ECM委員会(主査:稲垣道夫)

研究テーマ 高強度Cr-Mo鋼技術基準の作成
研 究 期 間 1990〜1992年(平成2〜平成4年)
研 究 目 的  高温高圧容器用高強度Cr-Mo鋼の技術基準及び設計ベ-スの作成
研 究 内 容  重質油の分解精製や石炭液化等の装置に使用される高圧容器は、従来の石油精製装置より高温の450℃以上の運転条件が必要となってきた。
 このため、既存の2 1/4Cr-1Mo鋼あるいは3Cr-1Mo鋼では極厚となり、重量も大幅に増加するため、その製造が困難になり、さらに水素浸食の心配もある。
 即ち、より高強度で高温高圧水素環境において優れた性能を有する材料への要求が国内外で高まってきた。
 このような高強度Cr-Mo鋼の開発には、日本の材料メ-カ-、ファブリケ-タ-の寄与するところが極めて大きく、また、国内規格、法規に従って、これら新鋼種を用いて高圧容器を製作するケ-スが多くなることから、これらの材料の規格化が必要になっている。
 以上のような状況を考慮して、本委員会では高強度Cr-Mo鋼の材料及び設計に関する技術基準と各種設計デ-タ-ベ-スを作成することにした。
 対象鋼種としては、ASTM及びASMEにおいて規格化が進められている3種類(Enhanced 2 1/4Cr-1Mo鋼、V-Modified 2 1/4Cr-1Mo鋼、 V-Modified 3Cr-1Mo鋼)とし、2年間の調査研究の成果を「高強度Cr-Mo鋼の技術基準」として纏めた。
  この基準書は、材料規格案としての「高温圧力容器用高強度クロムモリブデン鋼鋼板」及び「高温圧力容器用高強度クロムモリブデン鋼鍛鋼品」と、高圧容器の設計に必要な設計許容応力、材料特性、物性値とそれらのデ-タ-ベ-ス及び溶接施工指針を示す付属書、さらにはユ-ザ-に高温高圧水素環境に対する優れた材料特性について、適切な理解と知識を与えるための参考書としての環境強度デ-タ-集から構成されている。
研 究 成 果  本委員会で作成した鋼板及び鍛鋼品の材料規格案はWES規格及びJIS規格として発行された。
 また、ASTM及びASMEでの材料規格化においても本委員会の成果が反映された。