委員会設立の経緯

 国際活動委員会は、海外機関との相互交流を推進させるために、1982年に設立された溶接技術国際交流委員会を基にしています。その後、国際協力活動のさまざまな課題に対応するため、1988年に発展的に改組され、現在の国際活動委員会の組織になりました。

 1980年代の主な活動は、ドイツ溶接協会(DVS)やパトン電気溶接研究所、アメリカ溶接協会(AWS)など、欧米諸国との相互交流を目的とした協力協定の締結のための検討を行ってきました。1990年代に入ると、アジア諸国との積極的な交流を推進するため、シンガポール溶接協会(SWS)、中国溶接協会(CWA)、フィリピン溶接協会(PWS)、タイ溶接協会(TWS)、インドネシア溶接協会(IWS)などと協定を締結してきました。

 最近20年間の活動になるとアジア諸国との関係をより重視し、さらに2国間だけの相互交流だけでなく、日本がリーダーシップを発揮してアジア全体が一体となって発展するための具体的な行動を伴う活動へと大きく転換してきました。


 中でも、委員会活動の最近の注目すべき活動は、2004年から活動を開始した各国の溶接関連機関の集まりであるアジア溶接連盟(AWF:Asian Welding Federation)での活動と、2006年から開始したJIS Z 3410/WES 8103による溶接管理技術者の認証制度をアジア各国に展開し、各国の認証機関が母国の溶接技術者を育成して認証できるようにするための活動です。
 AWFではアジアで共通の溶接技能者認証制度の構築を推進し、また溶接管理技術者の認証では、既にタイ、フィリピン、インドネシア、マレーシア、シンガポール、ミャンマー及び台湾の東南アジア7か国・地域で日本の溶接管理技術者と同じレベルの研修と評価試験を実施し、認証者数も増えています。
 また、日本政府とアジア諸国との間で締結された経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)の一環として、特に人材育成の面での技術協力の在り方を提言するための現地調査(ミッション派遣)の実施、アジア各国で開催されるセミナーへの講師派遣なども積極的に行っています。


 溶接要員の育成に関わる最近の活動

 溶接は「ものづくり」の基盤技術で、これを支え、発展させるには人材が不可欠です。国際活動委員会は、溶接管理技術者認証委員会溶接管理技術者教育委員会溶接材料部会などと協力し、特にアジアの溶接要員の育成に力を入れ、次のような国際的活動を行っています。

 アジア溶接連盟の活動
 ・溶接技能者のアジア共通認証制度(Common Welder Certification Scheme)を構築中。
 ・溶接に関する規格の情報を共有し、アジアの意見を国際規格に提案。


 溶接管理技術者認証制度のアジア展開
 ・(財)海外技術者研修協会(AOTS)産業技術者育成支援事業制度を活用した研修会の実施(2006年〜2009年、フィリピン)
 ・経済産業省 貿易投資円滑化支援事業制度を活用した研修会の実施(2010年〜2012年、フィリピン、マレーシア)
 ・JICA インドネシア溶接技術向上プロジェクトの実施(2010年〜2012年、インドネシア)
 ・タイ溶接協会 認証事業への協力(2006年〜現在)
 ・インドネシア溶接協会 認証事業への協力(2012年〜現在)
 ・フィリピン溶接協会 認証事業への協力(2012年〜現在)
 ・マレーシア溶接接合協会、マレーシア材料学会 認証事業への協力(2012年〜現在)
 ・シンガポール溶接協会 認証事業への協力(2016年〜現在)
 ・台湾溶接協会 認証事業への協力(2017年〜現在)
 ・ミャンマー機械学会 認証事業への協力(2017年〜現在)

 経済産業省 経済連携促進のための産業高度化推進事業
 ・2007年度溶接技術に係るインドネシアとの連携の在り方に関するミッション派遣による調査研究
 ・2008年度溶接技術に係るインドネシアとの連携の在り方に関するミッション派遣によるセミナー事業
 ・2009年度溶接技術に係るインドネシアとの連携の在り方に関するミッション派遣によるセミナー事業
 ・2009年度ベトナムとの連携の在り方に関する調査ミッション派遣事業
 ・2010年度ベトナムとの連携の在り方に関する調査ミッション派遣事業


 JICA国際溶接技術者育成コースの実施
 ・1974年より実施し、2012年までに57カ国、370名以上を教育
 ・約6ヶ月間の研修を経て、IIW国際溶接技術者資格の取得を目指す
 ・研修生の約半分はアジア諸国からの技術者(右図)
 ・卒業生は母国の溶接指導者、AWF加盟機関の重要ポストへ
 ・卒業生との人脈、交流は日本溶接協会の国際活動に大いに寄与



 国際溶接学会(IIW)に関わる活動

 国際溶接学会(Welding Institute of Welding)は1948年に設立され、溶接技術の普及・発展をのための活動を目的とした学術団体で、現在のメンバー国は56カ国となっています。このIIWには、(社)溶接学会と共同運営している日本溶接会議(Japan Institute of Welding、JIW)を通じ、理事会、技術委員会、標準化委員会などの各委員会にて活動を行っています。

 IIWに関わるのもう一つの重要な活動として、IIWの国際資格認証制度の実施・普及活動があります。この資格制度は、日本ではIIWにより認定された組織であるIIW資格日本認証機構(Authorized Nominated Body of Japan、J-ANB)が実施しているもので、IWE(International Welding Engeneer)、IWT(International Welding Technologist)、IWS(International Welding Specialist)の認証活動が行われています。さらに、溶接検査技術者 IWIP(International Welding Inspection Personnel)の認証を計画しており、現在、その準備を進めています。
国際活動委員会はJ-ANBとの情報交換を通じ、日本でのこれらの認証制度の普及に協力しています。


 国際活動委員会のこれから

 国際活動委員会では、2000年と2004年の2回、団体会員各社や各部会・委員会を対象に、国際活動の在り方を問うアンケートを実施しました。 そのアンケートでは、日本溶接協会がアジアを代表としてリーダーシップを発揮するべきであること、国際活動での基本スタンスと長期ビジョンを明確にすべきであるなどの意見が出されました。

 日本の製造業がグローバリゼーションという観点をなくしては語れない今日、日本溶接協会の活動もあらゆる面で「国際活動」を避けることはできません。溶接関連規格の国際標準への対応、溶接要員認証制度の国際化や海外での教育の在り方など、国際活動委員会が関与すべき課題はたくさんあります。アンケートで指摘された国際活動の展望と戦略の構築、国際活動のルール作りを他委員会・組織と協力しながら委員会の喫緊の課題として取り組んでいます。


 平成30年度国際活動委員会 活動計画

                       

国際活動委員会 (International Activity Committee)