Solder and smart joining division

部会活動状況

2023年度 事業計画

はんだ・微細接合部会は、ISO規格、IEC規格、JIS、WESのはんだ及びはんだ付用材料関連規格の制定・改正の審議を行うとともに、最新のはんだ付技術に対応できる材料及び評価方法の調査・研究を積極的に行っている。ISO/TC 44/SC 12では日本が中心メンバーとして鉛フリーはんだを中心としたはんだ合金規格(ISO 9453)および鉛フリーはんだ関連の試験方法規格類を国際標準化してきたが、本年度もこれまでの実績を踏まえ、はんだ付材料関連のISOについて日本意見を反映させていく予定である。IEC規格については一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)と、はんだ材料関連規格及び試験方法関連規格の内容に関してリエゾン関係を維持しており、今後もこれまでと同様、IEC/TC 91のはんだ付用材料関係規格及び試験方法関連規格の制定・改正の審議を行うと共に、年次国際会議におけるWG 2およびWG 3への委員派遣など協力体制を維持していく。
はんだ・微細接合領域での接合材料の多様化が進行しつつあり、新たな規格類の整備が求められる状況に対応した部会活動の活性化を見据えて、2023年度は、主に以下の活動を計画している。

1.本部会及び幹事会
1.1 事業報告(案)及び収支決算(案)の審議
1.2 事業計画(案)及び収支予算(案)の審議
1.3 新規部会員の勧誘と新たな活動分野の検討
1.4 はんだ・微細接合材料の生産状況並びに市場調査
1.5 はんだ・微細接合関連の最新技術動向の調査
1.6 技術委員会との共通課題の審議

2.技術委員会
2.1 技術委員会及び規格分科会
2.1.1 国内はんだ及びはんだ付関連規格の改正及び整備
① 鉛フリーはんだ関連規格の調整
② はんだ関連規格の規格体系の検討と見直し
③ 見直し時期が近い関連規格内容の審議
2.1.2 国際規格関連
① ISO/TC 44/SC 12関連規格の審議と年次会議への参加
② IEC/TC 91はんだ及びはんだ付関連材料規格の審議と年次会議への参加
③ IEC/TC 91及びISO/TC 44/SC 12ワーキンググループへの参加
④ ISO、IECで審議中のはんだ及びはんだ付関連規格への日本意見の反映
2.1.3 新たな規格制定のためのWG活動
① 鉛フリーはんだフラックスの洗浄性評価方法作成WG
前年度からの活動を継続しISO 9455-18のドラフトを検討しつつ、より新たな評価方法の確立を目指す。
② 高鉛含有はんだ代替接合材料規格化WG
前年度からの活動を継続し、高鉛含有はんだ代替接合材料の規格整備に向けた検討を行うとともに、規格策定に向けて評価実験を実施する。
③ WES2810JIS化検討WG
前年度からの活動を継続し、WES2810のJIS化に向けた検討を行うとともに、JIS化提案を目指す。
2.1.4 鉛フリーはんだ実装技術向上のための貢献
① 鉛フリーはんだ対応実装技術向上に関わる共同研究
② 鉛フリーはんだ関連基礎データと情報の公開
③ はんだ・微細接合材料関連シンポジウム内容に関して微細接合技術分科会への協力
2.1.5 その他
他の関連団体規格の調査及び委員派遣と調整

2.2 微細接合技術分科会
はんだ・微細接合関連の最新技術動向に関して、下記内容のいずれかの会合を年1回以上開催(WEB開催を含む)
① はんだ・微細接合に関連した内容のセミナー、応用技術や最新技術に関する一般公開シンポジウム
② 鉛フリーはんだ、導電性接着剤、ナノテクノロジーなどの動向と関連内容の研究会、セミナー、シンポジウム等

2.3 環境規制調査・対応WG
有害物質や環境負荷の高い薬品類に関する規制法案関連の動向調査を目的としたワーキンググループで、欧州のREACH関連の対応など部会員の活動の側面サポートに関して必要があれば活動する。

