Brazing Division

令和3年度(2021年度)活動報告

1 本部会 (部会長: 高橋 愼一)
1)開催状況
第66回部会総会  コロナウイルス感染症の影響により集会形式の開催は中止とし、書面審議を行った。
2)議事内容
(1)2020年度事業報告を承認した。
(2)2020年度決算報告を承認した。
(3)2021年度事業計画案を承認した。
(4)2021年度予算案を承認した。

2 業務委員会(委員長:神田 輝一)
1)開催状況
2021年5月12日(水) WEB会議
2021年9月 3日(金) WEB会議
2021年12月3日(金) 
2022年2月28日(金)WEB会議

「ぶれいず編集委員会」
2021年9月 3日(金) WEB会議
「臨時打ち合わせ」
2021年8月 6日(金) WEB会議 
2022年2月 3日(木) WEB会議

 2)事業内容
(1) 事業報告・計画、決算・予算の検討を行い本部会に上申した。
(2) 技術委員会の活動活性化について検討を行った。
(3) 新規部会員の勧誘を行った。
(4) 銀ろう市場調査:部会員の材料メーカ3社による銀ろうの出荷実績第33回(2020年度:2020年4月~2021年3月)の集計を行い、会員に配布した。
(5) 「現場に役立つろう付技術講習会」の企画および実施を行った。
(6) 機関誌「ぶれいず126号」の企画及び発刊を行った。
(7) 機関誌「ぶれいず126号」広告会社の公募を行い、掲載会社を決定した。
(8) 部会文献(ぶれいず技術特集編、ろう付DVD等)の頒布を行った。
(9) 「ぶれいず友の会」の運営を行った。
(10) 技術委員会との共通問題の審議を行った。

