2025年度事業計画
鉄鋼部会はわが国の鉄鋼の溶接に関する技術の向上並びに普及を図ることを目的に、破壊・疲労などに関する研究動向の把握及び海外も含めた調査を行うとともに、最新の技術・情報を反映した規格化及び標準化活動を推進している。2024年度は、WES 2805の改正を検討するWES 2805改正委員会、並びに建築高強度780N/mm2級鋼のアンダマッチング継手の実用化を図るBUH委員会が活動している。2025年度はこれらの委員会を継続し、以下の活動を計画している。
1.本部会及び幹事会
(1) 部会運営と企画
(2) 各研究委員会の調整、運営検討
(3) WES定期見直し
(4) 他専門部会・特別研究委員会との連携(規格委員会、JPVRCなど)
(5) 他学協会との連携(日本規格協会など)
2.研究委員会
2.1 WES2805改正委員会
WES 2805(溶接継手のぜい性破壊発生及び疲労亀裂進展に対する欠陥の評価方法)は、溶接継手の割れや欠陥からのぜい性破壊、及び疲労亀裂進展による損傷とぜい性破壊への移行に対する評価方法を規定した規格である。2022年度に立ち上げた当委員会では、2018年から2021年にかけて実施された鉄鋼部会CRB(CTOD Requirement for Butt joint)委員会で得られた知見などの研究成果やユーザーニーズも反映した改正を検討している。2025年度は委員会を継続し、CTOD駆動力曲線の整備並びにシャルピー靭性と破壊靭性の相関式拡張のために委員会内に設置したワーキンググループ(WG)を中心として、改正に向けた具体的検討を推進する。
2.2 建築高強度鋼(780N/mm2級鋼)アンダマッチング継手研究委員会
【建築高強度鋼(780N/mm2級鋼)アンダマッチング継手研究委員会】
当委員会は、建築物の柱構造への高強度鋼(780N/mm2級鋼)適用を促進するため、母材より強度が低く溶接性の良い溶接材料を用いたアンダマッチング継手(軟質溶接継手)の実用化を図り、大学、ゼネコン、設計事務所、ファブリケータ、溶材メーカー、鋼材メーカーなど多方面から委員を募り2022年度に活動を開始した。2024年度は、BOX柱のアンダマッチ角溶接の構造実験を計画・実行する構造性能WGと、角溶接部の横割れ発生の原因と対策を検討する溶接施工WGを中心に活動し、それぞれのWGで実験計画を策定し、実験を完了した。2025年度は委員会を継続し、構造性能WG並びに溶接施工WGでの成果のまとめと更なる課題抽出を遂行する。