国際溶接学会(IIW)について
1.設立と活動
第二次大戦後、欧州の疲弊した国土に産業を復興させるため、あらゆる産業の基盤技術である溶接技術の普及・発展を目指し、1948年に欧州経済協力機構の基金によってIIWが設立されました。
その後、UNESCO(国連教育科学文化機関)の提唱によって、1951年に設立されたNGO(民間団体)であるUATI(国際工学団体連合)に加盟しました。UATIは、UNIDO(国際工業開発機構)およびECOSOC(国連の経済社会理事会)から諮問機関としての地位も得ています。
IIWはUATIの一員として国際貢献すると共に、IIWのRegional Congress(地域会議)を通して、発展途上国に対しても基盤技術である溶接技術の普及・支援活動を積極的に行っております。また、ISOとIECより認められている数少ない溶接関係の国際規格原案作成団体として、世界貿易の円滑な運営にも貢献してきています。
2.日本の加盟
日本は、1953年に(社)溶接学会と(財)熔接研究所がIIWの加盟団体となることで、IIWの加盟国となりました。
1955年には日本学術会議、1962年には(社)日本溶接協会が加盟して、4団体が加盟団体となりましたが、1973年に加盟団体を日本学術会議と日本溶接会議(日本溶接協会と溶接学会で構成)の2団体に整理しました。その後、日本学術会議が加盟団体から外れ、2001年にIIW国際溶接技術者資格認証制度を導入するため、(社)日本溶接協会が加盟しました。現在は、日本溶接会議と(一社)日本溶接協会の2団体が加盟団体となっております。
日本は、IIWの加盟国となることにより、国際的な技術交流活動を通して、第二次大戦後造船工業をはじめとする生産技術立国としての世界における地位を確保することができました。
<IIWの加盟国一覧>
3.組織
(1) 事務局本部
イタリア溶接協会(Istituto Italiano della Saldatura)内
(2020年1月より、フランス溶接学会本部からイタリア溶接協会へ移管された。国際資格認証関係(IAB)は、ポルトガルにある欧州溶接連盟(EWF)が分担している。)
(2) 活動の目的
(3) 加盟団体
学術的溶接研究および溶接生産加工技術に関連する団体(非営利団体に限る)
(4) 運営資金
各加盟国から支払われる会費
4.IIW年次大会
溶接・接合に関して世界一の規模を誇る国際会議で、毎年5~7月に開催されます。開催地は、加盟国の立候補による提案や経済、治安などを加味して選定されます。
IIWでは、2022年現在で18の技術専門委員会とスタディーグループが1つ設置されており、年間を通してこれらの会議を適宜開催するとともに、IIW年次大会を開催して世界各国から関係者が集う機会を設けています。IIW年次大会では、溶接・接合全般に関する基礎・基盤研究、応用技術、国際溶接技術者の認証を含む教育問題、安全衛生および環境問題、ISO標準の原案作成などを議論し、溶接・接合の学術・技術両面にわたる国際的な発展を図っています。
日本では、これまでに4回開催をしています。
(1) 第22回(1969年): 京都
(2) 第39回(1986年): 東京
(3) 第57回(2004年): 大阪
(4) 第75回(2022年): 東京
5.IIW中間会議
毎年1月に、IIW事務局本部(イタリア溶接協会)で開催されます。