Brazing Division

平成29年度 活動報告

1 本部会 (部会長: 松 忠男)
1)開催状況
第62回部会総会  平成29年6月6日(金)溶接会館 10階特別会議室
2)議事内容
(1)平成28年度事業報告を承認した。
(2)平成28年度決算報告を承認した。
(3)平成29年度事業計画案を承認した。
(4)平成29年度予算案を承認した。
(5)ろう部会 内規改正を承認した。

2 業務委員会(委員長:岡村愼一)
1)開催状況
平成29年5月19日(金) 溶接会館4階B会議室
平成29年9月1日(金) 溶接会館4階A会議室
平成29年12月8日(金) 溶接会館3階研修室
平成30年2月23日(金) 溶接会館4階B会議室
「ぶれいず編集委員会」
平成29年5月19日(金) 溶接会館4階B会議室
平成29年9月1日(金) 溶接会館4階A会議室2)事業内容
(1) 事業報告・計画、決算・予算の検討を行い本部会に上申した。
(2) 技術委員会の活動活性化について検討を行った。
(3) 新規部会員の勧誘を行った。
(4) 銀ろう市場調査:部会員の材料メーカ3社による銀ろうの出荷実績第29回(平成28年度:平成28年4月~29年3月)の集計を行い、会員に配布した。
(5) 第75回・第76回「現場に役立つろう付技術講習会」実施計画を検討し、開催した。
第75回
・日  時:平成29年10月6日(金)
・場  所:名古屋国際センター 第一会議室(愛知・名古屋)
・受講者:65名
第76回
・日  時:平成29年12月8日(金)
・場  所:溶接会館 2階ホール(東京・秋葉原)
・受講者:73名
・講演題目
①《ろう付の仕組みと材料と継手》  国立大学法人 新潟大学名誉教授 渡辺 健彦 氏
②《実際のろう付作業のコツ》     東京ブレイズ株式会社                松 康太郎 氏
③《ステンレス鋼のろう付技術》    学校法人 東海大学 教授          宮澤 靖幸 氏
④《アルミニウムのろう付技術》      ナイス株式会社                   水田   豊 氏
⑤《異種材料のろう付技術》          ナイス株式会社                   大西 武志 氏
(6)  アンケート調査:講習会受講者にアンケート調査を実施し、集計・解析を行った。
(7)  機関誌「ぶれいず122号」の企画及び発刊を行った。
(8)  機関誌「ぶれいず122号」広告会社の公募を行い、掲載会社を決定した。
(9)  部会文献(ぶれいず技術特集編、ろう付DVD等)の頒布を行った。
(10) 「ぶれいず友の会」の運営を行った。
(11) 技術委員会との共通問題の審議を行った。

3 技術委員会(委員長:渡辺 健彦)
3.1 本委員会
平成29年度技術委員会の本委員会開催はなかったが、各小委員会は活発な活動がされた。

3.2 先端材料接合委員会      (主査:山崎 敬久)
先端材料接合委員会では平成29年度において2回の講演会とシンポジウムを行った。
そのうち、第2回委員会では、溶接学会「界面接合研究委員会」との合同委員会を開催した。
【第1回委員会 平成29年7月21日(金)】
①「特異拡張濡れを利用した金属材料の接合の試み」大阪大学 中本将嗣氏
 銅基板表面へのBi、 Sn、 及び共晶はんだのレーザ照射条件による濡れ広がり過程を調査している。酸化還元を繰り返すと銅表面に微細クレバス構造が形成される。真空条件下で、レーザ照射によりろう付すると異常とも思える拡張濡れ広がりが生じる。Biでは、状態図から溶解度がなく、金属間化合物も形成されないので、純粋なクレバスへの浸透と濡れ広がりのみとなる。Snでは、金属間反応が生じるため、Cu基板との界面にて金属間化合物層、Cu6Sn5、 Cu3Snが形成されることが示された。基板回路を3D形状にしても、下方から上方に異常拡張濡れが生じることが明らかにされた。

②「はんだぬれ性評価試験機の紹介と評価例」レスカ(株)藤間貞行氏
 ウェッティングバランス法によるはんだのぬれ性試験に関する紹介が行われた。ウェッティングバランス法の特徴として、「ぬれ過程を動的に計測できる」、「定量化できる」、「計測結果に複数の要因が含まれる」ことが説明された。相対評価は実施しやすいが、測定結果としては、「はんだ(組成、温度)」、「フラックス(組成、活性度)」、「試験対象(表面の酸化や汚れ、熱容量、形状)」、「装置差(センサ感度、サンプル保持方法)」が複合的に含まれることが指摘された。測定結果を解釈する際の注意点も紹介された。また、部品の小型化、ソルダペーストへの対応から、従来のはんだ槽法に加え、小球法、プロファイル昇温法、急加熱昇温法などの派生方式が考案され、規格化されてきたことが紹介された。さらに、評価例として、はんだ槽法による温度、時間、フラックス、表面めっきの影響調査、小球法によるQFNおよび0402部品電極部の測定、プロファイル昇温法による0402部品へのソルダペーストのぬれ性評価の例が紹介された。

