Atomic Energy Research Committee

2020年度(令和2)年度活動計画

原子力研究委員会
1.本委員会
1.1 各小委員会の設置及び報告
1.2 特別講演の実施
1.3 原子力施設等見学会の実施
1.4 シンポジウムの開催
1.5 講習会の開催

2.企画検討会
2.1 講習会の立案
2.2 最新情報の交換・現状の把握
2.3 本委員会審議事項の予備検討
2.4 各小委員会との情報交換・連携促進
原子力研究委員会の目的は、構造・材料分野における研究開発と人材育成への貢献である。また、溶接協会は、原子力以外の分野も含む比較的中立的な立場であり、各ステークホルダーに対して、ある程度自由な発言が出来ることに特徴がある。
こうした特徴を活かして、効果的に研究開発と人材育成を進められるように、各小委員会活動と企画検討会活動とを連携させ、以下の活動の促進を図る。
・小委員会活動成果のガイドライン化
・成果の還元と社会ニーズとのマッチング
・人材育成とネットワーク構築 

3.国際研究連絡小委員会
2020年4月に韓国ソウルで開催される予定であった第13回国際ワークショップ「International Workshop on the Integrity of Nuclear Components」は、コロナウイルス感染防止対策に伴う各国の措置を踏まえ、開催が一年延期されることとなった。2021年の同ワークショップの開催に向けて、その企画運営に協力する。

4.SPN-Ⅱ小委員会
 「原子力構造機器の経年化とその関連技術に関する調査研究」
2020年度も引き続き、大地震、津波などに代表される過大荷重下での機器やプラント全体の健全性を適切に評価するための手法の整備状況や適用動向を主なテーマとして、文献調査(抄訳)及び、対象とする技術分野に精通した方の講演により、調査・検討を行なうこととする。具体的な調査対象を以下に示す。
(1)BDBA(設計基準事故を越える事故)も含めた構造物の終局強度評価法
(2)過酷事故やその前駆段階における構造強度評価法
(3)低確率事象に対する工学的対処法
(4)規制や再稼動に関わる動向
また、2016年度から検討を開始した「弾塑性解析に基づく構造健全性評価ガイドライン」の策定について、2020年度も引き続き検討を進め、原案を取りまとめる。

5.PFM小委員会
「原子力構造機器信頼性評価への確率論的破壊力学の適用法に関する調査研究」
2020年度も引き続き、リスクベース評価に基づく原子力構造機器及び原子力プラント全体の安全性、信頼性、経済性、社会的受容性の向上に向けて、より現実的な問題に対する手法の調査・検討・開発を行う。特に、PRA と連携した PFM の利用について検討を行う。効果的な広報活動方法について検討し、さらに、和文・英文の PFM 解説文書のメンテナンスについても引き続き活動を継続する。国内外の研究機関によるベンチマーク解析等の V&V に関する検討を引き続き行う。具体的なテーマとして以下のものが挙げられる。
(1)リスクベース評価のより現実的な問題への適用
(2)国内外のリスクベース評価研究・開発動向調査
(3)PFM コードによる具体的な評価研究
(4)PFM 解説文書(和文・英文)の改訂作業・広報活動
(5)PFM ベンチマーク解析に関する検討
(6)PFM 解析ガイドライン化に関する検討

6.FDF-II小委員会
「繰返し荷重下での低サイクル疲労および延性破壊に対する評価法の整備に関する調査研究(その2)」
FDF小委員会では、過去の原子力研究委員会の小委員会で得た繰返し荷重下の低サイクル疲労及び延性破壊に関する試験・解析の知見をもとに、それらに対する評価法の整備を進めてきた。文献調査および炭素鋼CT試験片に対する数値解析を実施して、小規模降伏条件を逸脱したときの破壊力学的手法およびその簡易的手法の調査、検証を実施した。特に数値解析では、構成式、破壊クライテリア、FE解析モデル(要素、亀裂進展手法等)に関し、既存試験データと比較して適切な評価手法の調査、検討を行った。
FDF-II小委員会では引続き、同様の検討をステンレス鋼にも展開し、CT試験片に対する数値シミュレーションを実施する。またFDF小委員会での成果と合せて、配管等の構造体に対し、繰返し荷重下の亀裂進展挙動予測法を適用し、その精度や適用限界を把握する。これらの知見をまとめてガイドラインFDF-II小委員会では以下の活動を行う。
(1)繰返し荷重下の低サイクル疲労、延性破壊に関する追加文献調査
(2)小規模降伏条件を逸脱したときの破壊力学的手法の調査と数値解析による検証
(3)試験片および配管等の構造体に対する解析手法のガイドライン化検討
2020年度は、参照応力評価法によるJ積分評価に関する文献調査を継続するとともに、代表的な構造体の亀裂(平板表面亀裂、円筒周方向内表面亀裂および貫通亀裂、円筒軸方向内表面亀裂)に対して参照応力法による適切なJ積分評価式を検討する。数値解析においては、ステンレス鋼CT試験片及び構造体(配管)に対する試験結果のトレース解析を進めるとともに、参照応力法検討に資する解析を実施する。さらに繰返し荷重下の延性亀裂進展に関する数値解析及び健全性評価ガイドライン(案)の作成に着手する。