2022年度 活動報告

1.本部会及び幹事会
2022年度部会総会は2022年5月30日(火)に開催された。審議内容は、2021年度事業報告、2021年度決算書、2022年度部会役員交代、2022年度事業計画(案)、2022年度予算書(案)に対する投票の結果すべて議案通り承認された。
新たな部会・委員会リストに基づき、はんだ・微細接合部会規則、並びに部会会員の異動等について確認を行った。また、経済産業省等からの要望に応える形で2011年度から実施している部会員会社の年間のはんだ生産量(はんだ生産量統計調査)について、集計調査結果が本部会で報告された。本調査については、生産実績調査表を用いて今後も継続して調査することが承認された。
幹事会は2022年8月5日(金)に実施され、部会総会報告の確認及びはんだ生産量調査及び2021年度の研究成果報告、2022年度の研究協力金申請について詳細を審議した。

2.技術委員会及び規格分科会
2.1 国内はんだ及びはんだ付関連規格の改正及び整備
2.1.1 JIS改正
① JIS Z 3284「ソルダペースト」
前年度より、JIS Z 3284-1「ソルダペースト-第1部:種類及び品質分類」及びJIS Z 3284-3「ソルダペースト-第3部:印刷性、粘度特性、だれ及び粘着性試験」について、IEC国際規格との整合性を取るために改正案を検討してきた。今年度は原案作成委員会を設置して改正原案および解説案を作成した。
② JIS Z 3001-3「ろう接」
 JIS Z 3001-3「溶接用語-第3部-:ろう接」の改正にあたり、用語検討WGを設置して検討を開始した。

2.2 国際規格関連    
2.2.1 ISO規格への対応
① 鉛フリーはんだ試験方法及びはんだ材料規格の改訂の審議
Covid-19の影響から2022年5月9日(月)および2022年11月30日(水)の2回、Hybrid会議方式で行われた。日本がプロジェクトリーダーであるISO 9455-17(SIR、マイグレーション試験)について昨年に続き改訂版の議論を行った。日本提案であるISO 9455-18(フラックス残渣の試験方法)については、具体的な試験方法についての議論を行った。
(1) 2022年5月9日(月)開催分
・ISO 9455-17(SIR、マイグレーション試験)
各国からの回答にてCNから文章マイナーチェンジの提案があり、了承した。Committee Draft(以下、CD)からDraft International Standard(以下、DIS)に移行となる。
・ISO 9455-18(フラックス残渣の試験方法)
日本提案のフラックス残渣洗浄性の評価方法について議論を行った。回答はフラックス残渣洗浄WGに内容を確認しながらオフラインで個別対応することとなる。Working Draft(以下、WD)のまま継続して内容を修正する。
・ISO 12224(やに入りはんだのフラックス含有量測定に関する規格)
対象となるはんだ組成がSnPb共晶がメインとなっていたため、SnAgCuまたはSnCuに変更する。それに伴い濡れ広がりエリアや面積が異なってくるため、変更の必要があり中国などが試験を行うこととなった。WDのまま継続して内容を修正する。
(2)2022年11月10日(水)開催分
・ISO 9455-17(SIR、マイグレーション試験)
各国からコメントがあり、大きな問題は無かったが一部修正の必要有となった。ドラフト版を作成して頂き、日本が最終修正を行うこととなった。DISからFinal Draft International Standard(以下、FDIS)に移行する。
・ISO 9455-18(フラックス残渣の試験方法)
日本から修正版を報告した。フラックス残渣洗浄性の評価方法について議論を行った。ゼストロン担当者が不在で専門家がいないこともあり、結果の表記方法については改めて関係者間で協議する提出することとなった(期限:2023年9月)。WDのまま継続して内容を修正することとなった。

