溶接施工フォーラム : 【配管材の溶接】JIS材のPQRをASME材に読み替えることが出来るか?について

投稿者 トピック
ssk
  • 投稿: 4
【配管材の溶接】JIS材のPQRをASME材に読み替えることが出来るか?について
初めて投稿させて頂きます。
よろしくお願いいたします。

国内案件において、配管材の溶接に関し質問させて頂きます。
なお配管に対する法令要求(例 高圧ガス保安法、電気事業法など)はないものとお考えください。

ASME材(ASTM材)を購入して、工事業者に溶接、組み立てを依頼する計画を立てております。
その際、工事業者より「ASME材のPQRを持っていない。JIS材なら持っている。」との相談がありました。

もし工事業者が所有しているJIS材のPQRと同じP番号及びグループ番号のASME材であれば、
JIS材のPQRであってもASME材と読み替えて使う事はできるでしょうか?
それとも新たにASME材のPQRを作成する必要があるでしょうか?

例えばJIS G3454のSTPG410(P番号1, グループ番号1)のPQRを工事業者が所有していれば、
このPQRを、相当材であるASTM A53 GradeBにもそのまま適用できるのでは?と考えた次第です。

そもそも規格の中で母材がP番号及びグループ番号により整理されている理由は、
「類似の化学組成、引張強度の材料であれば、溶接性は変わらないとして、PQR作成の手間を低減するため」と理解しおり、上記のように考えた次第です。

当方、配管設計の経験はあるものの、溶接にはそれほど詳しくなく、技術的な観点からあるべき姿をご教示いただけますと幸いです。
samiec
  • 投稿: 188
Re: 【配管材の溶接】JIS材のPQRをASME材に読み替えることが出来るか?について
sskさん

これは多くの方々が疑問に思っていることですので、読者の皆さんにも有意義な質問だと思います。

まず、sskさんの会社の立場を明確にしたいと思います。
sskさんの会社は、その工事業者に溶接作業を発注する立場にあるのですね。sskさんの会社は、他の会社からこの仕事を受注しているわけですが、配管材料にJIS材ではなくASTM材を選んだのは、sskさんの会社ですか、受注先ですか。
国内工事なのに、なぜわざわざASTM材を選んだのですか。

このあたりのことが明確にならないと、厳密にいえばご質問に正しく回答することができません。
ただ、冒頭にこの仕事には法令要求はないと明確に書かれていますので、一般的に考えるならば、JIS材の軟鋼パイプのPQRをASTM材の軟鋼パイプのWPSのsupporting PQRとして使ってよいと思います。
私がsskさんの会社の溶接責任者でも、あるいは受注先の責任者であっても、このケースは承認します。

本件の最終承認の責任者は誰か、なぜわざわざASTM材を使用する(必要がある?)のか、を再度ご確認ください。
ssk
  • 投稿: 4
Re: 【配管材の溶接】JIS材のPQRをASME材に読み替えることが出来るか?について
samiecさん

大変丁寧なご回答を頂き、誠にありがとうございます。
大変参考になります。

情報不足の箇所について、以下の通り追記致します。
再度何かお気づきの点がございましたら、ご指摘頂けると幸いです。

1.私の会社の立場について
  弊社はプラントエンジ会社です。
  工事業者に溶接を発注する立場になります。

2.材料選定の主体者について
  配管材にASTM材を選定しているのは弊社です。
  現在計画している製品は、弊社にて製品設計を予め完了し(弊社では標準設計と呼んでおります)、
  お客様には標準製品をそのまま購入して頂くことを計画しております。

3.国内工事にASTM材を選定した理由
  本製品は国内、海外の両面に展開を考えてる製品です。
  海外の方がニーズが多いと想定しています。
  それを踏まえて、2つ理由があります。

  (1)配管関連の仕様書、図面類や3Dデータに配管材料の情報が記載されるのですが、
  JIS版とASTM版で2通りの設計データを持つことは管理コストの観点から避けたいため、
  よりニーズが多く見込める海外案件を意識してASTM版に統一しています。

  (2)製品1つ当たりでみると、配管材の物量はそれほど多くはありません。
  そこで材料ベンダーからは製品数個分をまとめ買いをして、調達コストを抑えるよう努力します。
  その際に、国内、海外の案件の材料を共通化しているとまとめ買いがやりやすいため、ASTM版に統一しています。
  (ASTM材ですのでアジア地域での海外調達を想定してます。)