7.BDBE小委員会
「設計基準外事象の評価と対策に関する調査研究小委員会」
BDBE 小委員会は、設計基準で想定される状態を超える異常状態(Beyond Design Basis Event)に対する構造設計と対策の考え方を整理し、コンセンサスを醸成することと、それを実現するための新しい技術を調査検討することを目的としている。最終的には、第4層に対する評価と対策に関するガイドラインを提案することを目指している。
2020 年度は、2019年度まで実施された文部科学省原子力システム研究開発事業「破壊制御技術導入による大規模バウンダリ破壊防止策に関する研究」研究成果ならびに内外の関連する研究の調査を通して、以下の課題の研究を行う。
(1)BDBE に対する要求性能と性能指標の検討
(2)性能向上のための機器レベルの具体策
(3)性能向上のためのプラントレベルの具体策

8.CAF小委員会
「塑性拘束効果を考慮した破壊評価基準の確立に関する調査研究」
本小委員会では、実構造物の健全性評価で重要となるDBTT(延性-脆性遷移温度)領域において、延性亀裂を伴う劈開破壊が生ずる破壊モードに対し、拘束度を考慮した破壊評価手法の整備を検討する。拘束度を考慮した破壊評価手法としては脆性破壊を対象としたBereminモデルと、延性破壊を対象としたGursonモデル等の損傷力学モデルがあり、国内外でその適用検討が活発に進められている。一方、DBTT域の破壊モードに対しては、モデル構築はもとより、解析手法の整備さえ発展途上である。実用上は実構造物への適用のための評価手法の標準化が待たれている。そこで、本小委員会では、以下の活動を予定している。
(1)拘束度を取り入れた破壊評価手法の調査
(2)拘束度を変えた破壊試験データによる破壊評価の適用性の検討
(3)破壊評価手法の標準化・規格化の検討
(4)国外機関との情報交換・情報収集
本小委員会は2018年4月に発足し、2023年3月まで5年間の活動を予定している。3年目の2020年度は、2019年度から始めたBereminモデル及びGTNモデルのラウンドロビン解析をブラッシュアップし、解析手法及び参加機関で使用する解析ツールの機能統一を図る。さらに、SENB(片側切欠き三点曲げ)試験片及び表面き裂入り平板試験片など、拘束度の異なる破壊力学試験をDBTT領域から延性破壊領域において実施し,Bereminモデルと損傷力学モデル(GTNモデル)のカップリング解析の適用性や評価精度を検討する。

9.DHI小委員会
「デジタル打音検査技術の高度情報化に関する調査研究」
原子力発電所の高経年化が進み、設備保全の観点から配管・アンカー等の溶接部・接合部の構造健全性を簡便に診断する技術が望まれている。一方で情報通信技術の発展に伴い各種センサー装置、シミュレーション、人工知能が発展を遂げており、従来から簡便な設備点検技術として幅広く利用されてきた打音検査をこれらの先進技術と統合することでデジタル化・情報化し、広く事例データベースを整備することにより、点検員の技量・経験に依存せず定量的・客観的な判断に資する技術として確立することは非常に有益であると考えられる。上記の背景のもとに本小委員会ではデジタル化された打音検査を対象として、その事例データベースの整備、シミュレーション技術、人工知能化に係る調査研究を行い、最終的には、デジタル打音検査に関するガイドライン案を提案する。
活動期間2年目となる 2020 年度は、前年度に引き続き以下を実施する。 
(1)デジタル打音検査技術の現状と課題の整理
(2)実地事例の収集と評価
(3)デジタル打音検査シミュレーションのデータベース化と人工知能による学習の検討

10.DFC3小委員会
「設計疲労線図の策定に係る調査(PhaseⅢ)」
DFCおよびDFC2小委員会(2011 年8 月~2016 年3 月)では、新しい考え方の設計疲労線図を開発し、その中で設計係数等について検討を行い、有益な情報が得られた。とくに表面粗さおよび引張強さをパラメータとした表面仕上げ効果係数の場合には、低~中強度域におけるばらつきが大きく、データの拡充が必要であることがわかった。また、疲労強度減少係数と平均応力補正の関係については、これらの考慮する順番を確認する必要があることがわかった。
そこでDFC3 小委員会においては、以下について検討している。
(1)疲労強度に対する表面仕上げ効果の評価手法の精緻化
(2)疲労強度に対する疲労強度減少係数と平均応力補正の考慮の順番の影響
2020年度は、表面性状の異なる試験片の疲労試験結果および平均応力疲労試験結果等に基づき、疲労強度に対する表面仕上げ効果の評価手法の精緻化および提案した平均応力補正方法の妥当性を確認する。