③「自動車用熱交換器の接合技術」カルソニックカイセイ(株)長島政彦氏
 車載用アルミニウム製熱交換器のろう付け技術に関する紹介がなされた。複数個所の同時接合が要求される熱交換器の接合技術としてはろう付けが最適であり、世界で初めてノコロックブレージング工法の量産に成功した経緯が紹介された。これにあわせて、それまでのフラックスブレージング工法および真空ブレージング工法も紹介された。熱交換器のろう付け部の信頼性要件として、耐食性、気密性、耐圧性が要求され、クラッド材の材料選定とプロセス管理が重要となることが説明された。材料選定の例として、大気側及び冷却水側両面からの腐食に対して心材の腐食を防止する犠牲材/心材/ろう材/フィン材部における電位差制御方法が紹介された。また。プロセス管理の例として。気密性確保のためのコア部品の加工及び組み付けの高精度化並びにフラックス量の適正化、耐食性及び耐圧性確保のためのろう付け加熱条件の管理例が紹介された。さらに、環境変化に伴う熱交換器の動向に関する昨今の状況が紹介された。

④「固体表面の濡れ挙動の制御:超親水から超撥水まで」工学院大学 吉田真哉氏
 液体、水の濡れ性と応用分野に関して先ず概説があった。静的ぬれと動的ぬれに関する研究背景に関しての解説があった。超親水と超撥水に関して説明があり、超親水物質として酸化チタン(光触媒物質)を例に説明された。また、超撥水物質として蓮の葉を挙げ、水のぬれ性について解説された。超撥水性を示す蓮表面において、表面凹凸形状と空気層が原因していることが詳しく解説された。平面のぬれ接触角のYoung-Dupréの式、凹凸の表面に対するWenzelの式、空気のかみこみがある凹凸表面に対するCassieの式に関して具体的に示された。動的ぬれ挙動やCassie-Baxterの式の意味に関しても説明され、三相界面の挙動等に関して議論された。
【第2回委員会 平成29年10月27日(金)】
①「精密な温度制御可能なレーザろう付機の開発」東京ブレイズ(株) 松康太郎氏
ろう付において、加熱時間や温度を制御することは非常に重要な要素であるが、これまでのろう付法では十分に制御が行われてきていない。特に短時間の加熱を制御し、適切なろう付を行うことは至難の業である。その問題を解決できる加熱方法の一つとして、最近ではレーザ加熱が注目されている。そこで、我々は被加熱体(母材)の測定温度値からレーザ加熱をフィードバック制御することで、精密な温度制御が可能なレーザろう付機を開発し、実際にろう付を行った。結果、接合部の界面反応制御に優れたろう付を行えることが確認できた。更に従来のレーザ加熱とは異なり、温度の精密制御が可能なことから、熱影響の大きい部材に対しての入熱コントロール実現の可能性も示唆することが出来た。

②「ステンレス鋼のろう付と最近のトレンド」東海大学 宮沢靖幸氏
EGRクーラー製造時に必要な「ステンレス鋼のろう付」とNi系ろう材の概略を紹介した。続いて、「液体急冷凝固法によって作製された箔状アモルファスろう材を用いたフェライト系ステンレス鋼ろう付部に形成されたろう付部組織の解析」に関し、Ni系箔状アモルファスろう材を用いてろう付したステンレス鋼ろう付部の詳細な断面組織解析結果を紹介した。EPMAやEBSDによる解析の結果、ろう材中のBが母材結晶粒内の特定の方位に沿って拡散し、Cr2B針状組織を形成する事を明らかにした。「粉末状Ni系ろう材を用いたろう付部に形成されるボイド発生メカニズムの解明」では、ペースト状Ni系ろう材を用いた大気圧雰囲気下のろう付時に発生するボイド発生メカニズムの解析を試みた。ボイド発生を目的とした試験片を考案し、検討した結果、想定していない溶融ろう材の挙動がボイド発生の一因である事を明らかにした。「ステンレス鋼ろう付部の耐食性評価」に関しては、典型的なろう付試験片であるSingle Lap 形状試験片を用いた電気化学的手法による分極曲線の測定を試みた。測定・検討の結果、耐食性評価が可能である事を示した。