3 技術委員会(委員長:宮沢 靖幸)
3.1 本委員会
2021年度技術委員会の本委員会開催はなかったが、適宜業務委員会で審議した。

3.2 先端材料接合委員会      (主査:山﨑 敬久)
(1)先端材料接合委員会では2021年度においてWEBで3回の講演会を行った。そのうち、第2回委員会では、溶接学会「界面接合研究委員会」との合同委員会を開催した。
第1回委員会 2021年7月2日(金)
①「Agナノ粒子ペーストによるNiへの接合について」
株式会社日本スペリア社 熊谷圭祐氏
ナノ粒子接合材と焼結接合プロセスに関する研究成果が発表された。まず、Cu粒子含有Agナノ粒子によるNi/Cu接合に関する成果報告がされた。Ni/Ag界面の元素分布解析がされた。パワーデバイス(SiC)のダイボンドへの応用として、各種Niめっき(電解Niめっき、無電解Ni-Pめっき)膜のナノ粒子焼結接合(Ag/Niめっきon Cu基板)の成果報告が行われた。電解めっき膜では、十分な接合強度が得られるが、無電解めっき膜では、強度が大きく低下することが報告された。加熱処理の影響等も報告された。Niメッキ膜/Ag破壊界面の詳細な観察に基づき、実験結果の考察が行われた。
②「半導体デバイスとダイヤモンド放熱基盤の直接接合」
産業技術総合研究所 松前貴司氏
半導体デバイスとダイヤモンド放熱基板との直接接合原理とその成果報告が行われた。常温から200℃程度の温度下大気中無加圧での直接接合に関する研究成果報告が行われた。デバイス側には酸素プラズマ処理(または洗浄処理)を施し、ダイヤモンド表面には酸化洗浄液処理を施し、直接接合が行われた。接合表面に-OH官能基を形成することにより直接接合が達成できることが示された。Siデバイス/ダイヤモンドの接合では、C-O-Si結合により直接接合が達成されていることが示唆された。酸化ガリウム並びにインジウムリンもダイヤモンドと直接接合が可能であることが示された。
③「電解法によるNi-Cr-Pろう材膜の創制」
国立大学法人群馬大学 劉澍彬氏
電解Ni-P-Cr膜を用いたステンレス鋼のろう付に関する研究成果が報告された。まず、Ni-11P(mass%)電解合金膜を用いたSUS304鋼ろう付部のミクロ組織、せん断強度および0.06 mol/L NaCl水溶液中における腐食特性の評価結果が報告された。SUS304/Ni-11Pガルバニック試験片ではNi-11Pが優先的に溶解することが確認された。次に、開発されたNi-P-Cr電解浴における電気化学的還元メカニズムをリニアスイープボルタンメトリー法にて解析した結果が示された。Ni-13.4Cr-11.6P (mass%)電解合金膜を用いたSUS304鋼ろう付部は,Ni-11Pと比べ高強度および優れた耐食性を有することが示された。
④「摩擦熱を利用した亜鉛めっき鋼板とアルミニウム板材の重ね接合」
国立大学法人北海道大学 見山克己氏
回転ツールを板材表面に押圧した際に発生する摩擦熱を利用して亜鉛だけを選択的に溶融させる手法にて、亜鉛めっき鋼板とアルミニウム板材の重ね接合ろう付する研究成果が報告された。ツールの先端形状および有底孔のサイズを様々に変化させたときの接合性を調査した結果が報告された。有底孔のサイズを適正化することで、安定した摺動状態と摩擦熱が得られ良好な接合が達成できることが示された。良好な接合部が得られるときには、変形した被接合材が孔内に入り込んで回転軸として作用することで軸ぶれが抑制され、摩擦熱を効率的に発生させていることが示唆された。
第2回委員会 2021年10月22日(金)
①「異形態ろう材の同時使用によるろう付」
学校法人東海大学 山崎交輝氏
ろう付に使用されるろう材の供給形態としてはワイヤ、粉末、箔などがある。それぞれの形態にも特徴があり、粉末ろう材はバインダーと混合してペーストとするため、バインダーの揮発工程が必要となる。バインダー揮発時にはガスが発生し、ろう付部のボイドなど欠陥の原因となる。しかしペーストであるため設置の自由度は高い。対して箔状ろう材は、非常に薄く間隙制御が容易であり、ボイドなど欠陥の発生が少ないため、大面積の接合に向いている。ステンレス鋼のろう付には、耐食性が高くかつ高温強度が優れるNi系ろう材を使用する場合が多い。Ni系ろう材は硬く脆いため通常では粉末の供給であるが、一部で液体急冷凝固による箔状ろう材が使用されている。Ni系ろう材の使用においてはろう付後のフィレットのサイズに注意することが重要である。過大なフィレットが形成されると最終凝固部に脆い残留共晶が生じやすくクラックの起点となる。また極端に小さいフィレットも応力集中源となってしまうことがある。よって適切なサイズのフィレット形成が必要である。そこで本研究では面での接合には箔状ろう材、フィレットの形成に量や位置の調整が容易な粉末ろう材によるペーストといったように、異なる形態のろう材を同時使用したろう付を行うことで健全なろう付部、フィレットの形成の報告がされた。
②「各種アルミニウム合金のフラックスレス液相拡散接合」
国立大学法人群馬大学 小山真司氏
近年、地球温暖化防止対策の観点から、CO2排出量低減に向けた研究開発が盛んに実施されている。特に国内CO2排出量の20%が運輸部門で占められているといった報告もあり、その中で自家用車の占める割合が80%以上であることから、環境性能に対する要求が高まっている。本講演では、アルミニウム合金の液相拡散接合に焦点を絞り、インサート金属表面の有効な酸化皮膜の除去法と金属塩被膜による保護皮膜の形成について紹介する。加えて、種々のアルミニウム合金への金属塩被膜付与Znシートの適用例を交え、接合強度に及ぼすインサート金属中の不純物の影響ならびに接合後の熱処理についても述べられた。
③「銅及び銅合金の先進的ろう付接合法」
自然科学研究機構 核融合科学研究所 時谷政行氏
銅及び銅合金と他の金属材料との新しいろう付接合法が紹介された。本ろう付接合法ではNi-P系ろう材を用いることを特徴とし、特に接合が難しいと言われている酸化物分散強化銅(ODS-Cu)と被接合金属間の接合に有効であることが述べられた。ODS-Cu/被接合金属との接合部は、機械的健全性を担保するに十分な靭性だけでなく、高い熱伝導性を有することが確認された。本ろう付法の接合原理から応用例までが詳しく紹介された。
④「フラックスによるAl-Si系ろう材のろう付時酸化皮膜破壊挙動のその場観察」
(株)UACJ R&Dセンター 第二開発部 自動車熱交材料開発室 鈴木太一氏、柳川裕氏、山吉知樹氏フラックスによる酸化皮膜破壊・除去の過程および機構を明らかにすることを目的として、その場観察によりろう付中のろう材酸化皮膜破壊挙動が調査された。その場観察の結果、酸化皮膜はフラックスにより母相から剥離・分断化されるが、消失せずに溶融ろう上を激しく流動していた。これより、フラックスによる酸化被膜破壊の機構としては電気化学反応説の寄与が最も大きいと考えられた。
第3回委員会 2022年3月14日(月)
①「反応性スパッタ法による酸化チタン表面物性」
立命館大学 理工学部 機械工学科 小林大造氏
酸化チタン薄膜は光照射により有機物の酸化分解反応や親水化反応を示すなど興味深い性質を持つ。反応の度合いは結晶構造や表面モフォロジーによって異なるが、酸素 アルゴン混合ガスを用いた反応性スパッタ法ではルチル型、アナターゼ型、ルチルアナターゼ混合型と酸化チタンの結晶構造を制御可能で、様々な下地構造への被覆性も良い。今回は反応性スパッタ法で得られた酸化チタンの濡れ性の光応答性を中心に表面物性について発表された。
②「石英基板表面の濡れ性のレーザ局所改質とその応用例」
国立大学法人東京工業大学 工学院 青野祐子氏
石英基板表面の官能基をレーザにより量的制御することで、濡れ性の局所的かつ段階的な制御を実現した。本講演では、そのメカニズムと液滴制御や液滴配列等のアプリケーションの研究事例について紹介された。
③「電解析出による銅の低温接合」
国立大学法人 大阪大学 大学院工学研究科 マテリアル生産科学専攻 福本信次氏
一般的に銅を固相接合する場合、高温、高加圧力が必要である。本講演では、銅の突き合わせ面に銅を電解析出させることで室温かつ無荷重で銅同士を接合し、その接合層の微細組織の形成ならびに接合部の機械的性質を評価した内容について紹介された。
④「液滴やメニスカスの形状情報のみから表面張力を決定する手法」
国立大学法人 東京工業大学 環境・社会理工学院 融合理工学系 高橋邦夫氏
平面上液滴(Sessile drop)、懸垂液滴(Pendant drop)、および、液架橋や毛細管現象やWilhelmy法や小滴法やメニスコグラフ試験に見られる軸対称メニスカスにおける液体表面の2点の情報(位置と接線角)から表面張力を決定する一般的な方法を提案した。従来の方法は対象が平面上液滴や懸垂液滴に特化されていたり、力測定に基づいていたり、形状フィッテイングに基づいている点をレビューし、メニスカスが軸対称であれば、表面上の2点の座標と接線角のみから表面張力が決定できることを理論的に示し、メニスコグラフ試験におけるメニスカスを用いてそれを実験的に示した。また、この方法が市販のメニスコグラフ試験装置にも実装される予定であることが紹介された

