、特性評価を実施した。ストリンガー積層では、パラレルとはまた異なった造形性となり、他形状造形では良好であったYGW12 で劣化し、逆にYS310S では良好な結果となった。実施してきた実験結果をまとめ、溶接の研究講習会において、造形形状によって造形性や機械特性が変化する、異方性が発現する場合がある、などの獲得知見をまとめて報告した。造形形状によって造形性が変化する現象に対して、高速度撮影による考察を行った。また、積層造形の冷却速度を推定する手段として、YS310S 積層物の凝固組織に関して過去文献との比較を行った。入熱とPDAS(一次デンドライト樹間)の関係は積層造形においても過去文献に示された相関に近い結果であることがわかり、凝固時の冷却速度は「溶接」と大差が無いと推定された。
2020 年度に実施したWAAM 文献調査結果をまとめ、WAAM に対する一般的関心と当分科会の活動が一致することを確認した。計画した共同実験と考察を完了し、分科会を2021 年度で閉会することとした。

2.4 調査第6分科会
アジアにおける溶接材料共通規格の検討(継続)
今年度は新型コロナウイルスの感染拡大のためAWF 標準化委員会はWEB 会議形式で4 月と12 月に開催された。会議においてISO、IIW での溶接材料のISO 規格の制改訂状況および関連するJIS の状況を報告した。
中国、シンガポールより積層造形(以下AM)等に関するいわゆる“AWF 規格”を作ることが提案されたが、AWF で独自の規格を作ることに対する市場のニーズが見えないことや、規格開発に際し標準化の専門家がいないなどの理由により、日本としては賛成せず状況を見守った。
AWF メンバーの標準化に対する関心は以前に比べ高くなっており、国際規格の制改訂情報、メンバー国の国家規格の開発状況・国際規格への整合状況に関する情報を共有することで、各国の標準化に関する情報を収集するとともに標準化に対する意識を高める活動を継続していく。

2.5 規格化第9分科会
溶接材料のISO、JIS およびWES への対応(継続)
本分科会は、日本溶接会議(JIW)第Ⅱ委員会との合同会議体として運営し、JIS の定期見直しの他、ISO およびIIW における国際標準化活動への対応も行っている。本年は、下記の2 つのWG を設け、ISO 規格の制定・改訂状況のフォロー、JIS 改正準備に注力した。
昨年度日本規格協会に提出したJIS Z 3118 について、昨年度のWG3 主査である近藤氏が対応し、金属・無機材料技術専門委員会での審議が12 月に終了し、パブリックコメントを経て2022 年3 月に公布された。
①WG 1;ISO 全般への対応(継続)
ISO 規格の新規制定および改訂事案の経過フォローのためにISO/TC44/SC3(2021 年5 月、11 月、2022 年1 月、3 月:オンライン)、及びIIW 年次大会(2021 年7 月:オンライン)に出席し、技術委員会及び規格委員会において情報の共有化を図った。ISO 規格の制改訂(含定期見直し)について日本の意見集約を行い、調査第1 分科会および当WG から回答した。
②WG 2;JIS およびWES 改正への対応(継続)
溶接材料に関するWES 2 件、および(一財)日本規格協会から、JIS 11 件についての定期見直し依頼があった。これらを検討し、JIS についてはJIS Z 3221 及びJIS Z 3321 が今年度改正公示されたことを報告した。また、WES 9002 について改正を提案した。その他のJIS、WES は「確認」と回答した。

3. 関係専門部会・研究委員会および関係団体との連携
2020年度に引き続き以下の委員派遣を行い、運営への参画および技術委員会での情報共有化を図った。
3.1 (一社)日本溶接協会 規格委員会
今岡進規格化第9 分科会主査が出席し、規格委員会の運営に参画した。
3.2 (一社)日本溶接協会 電気溶接機部会 技術委員会 アーク溶接機小委員会
渡邉博久技術委員会幹事長が出席し、技術委員会の活動状況報告および新規共同テーマ案の探索を行った。
3.3 (一社)日本溶接協会JPVRC施工部会
本年度は開催されなかった。
3.4 (一社)日本高圧力技術協会日本圧力容器研究会議(JPVRC)運営委員会
渡邉博久技術委員会幹事長が出席し、技術委員会の活動状況報告および新規共同テーマ案の探索を行った。
3.5 (一社)日本溶接協会 安全衛生・環境委員会
千賀健委員および澤口直哉委員が連絡委員として出席し、特化則改正など情報の共有化を図った。
3.6 (一社)日本溶接協会 情報センター運営委員会
三浦瑠太委員が連絡委員として出席し、情報の共有化を図った。

4.出版物の発刊
2020年度の技術委員会および分科会の活動成果をまとめて「溶接の研究」No.60(PDF 版)を作成した。

5.講習会
「溶接の研究」の内容を紹介するために、2 年に1 回の頻度で講習会を開催している。今年度は11 月26 日にWEB セミナー形式で、3 件の活動報告と2 件の特別講演からなる講習会を開催した。
① 溶接材料開発におけるバレストレイン試験方法の標準化検討《日鉄溶接工業㈱ 志村氏》
② アーク溶接を用いた3 次元積層造形の基礎的実験について《㈱神戸製鋼所 迎井氏》
③ 溶接材料規格の最新状況《㈱神戸製鋼所 今岡氏》
④ 特定化学物質障害予防規則の概要及び対応《埼玉大学 山根氏》
⑤ TMCP385 溶接施工指針について《JFE スチール㈱ 藤沢氏》