4.本件の最終承認者
  本製品の配管には法令要求がないため、弊社が最終承認者(最終判断者というべきでしょうか)であると考えております。
samiec
  • 投稿: 188
Re: 【配管材の溶接】JIS材のPQRをASME材に読み替えることが出来るか?について
sskさん

本当に詳細な検討経緯を教えていただき、ありがとうございます。
多くの読者の皆さんに、エンジ会社がどんなことを考えて、プロジェクトの材料や施工業者を選定しているのかがよくわかります。

ご説明頂いた4項目については、すべて納得できます。
今回のJobの工事業者がたまたまJISのPQRしか持っていなかっただけで、次のJobではASMEのPQRを持った業者を選ぶかもしれませんね。

ただ、今回の業者の信頼性が高く、今後も発注していく可能性があるのであれば、あらたにASME IXにもとづくPQRを作っておくことも十分に考慮すべきと思います。

PQRを作るのにもコストがかかりますが、これもその業者にとっては財産を増やすことになりますので、エンジ会社としてはASMEのPQRを作るサポートをすることも検討する価値はあるかと思います。また、溶接士のWPQもASME IXで作成するのですよね。業者にとっても、ASMEのPQRやWPQを用意することが次の仕事の受注につながることを説明してあげるのも、エンジ会社の仕事です。
ssk
  • 投稿: 4
Re: 【配管材の溶接】JIS材のPQRをASME材に読み替えることが出来るか?について
samiecさん

ご丁寧なアドバイスを頂き、どうもありがとうございます。

「溶接士のWPQについてはASME ?で作成するのですよね」のコメントを拝見して、私の文章に説明不足な点があったことに気づきましたので補足させてください。

今回伺ったようにJIS材のPQRをASME材に読み替えることが出来るとすれば、以下のように進めたいと考えております。

・工事業者がもともと所有している WPS/PQR (JIS版)をベースに使う。

・配管材はASME/ASTM材を使う。ただし、PQRにJIS材と記載されている部分は、JIS⇔ASME/ASTMの相当材に読み替える。

・溶接技能者の資格認証についてはWES/JIS規格に基づく。

度々のお願いで大変申し訳ないのですが、もしどこかに違和感がございましたらご指摘頂けますと幸いです。
samiec
  • 投稿: 188
Re: 【配管材の溶接】JIS材のPQRをASME材に読み替えることが出来るか?について
sskさん

3点の方針で問題はないと思います。

今回の仕事は「国内案件」だと最初にご説明されているので、溶接士も国内の免許があればいいのだろうと理解します。

ただし、もともとASTM材を使ってWPSを作成する理由は、主に海外向けの案件の方が多いから、という理由でしたので、海外の仕事であれば、工事業者にASMEのWPQを作らせればよいわけです。国内の溶接士の免許は、あくまでローカルライセンスなので、海外の客先には通用しません。

それと、2つ目の配管材の件はすでに理解していますが、「ただし、...に読み替える」と書いている「読み替える」の意味をきちんと確認したいです。
書き換えるという意味ではないですよね。JIS材のまま記載してよいです。PQRにはP-No. GR-No.も入っていますよね。そのままでよろしいと思います。
ssk
  • 投稿: 4
Re: 【配管材の溶接】JIS材のPQRをASME材に読み替えることが出来るか?について
samiecさん

迅速なご回答を頂きありがとうございます。

頂いたコメントの1点目について、
おっしゃる通り、海外案件の場合は工事業者にASMEのWPQを取得して頂いて対応することになると考えます。

コメントの2点目について、
おっしゃる通り、PQRを書き換える という意味ではなく、JIS材のままにしておきます。
(PQRにはP-No., GR-No.が入っております)
曖昧な書き方をしてお手数をおかけしました。

(22/9/1 追記)
ご丁寧なアドバイスを頂き、誠にありがとうございました。
モヤモヤしていた疑問点がクリアになりました。
とても助かりました。



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管理人からひとこと..
回答しても、何の反応がなかったらちょっとサミシイと思うのです。
回答で助けてもらったら、お礼の言葉を一言書いていただけると、そこにコミュニケーションが生まれ、このフォーラムも活性化していくと思っています。
皆さん、どうかご協力を。