溶接材料(溶接棒/鉄鋼材料/非鉄金属)フォーラム : SUS420J2のTIG溶接棒

投稿者 トピック
tepps
  • 投稿: 6
SUS420J2のTIG溶接棒
はじめて投稿させて頂きます。SUS420J2の溶接で溶接部水漏れなき事と指示があるのですが、このときTIG棒は410と309どちらを使う方が好ましいのでしょうか?初心者なのですが、その他溶接時の注意点があれば教えてください。
TSUCHIYA
  • 投稿: 172
Re: SUS420J2のTIG溶接棒
私の知り得る範囲でご連絡します。
基本的にこの手のマルテンサイト系ステンレス鋼は、あまり溶接したくない材料です。経験の深い会社に頼んだ方が無難です。
本来、溶接の詳細指示は、発注側の設計が行うべきでしょう。そうは云っても、何でもかんでも溶接せいと云う人が多いので、困ったもんです。まず、最初に確認することは、溶接部に何が要求されているかです。この場合、強度、硬さ、じん性、耐食性や熱負荷の要求がどのようになっているかです。これにより、供金系(D410 or D410Nb)、オーステナイト系(D309)の溶接棒の選定がされます。つぎに、これらの溶接棒を使用して溶接する場合に要求される予熱、後熱の施工が可能かと云うことで選定されます。
以下、参考にしてください。詳細は、材料メーカあるいは溶材メーカにお尋ねください。D410では、マルテンサイトの組織となり、適切な後熱処理によりほぼ母材と同等の特性が得られます。D410Nbでは、延性・じん性の良いフェライト組織となり、後熱処理によって耐食性は回復しますが、硬さの回復はいまいちで、摺動面には適しません。D309では、延性・じん性の優れたオーステナイト組織となり、母財とは特性が大きく異なり、耐食性や熱疲労の問題がありますが、高温の予熱や後熱処理が出来ない場合に適用します。D309は、熱膨張係数が大きく異なるので、製品の使用状況によっては、インコネルの棒を使用した方がよいようです。おおよその目安として、D410の予熱は約300℃、D410Nbは100〜200(250)℃、D309は予熱100℃(層間200℃以下)程度で施工の必要があります。後熱処理については、遅れ割れ防止(その他硬度や延性の回復、応力除去など、溶材により効果が異なる)を目的として、標準的には、680℃程度で後熱処理を行います。処理温度、保持時間、昇温速度、冷却速度などは、板厚や熱処理の目的によりによって管理値が異なるようです。
ちなみに、被覆アークですと、低水素系で乾燥、保管温度にも注意を払うことが必要です。
tepps
  • 投稿: 6
Re: SUS420J2のTIG溶接棒
とてもわかりやすい回答ありがとうございました。今回はD410でようせつしました。特に問題はなかったと思うのですが、予熱・後熱はガスで適当(母材が赤っぽくなる程度)に処理してしまいました。300゜C、680゜Cってどのように判断するのでしょうか?今回私がした、母材が赤っぽくなる程度って何度くらいなのでしょう?
TSUCHIYA
  • 投稿: 172
Re: SUS420J2のTIG溶接棒
温度測定は、一般にはペンシルタイプの接触温度計(熱電対)が用いられます。溶接作業には、必須うでしょう。
また、感覚的には、鋼の鍛造時の色と温度の関係として、以前からこんな表現が利用されているようです。(日立金属さんの昔のカタログ?)参考にしてください。
輝白色 (1300度)  黄白色 (1200度)  輝黄色(1100度) 
黄色  (1000度)  輝黄赤色( 950度)  明輝赤色( 900度)   輝赤色( 850度)    輝櫻赤色( 800度)  櫻赤色 ( 750度) 暗櫻赤色( 700度)  暗赤色( 650度)  
tepps
  • 投稿: 6
Re: SUS420J2のTIG溶接棒
回答有難うございます。さっそく接触温度計を購入しようと思います。



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管理人からひとこと..
回答しても、何の反応がなかったらちょっとサミシイと思うのです。
回答で助けてもらったら、お礼の言葉を一言書いていただけると、そこにコミュニケーションが生まれ、このフォーラムも活性化していくと思っています。
皆さん、どうかご協力を。