溶接施工フォーラム : 溶接入熱の制限について

投稿者 トピック
Fuka
  • 投稿: 18
溶接入熱の制限について
毎度ながら、しろうとの質問でお騒がせします。

ASMEのWPS推奨フォームにあるHeat Input(max.)の欄に記入する値をどのようにするべきかご教授をお願いします。他社のWPSというものを見たことがないので、いつまでも自信がもてません。
考え方として、次のいずれが正解に近いでしょうか。
いずれも間違いだとしたら、「普通」にはどのようされているものでしょうか。
?合格したPQRの各パスのデータから最大値をとる。
?ここは管理値なのだから、PQRで得た最大値に10%とか25%とかを上乗せしたものとする。
?このWPSに記載した電流、電圧、速度の範囲から計算される最大値をとる。

いままで?の考えでやっていたのですが、現場から「これでは溶接できない」と苦情があり困ってしまいました。よろしくおねがいします。
samiec
  • 投稿: 177
Re: 溶接入熱の制限について
Fukaさん、いつもご質問ありがとうございます。

溶接入熱(Heat Input)の管理は非常に重要な項目となります。ご質問の、
1. 合格したPQRの各パスのデータから最大値をとる。
2. ここは管理値なのだから、PQRで得た最大値に10%とか25%とかを上乗せしたものとする。
3. このWPSに記載した電流、電圧、速度の範囲から計算される最大値をとる。
のどれが正解かは、状況により異なります。

まず、ASME IX のTable QW-253以下の各溶接方法のVariablesの表を見ると、すべての溶接方法で、溶接入熱(QW-409.1)はSupplementary Essential Variables となっています。
したがって、まず製品の溶接部に衝撃試験の要求がある場合(PQRにシャルピー試験の値が記録されている)は、1.が正解となります。
特に衝撃特性が要求される継手でなければ、2.のような考え方でよろしいです。
3.は、あまりに理屈に偏った解釈で合理的ではありません。

ただし、最も重要なことは、Fukaさんが困っているように「現場の溶接士が施工可能な溶接条件を規定する」ということです。PQRのデータは、実際に試験で使用した条件ですので、おのずと施工可能な範囲に入っているはずです。
そこに、溶材メーカーが保証する電流範囲や、現実に施工可能な溶接速度の範囲(最少と最大)、さらに衝撃性能が要求される場合は、PQRの最大入熱量を超えないように、WPSの各溶接条件を適切に指定する必要があります。

現場からクレームを受けたことはむしろ喜ばしいことで、逆にどの程度の条件ならよい溶接ができるのか、その溶接士から話を聞いてみてください。WPSは現場で使われてこそ、価値があります。
Fuka
  • 投稿: 18
Re: 溶接入熱の制限について
Samiec様

毎度丁寧な回答をいただき感謝しています。
入熱量の管理については施工法試験で規定の衝撃値が得られさえすれば、特に現場的な手立てを講じなくても問題は起きないものと漠然と考えていました。永いことあいまいな理解のまま過ごしてきましたが、シャルピー試験付きのpWPSとPQRを別な品目のWPSに展開する際に、疑問が生じたので投稿させていただきました。国内外のウェブサイトを見て歩きましたがすっきり解決というには程遠く、モヤモヤしていましたのですが、今回でかなり霧が晴れました。ありがとうございます。

WPSに記載するHeat Input max.としてケースによって次のいずれかとします。
1. PQRの各パスのデータから最大値をとる。
2. PQRで得た最大値に10%とか25%とかを上乗せしたものとする。

関連質問としてですが、複数の溶接法を使う継ぎ手においては、溶接法ごとに指示するということで、よろしいでしょうか。たとえば、
Heat Input max.:(GTAW) 3.5J/mm、(SAW) 6.0J/mm
それとも、大きい方だけをとって、
Heat Input max.: 6.0J/mm
としても間違いではないと、言えるでしょうか。

続けて、ご教示よろしくお願いします。
samiec
  • 投稿: 177
Re: 溶接入熱の制限について
Fukaさん

いつもきちんと理解していただき、ありがとうございます。

追加の質問ですが、材料の衝撃性能という観点からは、SAWで6.0KJ/mmまで入熱が入っても衝撃特性が保証できるのですから、WPSの最大入熱を6.0KJ/mmとしても問題なさそうに思います。(実際にそういうWPSをよく見ます。)

しかし、現実にGTAWで6.0KJ/mmの入熱を入れることはほぼ不可能ですよね。現実的ではありません。我々溶接エンジニアは、現場の溶接士の方々に対して正しい施工方法を指示しなければいけない立場ですので、私なら、Heat Input max.:(GTAW) 3.5 KJ/mm、(SAW) 6.0 KJ/mmと規定します。

WPS/PQRのvariablesは、まずは溶接方法ごとに規定されることが基本ですので、入熱制限も溶接方法ごとに規定したほうがよろしいと思います。私はいつもそうしています。
Fuka
  • 投稿: 18
Re: 溶接入熱の制限について
Samiec様

懇切丁寧に説明をいただき、ありがとうございます。
これで入熱管理について、今後は悩まなくて済みそうです。

今後ともよろしくご指導ください。



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回答しても、何の反応がなかったらちょっとサミシイと思うのです。
回答で助けてもらったら、お礼の言葉を一言書いていただけると、そこにコミュニケーションが生まれ、このフォーラムも活性化していくと思っています。
皆さん、どうかご協力を。