FTW委員会(主査:町田進)
研究テーマ | 溶接部CTOD試験方法の検討に関する研究 |
研 究 期 間 | 1985〜1990年(昭和60〜平成2年) |
研 究 目 的 | CTOD試験は材料の破壊靱性(δc)を求める試験として広く用いられており、δcが材料選定の仕様まで取り入られている例が増えてきている。 不安定破壊発生に対する材料選定あるいは欠陥評価にあたっては、特に溶接部が問題になる。 しかし、当時溶接部CTOD試験については規格化されている例はなく、国際的に認められ慣用されている基準もなく、個々のケース毎に対処していたのが当時の状況であった。 溶接部CTOD試験の場合には、母材CTOD試験に比べて、疲労予亀裂の導入法、ポップインの評価、あるいは溶接部のもつ靱性の巨視的不均質性という特殊性を考慮する必要があり、本来均質材のもつバラツキに加えて、それに由来するδcのバラツキが著しく大きい等の問題がある。 このような問題点に関し共同研究を行い、溶接部CTOD試験およびその評価について統一的な見解をまとめ、標準試験法として確立していくことが緊急の課題になっていた。 こうした状況の中でFTW委員会は、溶接部CTODの意義及びその試験法のあり方を考える上での基礎試料を得るべく、実験的研究として簡易試験法の可能性、溶接CTODのバラツキ(低CTOD値の出現)のメカニズムについて検討するとともに、各種関連情報の収集とその検討を通じ、溶接部CTOD試験法についての注意事項や推奨事項をまとめることを目的とした。 |
研 究 内 容 | 板厚50mmと100mmの海洋構造物用HT50鋼を供試鋼とし、 1)予亀裂導入法の検討、 2)簡易CTOD試験法の検討、 3)CTOD試験結果(バラツキ)の評価を実験的に行った。 特に3)項の検討結果から、LBZ(Local Brittle Zone)がCTODに及ぼす影響についてより系統的な実験を行い、LBZの種類、大きさと?cの関係ついて実験及び考察を行った。 またこれらの実験検討結果及びIIW-X委員会WG“Fracture Mechanics Testing on Weldments”の報告、その他関連技術論文や資料をもとに試験法のあり方、推奨事項、コメント、参考資料等を取りまとめた。 |
研 究 成 果 | 溶接部CTOD試験のあり方や試験結果を解釈する上での種々の貴重な知見が得られた。 破壊靱性試験で得られる靱性の持つ意味は、その方法によっても異なり、試験の目的を明確にして試験を行うべきである。 また試験結果の持つ意味を十分理解し、その結果を適切に使うことによって、破壊靱性試験が活かされる。等の破壊靱性試験で得られる限界値の意義についての共通の認識を得ることができた。 |