3.3 規格調査委員会 (主査:上本 道久)
規格調査・分析委員会では2021年度において4回の委員会を開催した。
 (1)委員会開催状況
第1回  2021年4月7日(水) WEB会議
第2回  2021年8月3日(火) WEB会議
第3回  2021年11月26日(金) WEB会議
第4回  2022年2月1日(火)WEB会議
(2)審議事項
規格調査・分析委員会の担当内容は以下の①〜③である。
①ろうに関わる標準規格(JIS、ISO、WESなど)の制定や改正、廃止などの精査およびJIS定期見直しに対応した。
②ろう材、ろう材分析法、ろう付試験方法などのJIS改正について審議した。
③2021年度においては4月、8月、11月、2022年2月の4回の委員会をオンラインで開催した。ISO会議(TC44/SC13)は11月にオンラインで開催され、主査、幹事および委員の2名の計4名が出席した。ISO会議(TC44/SC13/WG ISO17672)が2月に開催され、幹事及び委員2名の計3名が出席した。
・ろうのぬれ試験方法の規格について、2021年3月にISO 5179“Investigation of brazeability with spreading and gap filling test”という規格名で発行された。この規格を翻訳することによる当該また本規格を翻訳することによる当該JIS(Z3901)の改正作業に着手した。
・ろうの材料規格については、該当国際規格ISO 17672に我が国の独自組成のろう材を一部盛り込む予定であることをISO会議で通告した。ISO17672は2021年度に5年見直しを向かえるため、改正後に速やかにJIS化を検討することとした。
・銀ろう分析方法に関するJIS規格(Z3901)については、現在までに整理したICP発光分析法を主体とした分析法として改正の予定であるが、作業は進んでいない。分析に関わる委員を充実させてマンパワーを高めることが必要と判断した。
また分析法の規格化には共同分析試験が必要で多額の費用が発生するため、外部資金獲得戦略が必要である。そのための啓発と提案を行ったところ委員の意識は高くないことが判明した。
・ろう付用フラックスについては、当該WES規格(WES5602)の活用実態が乏しいことから廃止した。その上で、2020年9月に制定されたフラックスに関するISO 18467を翻訳して新たにJIS化することとし、その作業に着手した。
・白金器具に関する規格(JIS H6201-6203)は1980年代に改正された古い規格であり、かねてより改正を要求されていた。本委員会には白金器具製造企業の委員がおり、検討の結果、化学成分について新しい情報を付加した草案を完成することができたため、当該JISの改正作業に着手し、JISH6201改正原案作成委員会を立ち上げた。
・ろうの材料規格については、該当国際規格ISO17672に我が国の独自組成のろう材を一部盛り込む予定であることをISO会議で通告した。現在ISO17672改正原案作成委員会のためのWGが立ち上がっており、日本から委員3名が参加して審議を進めている。委員の1名は副プロジェクトリーダーを担っている。
・ろう部会の活動を活性化するために、その方策を議論する規格調査・分析委員会改革小委員会を立ち上げた。