ろう付(銀ろう)フォーラム : ステンレスの銅ろう付け

投稿者 トピック
m-haya
  • 投稿: 2
ステンレスの銅ろう付け
素人です。初めて質問させていただきます。

真空炉を用いて、ステンレス部品(薄板)どうしを銅ろう付けしていますが、ロウ付け後のロウ付け部の断面を光学顕微鏡で観察すると、ステンレスの結晶粒界に銅ロウが深く(100μm以上)浸入している場合が多々あります。(文献等を調べると、液体金属脆化がこれにあたるのではと推測しています)
部品が薄肉のため、ステンレスに銅ロウが浸入すると、結果的にステンレス部品の強度のばらつきに影響するため、このロウ付けに伴う、ステンレスの結晶粒界への銅ロウの浸入を抑制したいと考えています。ロウ付け条件、材料の選定等、銅ロウの浸入の抑制方法をご教授いただけますようお願いします。

なお、ステンレスはオーステナイト系ステンレスです。銅ロウは無酸素銅を使用しています。真空炉は窒素ガスをキャリアガスとして用いて、炉内圧力を約1Torrとしています。
また、ロウ付けは昇温開始から冷却まで約9時間のロウ付けになります。

以上よろしくお願いします。
TSUCHIYA
  • 投稿: 172
Re: ステンレスの銅ろう付け
基本的な範囲で、
オーステナイトステンレスでのろう付けで、昇温冷却過程で配慮するのは、650−850℃のクロム炭化物の形成とろう材のAg系やCu系などの低融点金属の粒界進入に伴う液化割れがあります。Cuの場合は、700℃を超えると酸素の固溶度が増加し、対面する金属表面の酸化膜を破壊し、拡散反応性が増すといわれています。
また、一方では、ろう付けの性格上、あるレベルの温度履歴は避けられません。また、生産能率上、炉中ろう付けから他の方向にも行けないとなると、炭化物の生成とCuのアタックを最小限にするには、理論的には
?650℃以上の温度履歴、特に、ろう材が液化した後の保持温度×保持時間の最小化、昇温、降温工程の短時間化。炉の特性やろう付けの対象物によって、それぞれの条件の適正と工夫が必要です。例えば輻射熱だけでなく、ガスの熱伝導を積極的に利用するなど。
?二次的な配慮としては、ろう付け対象物の素材の残留応力(圧延、加工その他)の低減や結晶粒の微細化などが上げられると思います。
?ろう材のバリアーとして、Niメッキなどの表面処理など
参考にして、工程を検討してください。
m-haya
  • 投稿: 2
Re: ステンレスの銅ろう付け
貴重な情報を提供いただきましてありがとうございます。

・クロム炭化物の形成については、冷却過程で急冷することは心がけていたのですが、昇温時にも650-850度帯は短時間に昇温することが必要なようですね。

・キャリアガスにより熱伝導を改善することは検討していたのですが、現状の設備では、キャリアガスの導入量は1Torrが限界のようです。(別の方法で熱伝導が改善できるといいのですが・・。)

・ロウ付け対象物の残留応力ですが、昇温過程で、応力除去焼鈍になると考えていたので、この点も再度検討の必要がありそうです。

まだまだ勉強不足の点が否めませんので、もう少し、文献等で勉強したいと思います。まずの検証としては、銅の溶融温度近傍の温度パターンを見直し、ロウ付けを実施してみたいと思います。
(他にお気づきの点等ございましたら、ご教授いただけますようお願いします。)



ログイン
ユーザー名:

パスワード:


パスワード紛失

新規登録

メインメニュー

投稿数ランキング
いつも投稿ありがとう
ございます!

順位   ユーザ   投稿数
1 samiec さん 188
2 TSUCHIYA さん 172
3 horikoh さん 118
4 HAL2000 さん 78
5 sugimo さん 50

管理人からひとこと..
回答しても、何の反応がなかったらちょっとサミシイと思うのです。
回答で助けてもらったら、お礼の言葉を一言書いていただけると、そこにコミュニケーションが生まれ、このフォーラムも活性化していくと思っています。
皆さん、どうかご協力を。