③「銅ナノペーストの活性焼結メカニズムとその応用について」古河電機工業(株) 藤原英道氏
本研究では、各種電子デバイス用接合材として、銅ナノ粒子を提案し、粒子表面状態の影響を踏まえたポリオール系活性剤を用いた焼結挙動の解析を目的とした。そこで、活性剤と銅ナノ粒子の熱的反応を速度論的に考察する事を目的として、加熱制御性の高い「熱分解-ガスクロマトグラフ質量分析計(Py-GC/MS)を用いた。検討の結果、粒子表面の酸化状態の違いが活性剤であるポリオールの分解反応に大きな影響を及ぼしている事が判った。さらに、銅ナノ粒子の表面酸化状態は銅ナノペーストの焼結性、導電性、成膜性に大きな影響を与えており、最適化が重要となる事が明らかにされた。表面の有機物修飾状態は、焼結進行を遅らせる影響をもたらしている。最後に古河電気工業で進めている粒子修飾技術、溶媒設計技術を特徴とした銅ナノペースト・インクの開発について紹介された。

④「溶融Zn を利用したAl 部材同士の接合に対する接合工法の検討」矢崎総業(株) 山形由紀氏

自動車軽量化を推進するためのマルチマテリアル化の一環として、ワイヤーハーネスを銅からアルミニウムに置き換える動きがある。この場合、アルミニウム同士またはCuとAlの接合技術が必要となる。これまで、金属塩生成接合法を用いたAl部材同士の拡散接合やAl-Zn共晶反応を用いた共晶接合などを試みてきた。そこで、本研究ではAl-Zn共晶接合の接合メカニズムに詳細な検討を加える事を目的とした。検討の結果、Znを溶融させるための熱源種に関係なくAl部材同士が接合可能である事を確認した。また、塩水環境下による腐食の確認から、接合界面から排出したZnやAl-Zn共晶がAlより先に腐食する事が確認された。

⑤レーザ式パウダーベッド溶融によるNi 基合金とステンレス鋼の造形 
近畿大学 池庄司敏孝氏
レーザ式パウダーベッド溶融によるステンレス鋼SUS630とNi基合金インコネル718の造形に関し紹介された。造形条件を探索するために、板状材の造形結果、レーザトラックの状態観察、断面組織観察、EPMAによる元素分析結果、密度測定、引張試験などに検討を加えた。その結果、SUS630では、最適条件を明らかとし、引張強さ1106MPa、伸び12.8%、0.2%耐力460MPaが得られた。インコネル718では、シュミレーションなどを用い、検討を加えた。

【第3回委員会】
 第3回シンポジウム「粉末ろう・ペーストろう,様々な形態のろう」の実施計画を検討し、開催した。
・日  時:平成30年3月16日(金)
・場  所:溶接会館 2階ホール(東京・秋葉原)
・受講者:56名
・講演題目
① 金属粉末の製法について 福田金属箔粉工業(株) 濱田 幸隆氏
② 焼結銀ペーストを用いた半導体素子の接合 ハリマ化成(株) 中城 治之氏
③ サンドイッチろう材セラミックスの接合について 東京工業大学 山﨑敬久氏
④ 誘導加熱方式によるロウ付け・半田付け:アロニクス(株) 髙橋 裕一
⑤ ペーストろうを飛ばす,最新のJETディスペンス技術 
  武蔵エンジニアリング株式会社 宮井 誠氏
⑥ ペーストろうを使用したろう付の適用事例 ナイス(株) 水田 豊氏

3.3 規格調査委員会 (主査:上本 道久)
規格調査・分析委員会では平成29年度において3回の委員会を開催した。
 (1)委員会開催状況
第1回  平成29年9月15日(金) 14:00~17:00  溶接会館4階A会議室
第2回  平成29年12月4日(月) 14:30~17:00  溶接会館5階AB会議室
第3回  平成30年3月13日(火) 14:30~17:00  溶接会館4階A会議室
 (2)審議事項
①ろうのぬれ試験方法についてのJISおよびISO規格を検討した。
JIS Z3191(ろうのぬれ試験方法)規格改正に向けた申請を行い、原案作成委員会を2017年4月、6月、8月に開催して審議した。JISで規定されている広がり試験方法はISOの規定にはなく、ISOに規定されている間隙ぬれ試験方法は、そのままJISにも規定されているものの実用性がなく使用実績がないことが判明した。以上より、JIS改正を保留したうえで、実用性のある新しい試験を開発し、該当するISO 5179(Investigation of brazeability using a varying gap test piece)を改正することとした。現在試験方法を検討中であるが、2018年4月開催予定のISO TC44/SC13会議でNP(新規改正提案)を行う予定である。
②ろう材についてのJIS規格を検討した。
ろう材に関するJIS 8規格はいずれも1990年代改正の規格で古く、ISO 17672(Brazing-
Filler metals)の前々版と符合している、という不備を抱えている。本規格を早期にISOと整
合させることを目指して、JIS8規格の統合と掲載ろう材の追加、削除等を検討した。

③銀ろう分析方法に関するJIS規格を検討した。
JIS Z3901(銀ろう分析方法)は1980年代改正の規格で現在の現場での分析手法と整合していない。本規格を改正して、ICP発光分析法という現代の汎用機器分析法を規定することを目指して、JIS改正に向けた草稿の作成に着手した。