溶接施工フォーラム : PQRの溶接姿勢について

投稿者 トピック
HIDEYUKI
  • 投稿: 2
PQRの溶接姿勢について
初めて質問させていただきます。
JIS準拠のPQRを作成しようとしています。

ASMEでは、QW-203施工法に対して認定された姿勢の制限で「任意の姿勢で行った認定で全姿勢の施工法を認定する。」とありますが、JISでは、Z3011 4.3実際の施工における溶接姿勢の中に、「いずれかの溶接姿勢で承認されたとき・・・」とあります。

ASMEの場合、WPQの認定で溶接姿勢を制限していると理解していますが、JISの場合は下向・横向それぞれでPQR(確認試験)を作成しないといけないのでしょうか?

JISハンドブックで読み解けなかったので、ご教示をよろしくお願いいたします。
samiec
  • 投稿: 188
Re: PQRの溶接姿勢について
HIDEYUKIさん

ご質問の意図を正しく理解していない可能性もありますので、まず質問にお答えする前に、一つ確認をいたします。

− 「JIS準拠のPQRを作成」するとのことですが、施工法試験を行う規格は何をお使いですか?

ご質問の中にあるJIS Z 3011は、いわゆる溶接姿勢の定義を示すもので、施工法試験のqualificationの範囲とは全く関係がありません。
ちなみに、製品のWPSに「下向」が規定されている場合は、附属書Aの図を見ながら、表1に規定されている「下向」の傾斜角と回転角の範囲で溶接してよい(それを下向と呼ぶ)という意味です。
ご質問の、「JISの場合はそれぞれの溶接姿勢でPQRを作成しなければいけないのか」という指摘については、JIS Z 3011はまったく関与していません。

最初の確認事項に戻りますが、たとえばJIS Z 3040に従って施工法試験を行う場合は、突合せ継手の場合は、4.1.1(1)に「試験材の溶接は下向き溶接とする」と規定されています(ただし、例外あり)。
つまり、ご指摘のASME IXと同じように、JISでも溶接姿勢はEssential Variablesではありません(試験材の姿勢と製品溶接の姿勢は変わってもよい)。ただし、JISでもASMEでも溶接部に衝撃試験が要求される場合は、試験材の溶接姿勢の選び方に注意する必要があります。

こんな説明でよろしいでしょうか。
HIDEYUKI
  • 投稿: 2
Re: PQRの溶接姿勢について
samiec様

返信が遅くなってしまい大変申し訳ございません。
JISにしてもASMEにしても、PQRの確認試験は下向きで問題無いこと理解しました。

今回質問させていただいた経緯として、WPSで下向きをしていたのですが客先より「構造物の大きさからして、下向きは無理があるのでは?」との質問がありました。
現在保有しているPQRは全て下向きで施工し試験を行っているので横向きを作らないといけないのかと思っていました。

よくよく考えると、横向きで溶接する場合ASME同様で溶接士の資格が必要なのを理解しました。
社内の有資格者はみんな下向きしか取得しておらず、追加取得を計画すると同時に、今回は回答にもあった傾斜角・回転角の範囲で溶接することとしました。

ご回答ありがとうございました。
samiec
  • 投稿: 188
Re: PQRの溶接姿勢について
HIDEYUKIさん

ご理解いただいて、ありがとうございます。本件には、2つのポイントがあるようです。

1. PQR試験の溶接姿勢
製品の溶接構造物に、低温仕様などの衝撃試験の要求がなければ、HIDEYUKIさんの会社のように、PQRはすべて下向きで試験を行っても大丈夫です。これは、溶接姿勢が異なっても、つまり下向きでも立向きでも、基本的には(衝撃性能を除けば)その溶接部の機械的な特性(引張強度など)は変わらないと了解されているためです。
ただし、この場合でも製品の溶接を指示するWPSには、現実に起こり得る溶接姿勢を(下向きだけではなく)記載しておく必要があります。このあたりがよく客先ともめる原因になっています。

2. 溶接士の技量試験における溶接姿勢
一方、溶接士の技量については、どなたでも理解できると思いますが、溶接姿勢の違いは技量の良し悪しに大きく影響します。したがって、JISでもASMEでも溶接姿勢はEssential Variablesとなっています。
まず、大型構造物の製品を溶接するときの溶接姿勢の範囲を、JIS Z3011の定義から調べてみましょう。HIDEYUKIさんの言われるように、下向きの定義にある傾斜角・回転角の範囲で溶接できればよいですが、構造物が固定されている場合は、そうはいきません。実際に必要な溶接姿勢をカバーできるような姿勢の資格を持った溶接士を準備することが必要です。
製品の溶接姿勢を制限するより、横向きや上向きなどの溶接士の技量試験を行った方がより現実的で、今後の仕事の種類も広がると思います。



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