2.2.2 IEC規格への対応
Covid-19の影響からIEC/TC 91活動は、2022年5月25日(水)と10月13日(木)に二度のWG3、および5月30日(月)と10月7日(金)に二度のWG2、いずれもWEB会議方式で開催された。
主な審議事項は以下の通りである。
2021年に提案された新プロジェクト提案である「電子アセンブリの保護とパッケージング」はPASが公開され、2023年以降も継続して審議される予定。
プリント配線板組み立てに関わる4つの要求事項であるIEC 61191-1,-2,-3,-4, 電子基板実装に用いられるはんだ付け用フラックス、ソルダペーストに関する要求事項であるIEC61190-1-1,-2 は、それぞれIPC J-STD-001や004に類似した規格であるため、IECとIPCとの間のMoUが確立され著作権問題についての方向性がまとまるまで文書作業を一時停止することが決定された。

2.3 鉛フリーはんだフラックスの洗浄性評価方法作成WG
フラックス残さは使用環境により接合部の信頼性などを悪化させることから、鉛フリーはんだソルダペーストに使用されるフラックスの洗浄性評価の標準化が求められている。本WGは2017年度に設置され、新たな洗浄性の評価試験方法を標準化することを念頭に活動を行っている。本年度はISO 9455-18(フラックス残さの試験方法)がNWIPとなり、各国から出てきた質問事項についての回答およびドラフトの修正を行った。今後、DISへの登録を目指すこととなる。

2.4 高鉛含有はんだ代替接合材料規格化準備WG
RoHSで除外項目となっている高鉛含有はんだは、今後除外適用からはずれることが予想されており、その代替接合材料(金属ナノペーストやTLP用材料など)と新たな接合プロセス開発が積極的に進められている。一方で、新規接合材料やそれらを用いた接合体の評価方法については標準化が進んでいない。そこで2019年度から、高鉛含有はんだ代替接合材料規格化準備WGを立ち上げ、3年目となる本年度もWEB会議方式で4回のWGを開催した。WGでは、加熱前の接合材料に対する種類および品質に関する区分項目の整理や試験項目について調査・議論するとともに、加熱後の材料特性について要望が多かった熱伝導率測定や引張試験について調査し、実際にサンプルを用い評価方法の検討を行った。

2.5 焼結型接合材料調査委員会
海外では焼結型接合材料の実用が始まっている。一方で、焼結型接合材料に関する標準規格は未整備であり、欧米からISO案等が提案される前に、日本が本技術における共通基盤を整備しておく必要がある。そこで、令和4年度産業標準化推進事業委託費/戦略的国際標準化加速事業:産業基盤分野に係る国際標準開発活動により「半導体デバイス向け焼結型接合材料に関する標準化調査」を受託し、部会内に「焼結型接合材料調査委員会」を設置、1年間の活動を行った。具体的には、焼結型接合材料に係る技術分野について網羅的に調査を行い、必要な標準化項目・優先順位等を検討し、明確にした。

2.6 WES2810 JIS化検討WG
 WES2810「鉛フリーはんだ対応はんだこて試験方法」について、JIS化を検討することとなり検討WGを設置した。2022年11月29日に第1回目のWGを開催して、原案作成に向けた検討を開始した。

2.7 他団体、他委員会との連携・協力
(一社)電子情報技術産業協会TC 91国内委員会へ協力し、鉛フリーはんだ関連等の国際規格改訂への協力を行った。

2.8 環境規制調査・対応WGへの協力
有害物質や環境負荷の高い薬品類に関する規制法案がいくつか検討されており、それらの動向調査を目的とした部会メンバーで構成されるワーキンググループの活動に協力できる体制を維持している。

3.微細接合技術分科会
2022年11月22日に溶接会館2階ホールとオンラインでのハイブリッド方式にて、「先端デバイスに求められる実装技術・材料の研究開発動向」というテーマにて、はんだ・微細接合部会主催のシンポジウムを開催した。
本シンポジウムには、(一社)エレクトロニクス実装学会及び(一社)スマートプロセス学会 エレクトロニクス生産科学部会および当協会マイクロソルダリング要員認証委員会の協賛、(一社)電子情報技術産業協会の後援を頂き、6件の講演が行われ、会員外の参加者も含め60名の参加を得た。